FXニュース:今夜最新米雇用統計発表控え
東西FXニュース – 2023年12月08日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2023年12月8日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の142円49銭前後から円の安値でドルの高値の144円40銭前後の値幅約1円91銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円1~3銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円64~65銭付近の前東京終値比で約1円63銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の東西FXニュースでもお伝えしていた通り、昨日午後の日本市場と欧州英国市場で始まった日米欧金利差縮小予想の円買いトレンドが昨夜の米国市場でも継続し、その後には反発もあったものの、今日の日本市場の対ドル円相場にも前日比で大幅な円高ドル安の影響を残していた。
原因は、昨日の日本の参院財政金融委員会で、今後の金融政策運営の抱負について問われた日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁が、「チャレンジング (挑戦的) な状況が続いているが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングになるという様にも思っている」と発言したことで、市場では日銀の早期のマイナス金利解除思惑が浮上したほか、日銀の「通貨および金融の調節に関する報告書」の概要説明後に、長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC / Yield Curve Control) 運用の柔軟化について、マイナス金利解除後の大規模緩和金融政策の出口戦略に関する質問が委員から相次ぎ、植田総裁は日本の政策金利について、「日銀当座預金への付利か翌日物コールレートか、現時点ではどちらが適切か判断していない」と答えたほか、「マイナス金利解除で政策金利を0%にするかプラス圏の金利にするか、どの程度のスピードで利上げしていくかは、その時の経済と金融情勢次第」と発言し、その後の午後にも植田総裁と岸田文雄首相が会談し、日銀が目標とする賃金上昇を伴う2%のインフレ目標達成が出口戦略の鍵になることが市場で意識される中で、植田総裁が岸田首相と「賃金が持続的に来年も上がるかどうか点検していきたいと話した」と発言したことをきっかけに、欧米市場でも日銀の早期のマイナス金利解除思惑が高まり、日米欧金利差縮小予想の大規模な円買いドル売りで反応した。
昨夕の英国ロンドン外国為替市場でも円高ドル安が進行したが、昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場では、来週に米国新政策金利を決める米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を予定している米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が重視する最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表予定を今夜この後の翌米国市場に控えて持ち高調整などが進む中で、昨夜21時半に発表された米国民間調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの調査では、2023年1〜11月の米国企業と政府機関の人員削減計画が合計68万6860人と、前年同期比で2.2倍に大幅増加し、米国労働市場過熱後の余剰人員減らしが、新型コロナ禍の2020年同期の222万7725人以来の多さで、リーマン・ショック直後の2009年同期の124万2936人以来の高水準であったことなどから、米国労働市場軟化による米国利上げ終了予想も高まっていたこともあり、前述の日銀のマイナス金利解除思惑があったことで円高ドル安が進行し、昨夜22時頃のニューヨーク始値のドル円は145円4銭付近に低下していた。
ただし、昨夜22時半に発表された最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の21.8万件と前回修正の21.9万件と市場予想の22.2万件に対し22.0万件と前回よりは軟化したものの市場予想を上回り、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の192.7万人と前回修正の192.5万人と市場予想の191.0万人に対し186.1万人と前回と市場予想よりも改善していたことでは、ドル買いの抵抗も混ざり、発表直後の昨夜22時31分頃にはドルは円相場で一時145円26銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、同時進行していた米国ニューヨーク債券市場では、最近の米国インフレ鈍化や景気懸念などを受けた米国利上げ終了予想を受けて、安全資産の米国債買いの影響もあり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の低下が目立っていたが、この日も市場の始まりの頃には一時4.168%付近だった米国長期金利が再び低下を始めたことで、日米金利縮小予想の円買いドル売りが再び優勢になって継続した。
深夜24時に発表された最新米国経済指標の10月の米国卸売売上高の前月比も、前回の2.2%と前回修正の2.0%と市場予想の1.0%に対し-1.3%とマイナス圏に低下したことなどでも、安全資産の米国債買いで債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で米国長期金利がさらに低下した。
日米金利差縮小予想の円買いドル売りに加えて、午前2時55分頃の米国長期金利が一時4.104%付近に向けて大きく低下したことを受けて、日米金利差縮小時の円買いドル売りの勢いが強まり、ストップロスを引っ掛けたドルは円相場で一時急落し、主要通貨に対して円相場が一時急騰したほか、午前2時47分頃にドルは円相場で一時141円60銭付近の米国市場および8月以来の円の高値でドルの安値の円高ドル安を記録した。
ただし、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、金利上昇警戒感の緩和や、一部の米国ITテクノロジー株のAIなどに関する新技術のニュース好感などを受けた大幅上昇などの影響もあり、米国主要株価三指数が軒並み揃って反発上昇していたため、リスク選好 (リスクオン / Risk-on) で低リスク通貨の円には高値からの利益確定売りとドルのショートカバーの持ち高調整や買い戻しなども抵抗も入り始めた。
しかし、午前5時に発表された最新米国経済指標の10月の米国消費者信用残高の前月比は、前回の90.6億ドルと前回修正の122.3億ドルと市場予想の90.0億ドルに対し51.3億ドルと、前回と市場予想よりも低下しており、ドルの買い戻し幅は限られていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の145円26銭前後から円の高値でドルの安値の141円60銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値は144円13銭付近と前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約3円18銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝8時半には日本の最新経済指標の発表があり、10月の日本の毎月勤労統計調査の現金給与総額の前年同月比が、前回の1.2%と前回修正の0.6%と市場予想の1.0%に対し1.5%と前回と、市場予想よりも国内賃金が上昇していたことでも、日銀のマイナス金利解除思惑が継続していた。ただし、厚生労働省が今朝発表した10月の毎月勤労統計調査から物価変動の影響を除いた実質賃金では前年同月比で2.3%減少しており、9月の-2.9%からは縮小したものの、インフレの影響で実質的な賃金上昇幅は限られており、また10月の日本の全世帯家計調査の消費支出の前年同月比は、前回の-2.8%と市場予想の-3.0%に対し-2.5%と前回と市場予想よりも低下したことでも、やや買い控えの傾向が見られていた。
今朝8時50分には日本の最新重要経済指標の7〜9月第3期四半期の日本の実質国内総生産 (GDP / Gross domestic product ) 改定値が発表され、前期比は前回と市場予想の-0.5%に対し-0.7%で、年率換算も前回の-2.1%と市場予想の-2.0%に対し-2.9%と前回と市場予想よりもマイナス成長の下方修正であったが、同時発表の10月の日本の国際収支の経常収支は、季調前が前回の2兆7236億円と市場予想の1兆9012億円に対して2兆5828億円と前回ほどではないものの市場予想よりも上昇し、季調済では前回の2兆109億円と市場予想の1兆8582億円に対し2兆6217億円と前回と市場予想を上回ったが、10月の日本の国際収支の貿易収支は、前回黒字の3412億円と市場予想の-3722億円に対し-4728億円の赤字と、強弱が入り混じる結果になっていた。
今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は、一時144円24銭付近の前東京終値比では大幅な円高ドル安から始まり、先述の日銀マイナス金利解除思惑の影響もあり、今朝の国内債券市場でも日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が上昇し、一時0.800%付近との11月16日以来の高利回りになっており、日米金利差縮小による円買いドル売りが再び入り、今朝の仲値決済後の午前10時8分頃にドルは円相場で一時142円49銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今夜この後には最新米国重要経済指標の米国雇用統計などの発表イベントを控えており、米国連邦準備制度理事会 (FRB) は今後のデータ次第では米国追加利上げの可能性を排除していないことなどもあり、海外市場で急速に進んだ円高後の利益確定やイベント前の持ち高調整などの抵抗も入り始めて、ドルは円相場で反発を始めた。
午後14時に発表された日本の11月景気ウオッチャー調査の現状判断DIは、前回と横ばいの49.5で市場予想の49.1を上回り、先行き判断DIは前回の48.4と市場予想の48.1を上回る49.4であったことや、日本の金利上昇警戒感から日経平均株価が大幅に続落したことを受けて、低リスク通貨の円買い抵抗も混ざったものの、午後からの欧州英国市場の参入でも今夜の米国雇用統計発表のイベントを控えたドル円の持ち高調整などが進み、午後16時20分頃にドルは円相場で一時144円40銭付近にまで下げ幅を縮小したが、前日比では大幅な円高ドル安の範囲にとどまっていた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は144円1~3銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の145円64~65銭付近の前東京終値比で約1円63銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後には、最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時半に11月の米国雇用統計の米国非農業部門雇用者数、米国失業率、米国製造業雇用者数、米国平均時給などが発表されるイベント時間があり、続いて深夜24時の米国ミシガン大学の消費者信頼感指数の速報値も注目されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は155円29〜34銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円99銭〜157円0銭付近の前東京終値比で約1円70銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、来週の欧州中央銀行 (ECB) 理事会を控え、欧州利上げ終了と欧州利下げ転換時期に関する市場予想が高まる中で、前述の日銀のマイナス金利解除思惑による日欧金利差縮小予想で、欧州ユーロ売りに対しても円相場が大幅に上昇した。
また、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ主要国ドイツの11月の独消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の改定値は、前月比-0.4%と前年同月比3.2%の前回と市場予想通りの横ばいであった。
ただし、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、今夜この後の米国雇用統計発表のイベントを控え、欧州市場でイベントリスクの持ち高調整で欧州ユーロの買い戻しが入ったことなどから、小幅なユーロ高ドル安も見せている。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0778〜1.0780ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時1.0778〜1.0780ドル付近の前東京終値で約0.00セントの同価格の横ばいレンジであった。
主な原因は、欧米ともに来週の利上げ終了予想が優勢で、日銀マイナス金利解除思惑で双方が円に対して売られていたことなどが為替相場に影響を与えていた。また、今夜の米国雇用統計を控えた持ち高調整や買い控えも入っていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は180円97銭〜181円3銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の183円21〜27銭付近の前東京終値比で約2円24銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、欧州ユーロ同様に、英国ポンドも先述の日銀のマイナス金利解除思惑による日英金利差縮小予想で売られたほか、主要通貨に対する今日の円高の影響を受けていた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月8日の日本時間(JST)20時40分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時40分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:40の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 144.52 〜 144.54 | -1.12 (円高) |
ユーロ/円 | 155.81 〜 155.83 | -1.18 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0780 〜 1.0784 | +0.0002 (ドル安) |
英ポンド/円 | 181.85 〜 181.91 | -1.36 (円高) |
スイスフラン/円 | 165.13 〜 165.19 | -1.52 (円高) |
豪ドル/円 | 95.46 〜 95.50 | -0.08 (円高) |
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