FXニュース:米ISM製造業景況感が上振れ
東西FXニュース – 2024年4月2日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米長期金利が4.3%台に上昇
- 米経済指標受けたインフレ圧
- 米利下げ先送りの可能性意識
- 為替介入警戒域に再び近づく
- 日米株下落時のリスク回避も
- 今週の米雇用統計控えた調整
- 欧英連休明け売りポジション
今日2024年4月2日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の151円50銭付近から、円の安値でドルの高値の151円80銭付近の値幅約30銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は151円67〜68銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の151円33〜35銭付近の前東京終値比で約34銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、日本時間の昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円39銭付近で、同時刻の値動きで瞬時記録した一時151円38銭が米国市場の円の高値でドルの安値となり、米国ニューヨーク債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇を始めたことや、米国復活祭の連休明けの実需もあってドルは円相場で上昇を始めた。
昨夜22時45分に発表された最新米国経済指標の3月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値は、前回と市場予想の52.5をやや下回る51.9に下方修正されたことを受けてはやや横ばいに近い抵抗も混ざったが、好景気と不景気を分ける景気ボーダーライン (Borderline) の50は上回り続けていたことや、米国の祝日連休初日の先週の聖金曜日のグッド・フライデー (Good Friday) に、米国の中央銀行制度にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長が「米国の利下げを急ぐ必要はない」と、景気背景のインフレ圧警戒で先週のクリストファー・ウォラー理事に続いてタカ派寄りの発言していた影響などから、今後のデータ次第では米国の利下げ開始時期が市場予想で優勢だった6月よりも先送りになる可能性が意識され、米国政策金利の先高観などから米国ニューヨーク債券市場では、昨夜21時頃に一時4.22%台付近だった米国長期金利が、昨夜22時50分前頃には一時4.28%台付近と上昇を続けていたため、日米金利差拡大による円売りドル買いのトレンドが継続した。
さらに、昨夜23時に発表された最新米国重要経済指標の3月の米国ISM (Institute for Supply Management / サプライマネジメント協会 / 全米供給管理協会とも呼ぶ) 製造業景況指数が前回の47.8と市場予想の48.4を上回る50.3に上昇し、一年半ぶりに景気ボーダーラインの50を超える好景気寄りのデータになったほか、価格の項目が2022年7月以来の高水準となり、景気影響の米国インフレ圧を受けて、米国長期金利は午前1時過ぎの一時4.335%付近に向けて更に大幅に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いに加えて、欧州ユーロなどの主要通貨に対してもドルが買われた影響が対ドル円相場にも波及したため、深夜24時7分頃にドルは円相場で一時151円77銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルなどの主要通貨全般に対しても一時はドル全面高を記録し、ドルインデックス (U.S. Dollar Index / ドル指数) は昨年2023年11月14日以来の一時105.08の今年最大のドル高を記録していた。
ただし、円相場ではドルが151円台後半に乗せた後に、152円台の手前に近づくにつれて、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入を警戒した早期の利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めたほか、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、最近の堅調な米国景気を背景とした高金利長期化が企業決算等に影響を及ぼす可能性へ警戒感などもあり、米国主要株価三指数の一つである米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前営業日比で大幅に下落し、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も前営業日比で小幅安の終値に向かい、国際的なハイテク企業株の比率が多い米国ナズダック平均 (NASDAQ Composite) は前営業日比で小幅高に留まったものの、一部の米国株価下落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) でも、市場安値後の低リスク通貨の円買いの抵抗が入り始めた。
世界的な安全資産でもある米国債も一時はリスクオフでやや買われたことでは、午前1時台の一時4.33%台中盤をピークに米国長期金利も一時4.30%台に一時反落したが、今週は米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) が毎回の米国政策金利や金融政策を決める上で重視している景気系の「最新データ」でもある最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表予定のイベントを控えており、データ次第では米国政策金利が欧州などよりも長期間高金利のままで維持される可能性があることから、米国ニューヨーク債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.32%に反発した終値をつけたことや、米国30年債の利回りは4.448%の終値と、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大が為替相場に影響を与えていた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の151円38銭付近から、円の安値でドルの高値の151円77銭付近の値幅約39銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は151円65銭付近と、前営業日の前ニューヨーク終値の151円35銭付近と比較すると、約30銭の円安ドル高をつけていた。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円60銭付近であったが、151円台後半では為替介入警戒感もあり、今朝の日本市場の時間外の米国債券市場では安全資産の米国債買いが先行したため、米国債券価格上昇に伴う利回りの一時低下の影響で米国長期金利が一時4.30%台に向けて下げたため、その後には反発に向かったものの日米金利差縮小時の一時抵抗が入っていた今朝9時2分頃に、対ドルの円相場は一時151円50銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今日からは欧州や英国や豪州などもイースターマンデーの後の連休明けになるため、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた輸入実需の円売りが入り始めたほか、先述の堅調な米国経済指標を受けた米国インフレ圧が意識された日米金利差拡大予想もあって、米国長期金利も反発と再上昇に向かったため、ドルは円相場で反発と上昇を始めた。
午後からは連休明けの欧州英国市場の参入が始まり、今週は前述の米国雇用統計を含めた最新米国重要経済指標の発表イベントを控えているが、最近の市場予想に対する米国経済指標の上振れなどの影響から「今後のデータ」次第では米国利下げ開始時期が市場予想で優勢だった6月より後期になる可能性が意識され、日本市場の時間外米国債券取引の米国長期金利も再び一時4.33%台に向けて上昇し、一方で欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) は欧州の早期利下げに言及する高官達のハト派寄りの発言が続いていた影響などから、ゼロ金利に近い低金利の円への日米金利差拡大による円売りドル買いに加えて、先日に欧州近郊のスイス銀行のサプライズ利下げがあった影響も市場予想に燻っていた欧州ユーロ売りでもドルが買われて上昇した影響が対ドル円相場に波及し、午後14時11分頃にドルは円相場で一時151円80銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、151円台後半では為替介入警戒感による利益確定や持ち高調整の抵抗が入ったほか、今日の東京株式市場では今朝までの米国市場の影響もあり、今日の日経平均株価が一時は前日比で小幅安にも傾いていたため、リスク回避のリスクオフでも低リスク通貨の円の買い戻しが抵抗要因として入っていた。
しかし、その後には今日の日経平均株価は前日比で小幅高になり、午後15時台に3万9838円91銭の終値をつけ、前日比35円82銭高の小幅高で大引けしたことでは、今日の日本市場の前日比での円安ドル高トレンドが継続した。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は151円67〜68銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の151円33〜35銭付近の前東京終値比で約34銭の円安ドル高であった。
夕方から連休明けの英国ロンドン外国為替市場の本格参入を受けては、米国長期金利が今夜19時台頃には一時4.34%台に向かうなど更なる上昇も見せているものの、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入警戒感は、円相場でのドルの上値を抑えていた。
今夜この後には、米国市場で最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に2月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数と、2月の米国製造業新規受注、23時10分頃から米国FRBのボウマン理事の発言予定、25時頃から米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定、25時5分頃から米国クリーブランド連銀のメスター総裁の発言予定、26時30分頃から米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言予定などがあり、これらのFRB高官達は全員が次回のFOMC投票権を持っている。
一方、欧州ユーロの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円89~91銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の163円23~24銭付近の前東京終値比で約34銭の円高ユーロ安であった。
また、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0739〜1.0741ドル付近で、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0784〜1.0786ドル付近の前東京終値比では約0.45セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、昨夜の米国経済指標を受けてユーロ安ドル高が進んでいた影響が今日の円相場にもユーロ安として影響が波及したほか、日米株価下落時のリスク回避でも、低リスク通貨の円や安全資産のドルに対して欧州ユーロが売られやすかった。
また、今日の日本市場時間の午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標のフランスの3月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想の45.8から46.2に上方修正され、16時55分のドイツの3月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の41.6に対し41.9に上方修正されて、17時の欧州ユーロ圏総合の3月欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の45.7を上回る46.1に上方修正されたものの、いずれも景気ボーダーラインの50を下回る不景気寄りの欧州指標であったため、米国と比較すると欧州では景気を背景としたインフレ圧が弱いことが意識されており、昨日のニュースでもお伝えした通り、欧州市場の連休中に報道された欧州中央銀行 (ECB) 高官のハト派発言の影響などもあり、米国よりも欧州利下げの開始時期の方が早くなる可能性や欧米金利差予想などが市場で意識されていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円37〜43銭付近で、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の190円97銭〜191円3銭付近の前東京終値比では約60銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドも、ドルや低リスク通貨の円に対して売られたほか、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の3月の英国ネーションワイド住宅価格の前月比が前回の0.7%と市場予想の0.3%を下回る-0.2%に鈍化した。
しかし、今日の日本市場終了後の今夜17時30分に発表された3月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想の49.9を上回る50.3に上方修正され、景気ボーダーライン50以下の不景気寄りから50以上の好景気寄りの指標に転じたことでは、今夜の英国ロンドン外国為替市場では連休明けの現地実需もあり、英国ポンドの買い戻しの抵抗もやや混ざっている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月2日の日本時間(JST)19時35分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時35分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場では3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / JST-13) になっていたが、今回の変更で、EDTは英国冬のGMT-5から夏のGMT-4に変更された。)
通貨ペア | JST 19:35の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 151.69 〜 151.70 | +0.36 (円安) |
ユーロ/円 | 162.94 〜 162.95 | -0.29 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0740 〜 1.0742 | -0.0044 (ドル高) |
英ポンド/円 | 190.56 〜 190.62 | -0.41 (円高) |
スイスフラン/円 | 167.01 〜 167.07 | -0.89 (円高) |
豪ドル/円 | 98.67 〜 98.71 | -0.06 (円高) |
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