FXニュース:今夜米PCEデフレーター控え
東西FXニュース – 2023年12月22日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米景気懸念で早期利下げ予想
- 米実質GDP確定値が下方修正
- 米コアPCE確報値も予想以下
- 米経済指標低下受けドル売り
- 国内CPI上昇で日銀に修正圧
今日2023年12月22日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の141円86銭前後から円の安値でドルの高値の142円55銭前後の値幅約69銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円22~23銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の143円25~27銭付近の前東京終値比で約1円3銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜22時30分の米国ニューヨーク外国為替市場で発表された米国雇用市場関連の最新米国経済指標の前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の187.6万人と前回修正の186.6万人と市場予想の188.8万人に対し186.5万人に改善され、前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の20.2万件と前回修正の20.3万件と市場予想の21.5万件に対し20.5万件と市場予想ほど悪化しなかったことでは一瞬ドルが買われて円相場で一時143円2銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、同時刻から発表が始まった最新米国重要経済指標の 7〜9月の第3四半期米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 確定値は、前期比年率が前回と市場予想の5.2%に対し4.9%に下方修正され、米国景気懸念により米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の来年3月の早期の米国利下げ予想が市場で再燃し米国長期金利が低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りや、主要通貨に対するドル売りが優勢になった。
同時発表だった第3四半期の米国GDP個人消費確定値の前期比年率も、前回と市場予想の3.6%に対し3.1%と下方修正され、同四半期の米国コアPCE (Personal Consumption Expenditures) の確定値も前期比年率が前回と市場予想の2.3%に対して2.0%と下方修正が続いたほか、同時刻の最新米国経済指標の12月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数も前回の-5.9と市場予想の-3.0に対し-10.5と大幅な悪化を見せたことで、米国経済のソフトランディング (軟着陸) の期待感が後退し、米国リセッション (景気減速) 懸念により安全資産の米国債が買われて利回りがさらに低下し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時3.83%台に急落したため、主要通貨に対するドル売りに加えて、日米金利差縮小により低リスク通貨の円が買われやすくなった影響で、円相場が上昇した。
続いて、深夜24時に発表された最新米国経済指標の11月の米国景気先行指標総合指数の前月比も、前回の-0.8%と前回下方修正の-1.0%と市場予想の-0.4%に対し-0.5%で、前回よりは改善されたことではややドルの買い戻しも入ったものの、市場予想を下回りマイナス圏に留まったことでは、米国景気先行き警戒感でドルが再び売られて、午前1時23分頃にドルは円相場で一時142円4銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループが、米国政策金利目標のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 金利先物の動向に基づき市場予想値を算出することで有名なフェドウォッチ・ツール (FedWatch Tool) では、来年3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での早期の米国利下げ予想が上昇し、市場予想の確定値の目安と考えられている70%を超える72.7%に上昇したほか、一部のタカ派の大幅利下げ予想も11.9%に浮上し、その一方で、来年3月の米国政策金利の現状据え置き予想は15.4%に一時後退していた。
ただし、今夜この後には欧米のクリスマス・ホリデー時期を控えた米国市場で、最新米国重要経済指標の11月の米国個人消費支出 (PCEデフレーター) などの発表予定のイベントがあり、欧米の早期からのホリデー申請により市場流動性が減少し値動きが増幅されて大きく出やすい大型ホリデー時期の週末市場を前にした利益確定や持ち高調整は抵抗要因になったほか、金利警戒感の緩和により米国ニューヨーク株式市場で米国主要株価三指数が軒並み揃って上昇したことでは、高値圏からの安全資産の米国債や低リスク通貨の円の利益確定売りの抵抗もやや混ざったが、欧州や英国に続いて米国にも景気減速懸念が出てきたことでは、来年の米国・欧州・英国の利下げ予想に対して、来年の春以降になるとしても日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が将来的には日本のマイナス金利解除や大規模緩和金融政策の修正と出口戦略に向かうのではという日米欧英金利差縮小予想は、円相場を支えていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の143円2銭前後から円の高値でドルの安値の142円4銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値は142円12銭付近と前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円45銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝8時30分には日本の最新経済指標の発表があり、11月の全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の前年同月比は前回の3.3%と市場予想の2.7%に対し2.8%と前回よりは上昇率が鈍化したものの市場予想を上回り、生鮮食料品除くコアCPIは前回の2.9%に対し市場予想通りの2.5%で、生鮮食料品とエネルギーを除いたコアコアCPIの前年同月比も前回の4.0%に対し市場予想通りの3.8%であったが、一部の市場予想を上回る日本のインフレ指標を受けては、来年の日銀 (BoJ) の修正圧が市場で意識されていた。
その後の今朝8時50分に、10月30~31日開催分の日銀 (BoJ) 金融政策決定会合の議事要旨の発表があり、日銀委員のうちの一人が、物価目標達成への確度が高まってきていることから、「最大限の金融緩和から、少しずつ調整していくことが必要」と主張していたことが明らかになり、日銀の金融政策修正に向けて積極的なタカ派の意見が以前の会合でも出ていたことから、来年の日銀修正予想が高まり、日米金利差縮小予想による円買いドル売りが入り始めたため対ドルの円相場が上昇し、今朝9時頃の今日の日本の東京外国為替市場の始値は一時142円7銭付近になり、今朝9時37分頃にはドル円は一時141円86銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要や市場安値後のドル買いなどもあり、ドルは円相場で反発を始めた。
また、日本市場時間の時間外の米国債が債券価格上昇後の利益確定売りなどで売られた影響もあり、米国長期金利が一時3.91%台に反発上昇したことも、実質的な現在の日米金利差拡大による金利差トレードなどで円売りドル買い要因になり、今日の昼の13時2分頃にドルは円相場で一時142円55銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、今朝の米国主要株価三指数上昇の終値では米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が前日比で322.35ドル高やナズダック (NASDAQ Composite)も前日比で185.923ドル高の大幅高になった影響もあり、今日の東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei Stock Average) の上昇時には、日米株高時のリスクオン (リスク選好 / Risk-on) の低リスク通貨の円売りが入っていたものの、午後15時15分には海外投資家達のホリデー前の利益確定やポジション調整の影響などもあり、今日の日経平均株価が3万3169円5銭の終値と、前日比で28円58銭高の小幅高で大引けしたことでは低リスク通貨の円売りは長く続かず、また午後からの欧州市場の参入では、安全資産の米国債が再び買われたことで米国長期金利が再び低下したため、日米金利差縮小による円買いドル売りが再開した。
夕方から本格参入の英国ロンドン外国為替市場では、午後16時に欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の発表があり、11月の独輸入物価指数は、前月比が前回の0.3%と市場予想の-0.5%に対し-0.1%と前回よりは鈍化はしたものの市場予想ほどは鈍化せず、前年同月比も同様に前回の-13.0%と市場予想の-9.3%に対し-9.0%であったことで、欧州ユーロに対してドルが売られた影響も対ドル円相場に波及した。
同じく午後16時には英国の最新重要経済指標の発表も重なり、7〜9月の第3四半期英国国内総生産 (GDP) 改定値は、前期比が前回と市場予想の0.0%を下回る-0.1%に下方修正され、前年同期比も前回と市場予想の0.6%に対し0.3%と前回と市場予想以下に下方修正されたことで、英国リセッション (景気減速) 懸念の英国ポンド売りで低リスク通貨の円が買われたことも対ドル円相場に円高圧の影響を及ぼした。
ただし、同時発表だった最新英国経済指標の11月の英国小売売上高は、前月比が前回の-0.3%と前回修正の0.0%と市場予想の0.4%を上回る1.3%に上昇し、前年同月比も前回の-2.7%と前回修正の-2.5%と市場予想の-1.3%から0.1%に改善され、自動車を除いた前月比も前回の-0.1%と前回修正の0.2%と市場予想の0.4%に対し1.3%に上昇し、前年同月比も前回の-2.4%と前回修正の-2.1%と市場予想の-1.5%に対し0.3%と前回と市場予想よりも良かったことでは、やや買い戻しも混ざった。
しかし、同じく発表された7〜9月の第3四半期の英国経常収支は、前回の-253億ポンドと前回修正の-240億ポンドと市場予想の-150億ポンドに対し-172億ポンドで、前回よりは改善したものの市場予想よりも赤字額が増えていた。
続いて、日本市場終盤の夕方16時45分には、同時進行中の欧州市場で欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の発表もあり、12月の仏消費者信頼感指数は前回の87と前回修正と市場予想の88に対し89と前回と市場予想を上回り、同時発表の11月の仏卸売物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比も前回の0.0%と前回修正の-0.1%に対し2.4%に上昇し、欧州景気懸念緩和とインフレ警戒感が上昇したことで、対ドルの欧州ユーロが上昇していたことで、円高ドル安の東京終値に向かった。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は142円22~23銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の143円25~27銭付近の前東京終値比では約1円3銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後には、今週末から来週にかけたクリスマス・ホリデー時期を控えた今夜の世界市場で最新米国重要経済指標などの発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に11月の米国個人消費支出 (PCE) 、重要度の高いPCEデフレーターとPCEコア・デフレーター、11月の米国個人所得、11月の米国耐久財受注、11月の米国耐久財受注が同時発表され、続いて深夜24時に11月の米国新築住宅販売件数と12月ミシガン大学消費者態度指数の確定値が同時発表される予定である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円44〜45銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円77〜79銭付近の前東京終値比で約33銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、来年の欧州利下げ予想がある中で、今朝発表された日銀の議事録では将来的な大規模緩和金融政策の修正に向けた意見が出ていたことで、来年の日銀修正予想により日欧金利差縮小予想の円買いユーロ売りが影響を及ぼしていた。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1002〜1.1006ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0944〜1.0946ドル付近の前東京終値では約0.58セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、前述の通り、昨夜の米国経済指標を受けた米国景気懸念による来年早期の米国利下げ予想による米国長期金利低下によるドル売りの影響が観測された。その一方で、今日の夕方の欧州経済指標では、欧州インフレの根強さへの警戒感が高まっていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は180円48〜54銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の181円10〜16銭付近の前東京終値比で約62銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、先述の通り、英国景気懸念により英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の来年の利下げ予想が高まる一方で、来年の日銀の修正予想が強まっていたことで、日英金利差縮小予想の円買いポンド売りに加え、低リスク通貨の円買いで円相場が上昇した。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月22日の日本時間(JST)20時42分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時42分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:42の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 141.96 〜 141.98 | −1.29 (円高) |
ユーロ/円 | 156.51 〜 156.52 | -0.26 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1027 〜 1.1028 | +0.0083 (ドル安) |
英ポンド/円 | 180.79 〜 180.85 | -0.31 (円高) |
スイスフラン/円 | 166.36 〜 166.42 | +0.27 (円安) |
豪ドル/円 | 96.66 〜 96.70 | +0.02 (円安) |
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