FXニュース:日銀の早期の修正予想が後退
東西FXニュース – 2023年12月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米雇用統計が市場予想上回る
- ミシガン大消費者信頼感上昇
- 早期の米利下げ転換予想減退
- 米長期金利上昇と株高円売り
- 日経株価大幅高のリスクオン
- 今週の米欧英瑞金融政策控え
今日2023年12月11日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の144円87銭前後から円の安値でドルの高値の146円45銭前後の値幅約1円58銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円38~40銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の144円1~3銭付近の前東京終値比で約2円37銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週金曜の夜22時頃から土曜の朝7時頃までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場で先週金曜日22時30分に発表された最新米国重要経済指標の11月の米国雇用統計 (CES / Current Employment Statistics) は、11月の米国非農業部門雇用者数 (NFP / Nonfarm Payroll) の前月比が前回の15.0万人と市場予想の18.0万人に対し19.9万人と前月と市場予想を上回り、11月の米国失業率 (Unemployment Rate) も前回と市場予想の3.9%に対して3.7%に改善され、11月の米国平均時給 (Average Hourly Earnings) の前月比も前回の0.2%と市場予想の0.3%に対し0.4%上昇と前月と市場予想以上で、堅調な米国雇用市場を背景に、今週の12月12〜13日に米国新政策金利と金融政策を決定する次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) のイベントを控えている米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の来年早期の米国利下げ転換予想が後退し、発表前は4.18%台付近で推移していた米国長期金利が4.24%台付近に向けて上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いで発表直後の先週金曜日22時31分にドルは円相場で一時145円21銭付近の先週末の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、早期の米国利下げ転換予想はやや後退したものの、今月の米国政策金利の据え置きによる米国利上げ終了予想は市場で優勢であったため、米国長期金利が4.24%台から4.21%台付近に一時反落したことを受け、米国市場の高値を記録後のドルには米国連邦公開市場委員会 (FOMC) イベント前のイベントリスクによる持ち高調整や、週末市場の短期の利益確定売りが入りやすくなり、先週金曜の夜22時50分頃にはドルは円相場で一時143円75銭の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したが、堅調な米国雇用市場の賃金インフレ圧も意識され、米国市場の安値後のドルにはすぐに買い戻しも入り始めた。
続いて深夜24時に発表された最新米国経済指標の12月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値も、前回の61.3と市場予想の62.0に対し69.4と、前回と市場予想を大きく上回って上昇したが、同時発表の米国消費者による1年先の米国予想インフレ率が前回の4.5%に対し3.1%と大幅に低下したことを受けては、一時再びドル売りが強まったものの、堅調な米国雇用市場による賃金インフレ圧に加えて、米国消費者感度指数の米国景況感を示す現状指数と先行き期待指数の双方が上昇していたため、景気によるインフレ圧も意識され始め、米国利上げ終了後も早期の利下げに転換せずに高金利がしばらく維持されるという市場予想が高まり、米国長期金利が一時4.27%付近に向けて再び上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いが起き始めた。
同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場でも、堅調な米国雇用市場と米国消費者マインドによる米国景況感の好感により、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (DJI / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種 (SPX / S&P500 / Standard and Poor’s 500) と米国ナズダック (IXIC / NASDAQ Composite) が軒並み揃って上昇し、米国株高によるブル・マーケット (強気市場 / Bull Market) のリスク選好 (リスクオン / Risk-on) で、安全資産の米国債売りや低リスク通貨の円売りが入り、為替相場に影響を与えていた。
このため、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の145円21銭前後から円の高値でドルの安値の143円75銭前後の値動きで、先週土曜日の朝7時頃の先週末のニューヨーク終値を144円95銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約82銭の円安ドル高をつけていた。
週が明けた今朝8時50分には日本の最新経済指標が発表され、11月の日本マネーストックM2の前年同月比は前回の2.4%に対し2.3%で、10〜12月の四半期法人企業景気予測調査では、大企業全産業業況判断指数 (BSI) が前回の5.8に対し4.8に低下したものの、大企業製造業業況判断指数 (BSI) は前回の5.4に対し5.7と強弱が入り混じっていた。
今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場では、先週末に発表された前述の堅調な米国雇用統計などを受けた早期の米国利下げ転換予想の後退により、日本市場時間の時間外の米国債券市場でも米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢になったため、開場直後の今朝9時1分頃の一時144円87銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、その後は円相場でドルが上昇を続けた。
今朝の日本市場の仲値決済で日本の貿易企業の輸入実需による円売りドル買い注文が入ったほか、前述の日本の主要貿易先の米国の株高の影響もあり、今日の東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が大幅に上昇し、一時は前営業日比で600円以上の大幅高を記録したことから、日米株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りドル買いが進行した。
今日の日経平均株価は、午後15時15分に3万2791円80銭の終値をつけ、前営業日比483円94銭高と、1.50%の上昇のままで大引けしたため、円の買い戻し幅は限られた。
夕方からの英国ロンドン外国為替市場の本格参入時の頃に、米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) が、来週12月18〜19日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 金融政策決定会合を控えた日銀関係者が、日銀の長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC / Yield Curve Control) 撤廃などの「マイナス金利解除、日銀は今月急ぐ必要ほとんどない」との認識を示したというニュースが話題になり、早期の日銀マイナス金利解除予想が後退し、米国長期金利上昇に伴う日米金利差拡大の円売りドル買いも相まって、今日の日本市場の終盤に大規模な円売りドル買いの調整が起きたため、17時前頃に一時146円45銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、その直後に東京終値を迎えた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は146円38~40銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の144円1~3銭付近の前東京終値比では約2円37銭の大幅な円安ドル高になった。
東京終値直後の英国ロンドン外国為替市場でも、今夜17時2分頃にドルは円相場で一時146円46銭付近まで買われたが、今週12月13日の米国と14日の欧州・英国・スイスの米欧英瑞金融政策発表イベント日を控えた持ち高調整や利益確定売りの抵抗もやや入り始め、イベント前のイベントリスクによる持ち高調整後の様子見の買い控えなどのやや横ばいに近い値動きなども混ざり始めている。
今夜この後には、利回りが米国長期金利の指標になる米国10年債などの入札予定があり、日本時間の今夜の経済指標カレンダーには特に米国経済指標の発表予定はないものの、25時半の米国3年債の入札予定と、27時に米国10年債の入札予定があることが注目されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円40〜45銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時155円29〜34銭付近の前東京終値比で約2円11銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、今週の12月14日の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会を控えた欧州利上げ終了予想は既に市場予想で織り込まれていたものの、先述の今日の夕方の日銀関係者の報道を受けた日銀の早期のマイナス金利解除予想の後退による円売りでは、ドルやユーロなどの主要通貨の買い戻しが起きたことが円相場に大幅な円安の影響を与えていた。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0753〜1.0757ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0778〜1.0780ドル付近の前東京終値で約0.25セントのユーロ安ドル高であった。
主な原因は、欧米ともに来週の利上げ終了予想は市場で優勢ではあるが、先週末の堅調な米国雇用統計などにより、米国よりも欧州景気懸念の方が強いため、欧州の利下げ転換時期の方が早期になるのではという市場予想が出ていたことなどがユーロドルの値動きに影響を及ぼした。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は183円66〜72銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の180円97銭〜181円3銭付近の前東京終値比で約2円69銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、先述の日銀の早期のマイナス金利解除予想の後退により、ドルや欧州ユーなどの主要通貨に対して円が売られた円安の影響が英国ポンドの円相場にも波及したほか、今週の12月14日には英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の英国新金利発表イベントも控えており、追加利上げの可能性を排除していないこともあり、日英金利差予想の持ち高調整でも円売りで英国ポンドの買いが起きていたために、欧州ユーロよりも大幅高になった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月11日の日本時間(JST)20時21分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時21分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:21の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 146.25 〜 146.27 | +2.24 (円安) |
ユーロ/円 | 157.48 〜 157.49 | +2.19 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0766 〜 1.0768 | -0.0012 (ドル高) |
英ポンド/円 | 183.89 〜 183.95 | +2.92 (円安) |
スイスフラン/円 | 166.09 〜 166.15 | +1.65 (円安) |
豪ドル/円 | 95.89 〜 95.93 | +0.68 (円安) |
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