FXニュース:主要通貨に対し歴史的円安
東西FXニュース – 2024年4月25日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 1990年以来ドル円155円台
- 米長期金利上昇一時4.67%
- 米経済指標の上振れを警戒
- 低金利通貨円売りで全面安
- 鈴木財務相「ノーコメント」
- 明日日銀金融政策発表控え
- 日経平均株価は大幅に反落
- 2008年以来円安ユーロ高
- 2015年以来円安ポンド高
- 2014年以来円安豪ドル高
今日2024年4月25日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の155円24銭付近から、円の安値でドルの高値の155円74銭付近の値幅約50銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は155円62〜63銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の154円90〜92銭付近の前東京終値比では約72銭の円安ドル高であった。
今日の日本の東京外国為替市場では、対ドル円相場は一時155円74銭付近と、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で記録した一時155円37銭付近を上抜けて、1990年6月以来のおよそ34年ぶりの今年最大の円安ドル高を連日で続伸したほか、他の主要通貨に対しても歴史的な円安を記録しており、欧ユーロ円も2008年以来の今年最大の円安ユーロ高を更新し、英ポンド円も2015年以来の今年最大の円安ポンド高を記録し、豪ドル円も2014年以来の今年最大の円安豪ドル高を記録するなど、一時全面円安を記録した。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州英国市場では欧州ユーロ圏主要国ドイツの4月の独企業景況感指数が市場予想を上振れし、欧州景気懸念緩和による欧州ユーロの買いが低リスク通貨の円売りに対して入ったほか、安全資産の欧米国債が売られた影響で利回りが上昇し、利回りが指標となる欧米長期金利の上昇を受けた欧米金利差トレードで低金利通貨の円売りが進み、昨夜21時頃から米国ニューヨーク外国為替市場が参入した時の対ドル円相場はすでに一時154円93銭付近の始値と、155円台を目前にした上昇トレンドであった。
米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜21時頃の一時4.64%台から一時4.65%付近に向けて上昇中であったため、かねてからの円安要因である日米金利差拡大による円売りドル買いの影響が続き、昨夜21時12分頃には一時155円11銭付近と1990年6月以来の155円台に乗せ始め、昨夜21時13分頃には一時155円17銭付近を記録したが、155円を超えたことでノックアウト・オプション (Knock-out Option) が自動決済されたことや、ドル買いポジションの日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入警戒による利益確定と売りポジションのストップロスを引っ掛けたため、ドルは円相場で瞬時に一時154円76銭付近に反落し、米国市場の円の高値でドルの安値を記録したが、上昇トレンドだったドルはすぐに買い戻されて反発し、昨夜21時19分頃からは再び155円台に乗せ始めた。
昨夜21時30分には最新米国経済指標の3月の米国耐久財受注の発表があり、前月比は前回の1.4%と前回修正の0.7%と市場予想の2.5%を上回る2.6%に上昇したことでは発表時にもドルは円相場で一時155円8銭付近に上昇したが、3月の米国耐久財受注の輸送用機器を除くコアな前月比では前回の0.5%と前回修正の0.1%と市場予想の0.3%に対し0.2%であったことでは、瞬時に一時154円85銭付近にも押し戻された。
しかし、今夜この後の4月25日の翌米国市場では、最新米国重要経済指標の1〜3月四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 速報値の発表予定があり、その翌日の4月26日の夜にも米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) が重要視する最新インフレデータの3月の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指数の発表予定を控えており、最近の経済指標トレンドから米国重要経済指標の上振れへの警戒感や、景気要因などを背景にした米国インフレ圧を受けて米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国政策金利を高金利のままで長期間維持する市場予想が高まっていたため、米国政策金利の先高感により、昨夜23時40分頃には米国長期金利が一時4.67%付近に上昇し、日米の債券利回りを受けた日米金利差拡大による円売りとドル買いと主要通貨に対する円売りやドル買いが続いたほか、155円台前半に乗せても日本の為替介入が入らなかったこともあり、155円台に上昇時の抵抗幅が減り始めて下げても155円台付近止まりになり、昨夜23時38〜41分頃の数分間にドルは円相場で一時155円10銭付近の高止まりを見せたほか、その値動き中の昨夜23時39分頃にもドルは円相場で一時155円11銭付近に再び上昇し、155円台に乗せたままでの推移を始めていた。
また、昨夜23時30分に発表された週間の米国原油在庫では、前回の273.5万バレルと市場予想の190.0万バレルに対し-636.8万バレルと想定外に大幅減少し、原油先物価格が上昇した影響も、中東情勢などで原油高によるインフレ圧の懸念があった後だけに、住宅やエネルギーなどの米国の根強いインフレ圧が意識されていた。
午前2時には米国ニューヨーク債券市場で米国5年債の入札があり、米国主要企業の決算報告シーズンの米国ニューヨーク株式市場で前日までは中東情勢警戒感の緩和などで大幅続伸した米国ダウ工業30種 (Dow Jones Industrial Average) が米国の高金利警戒感で反落を見せるなどしたため、安全資産の米国債買いの抵抗も入った影響の波及では米国長期金利が一時4.65%付近に一時低下したがすぐに反発し、午前2時35分頃からは再び一時4.66%台になった。
午前2時45分頃にも米国長期金利は一時4.66%台に乗せたまま上昇を続けて高止まりしており、日米金利差拡大による円売りドル買いや、主要通貨に対する低リスク通貨の円売りが続いたことで、午前2時42分頃にドルは円相場で一時155円37銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、この時点での1990年6月以来の今年最大の円安ドル高を更新した。
今日から明日の日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合のイベントを控えた市場予想では、以前の日銀のマイナス金利解除の異例の超小幅利上げ後も円安が進行するなどしたため据え置き予想や、万一のサプライズ利上げがあっても利上げ幅が小幅だと金利差への影響も限られるなどの市場予想が出ていたことでも、日米の金融政策の違いが意識され、低金利通貨の円が他の高金利の主要通貨に対して売られやすかった。
米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種は大幅続伸だった前日比でも小幅安の終値と下げ幅が限られたほか、米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) は前日比で小幅高の終値と続伸し、低リスク通貨の円需要が弱まったため、株引け後の午前5時34分と5時50分頃にもドルは円相場で一時155円37銭付近の市場高値を再記録したが、米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国長期金利は終盤の安値買いの影響もあり、一時4.642%付近であったことではこの時点では高値は上抜けていなかった。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の154円76銭付近から、円の安値でドルの高値の155円37銭付近の値幅約61銭の値動きで、今朝6時前頃のニューヨーク終値は155円35銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の154円83銭付近と比較して約52銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時155円27銭付近の始値で、米国長期金利が今朝9時前頃には一時4.64%台であったため、今朝9時5分頃には一時155円24銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録したが、その後には米国長期金利が一時4.65%台に再上昇したため、再び円安ドル高が進行した。
今朝早朝までにも155円台の今年最大の円安ドル高が進行していたが、今朝は日本政府の鈴木俊一財務相が、円安進行について「コメントは控える」とノーコメントで、特に為替介入警戒感を更に高める円安牽制や口先介入を行わなかったこともあり、今日の参院財政金融委員会では、「市場をしっかりと注視している」などの発言はあったものの、警戒域の155円台に一日で1円や2円も変動するような急速なボラティリティ (価格変動性 / Volatility) を見せておらず、実際に海外市場から155円台に乗せても為替介入が起きなかったことで、ドルだけでなく主要通貨に対する円安が進行し、主要通貨のクロス円の円安ユーロ高や英国ポンドや豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドルなどに対する歴史的な円安が進行した。
市場では、今日から日銀金融政策決定会合が始まり、明日の発表までは為替介入に動きにくいのではないかとの思惑もあり、以前は警戒されていた155円台に乗せたまま、155円台の前半から後半に向けた円安ドル高が進み、2008年以来の円安ユーロ高、2015年以来の円安ポンド高、2014年以来の円安豪ドル高も記録するなど、他の主要通貨への円安の影響の波及もあり、午後14時25分頃にドルは円相場で一時155円74銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録し、1990年6月以来の今年最大の円安ドル高の記録を再び更新した。
ただし、今日の東京株式市場では、今日からの日銀金融政策決定会合では、据え置き予想が市場では優勢であったものの、金利差影響の円安の影響を議論するなどの話題があったことから、サプライズの追加利上げなどへの警戒感もあって日経平均株価が大幅に反落し、午後15時台には3万7628円48銭の終値をつけ、前日比831円60銭安の大幅安になったことでは、市場安値後の低リスク通貨の円が買い戻される抵抗が混ざった。
また、今夜この後の米国重要経済指標の発表を控えたイベントリスクも抵抗になり始めたが、上振れリスクなどもあるために、市場終盤の利益確定や持ち高調整のよる抵抗幅は、米国長期金利が高止まりを見せるなどしていたためにやや限られたほか、欧州ユーロなどに対するクロス円の主要通貨に対する一時全面円安の影響もドル円に波及していた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は155円62〜63銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の154円90〜92銭付近の前東京終値比で約72銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や米国債入札予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に1〜3月四半期の米国実質国内総生産 (GDP) の速報値と、同四半期の米国GDP個人消費 (PCE) の速報値と同四半期の米国コアPCE、同時刻に前週分の米国新規失業保険申請件数と前週分の米国失業保険継続受給者数と3月の米国卸売在庫も同時発表されるイベント時間があり、続いて今夜23時に3月の米国住宅販売保留指数、26時に米国7年債の入札予定がある。
決算報告期の米国株式市場でも、株引け後にグーグル (Google) の持ち株会社の米国アルファベット社 (GOOGL / GOOG / Alphabet, Inc.) や米国マイクロソフト社 (MSFT / Microsoft Corp.) の決算報告予定を控えている。
また、明日金曜日の日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合の結果発表とその後の植田和男日銀総裁の要人発言予定と米国個人消費支出 (PCE) 物価指数のPCEデフレーターの発表予定、そして来週4月30日〜5月1日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) とその後の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定などのイベントも控えていることには注意が必要である。
来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控え、今週は米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達は、すでに発言自粛のブラックアウト期間 (Blackout Period) に入っている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は166円84~86銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の165円59~60銭付近の前東京終値比で約1円25銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、先述の通り、今日は日米欧などの金利差トレードで低金利の円が売られて、ドルや他の主要通貨への円安の波及もあり、2008年以来の円安ユーロ高を記録していた。ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0720〜1.0722ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0688〜1.0690ドル付近の前東京終値比では約0.32セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、欧州景気懸念の後退により、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーの中には、欧州の早期利下げに慎重な意見も出てきた影響が続き、低金利の円だけでなく、高金利同士のドルに対しても、以前に売られた欧州ユーロが買い戻されていた。
今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の5月の独GFK消費者信頼感調査も、前回の-27.4と前回修正の-27.3と市場予想の-26.0に対し-24.2と改善を見せていた。
ただし、午後15時45分に発表されたフランスの4月の仏企業景況感指数は前回の100と市場予想の101に反し99とやや下げていたことなどでは、円安に対する大幅なユーロ高の影響はあったものの、欧米金利差予想もあり、対ドルでは小幅域に留まっていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円61〜67銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の192円53〜59銭付近の前東京終値比では約2円8銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、前日までにも英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) のメンバー兼チーフエコノミストのピル氏が、「私の基本的シナリオでは、英国の利下げはもう少し先になる」とタカ派発言をした後の影響が続き、債券市場では日英金利差拡大による円売りポンド買いがあったほか、ドルや欧州ユーロや豪ドルなどの他の主要通貨に対する今日の記録的な円安の影響が波及したことで大幅高になり、今日は2015年以来の今年最大の円安ポンド高も記録した。
豪ドル円も一時101円台の2014年以来の今年最大の歴史的な円安豪ドル高を記録しており、ニュージーランドドル円やカナダドル円などに対しても円安が進行し、今日の午後には主要通貨に対する一時全面円安も記録した。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月25日の日本時間(JST)19時36分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時36分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:36の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 155.59 〜 155.60 | +0.69 (円安) |
ユーロ/円 | 166.90 〜 166.92 | +1.31 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0725 〜 1.0727 | +0.0037 (ドル安) |
英ポンド/円 | 194.68 〜 194.74 | +2.15 (円安) |
スイスフラン/円 | 170.37 〜 170.43 | +0.93 (円安) |
豪ドル/円 | 101.55 〜 101.59 | +0.86 (円安) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。