FXニュース:米利下げ予想で長期金利低下
東西FXニュース – 2023年12月28日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2023年12月28日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の141円67銭前後から円の高値でドルの安値の140円71銭前後の値幅約96銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は140円78~80銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の142円69~71銭付近の前東京終値比で約1円91銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析ではまず、昨夕に日本銀行 (日銀 / BoJ) が来年2024年1〜3月の公開市場操作の国債買い入れオペの減額減回数の運営方針を発表したほか、日銀の植田和男総裁がNHK (日本放送協会) のインタビューで、来年に日銀のマイナス金利が解除される可能性は「ゼロではない」と発言したことで、来年の日本の経済と物価情勢の好転や賃金上昇を伴う2%の物価目標への見通しへの期待感が高まり、昨日の朝の日銀の主な意見を受けて一時後退していた来年の日銀の大規模緩和金融政策の出口予想が再燃し、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では円の買い戻しが混ざり始めたが、大型連休明けの昨夜の欧州英国市場では実需のある欧米通貨の買い戻しも入ったため、昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時142円59銭付近から始まった。
昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、年末と四半期末を控えたドルの買い戻しもあり、深夜24時頃にドルは円相場で一時142円66銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。
しかし、深夜24時に最新米国経済指標の12月の米国リッチモンド連銀製造業指数が発表され、前回の-5と市場予想の-3に対し-11と前回と市場予想以下かつ大幅に悪化したことを受けた市場では、米国景気懸念により来年2024年早期の3月19〜20日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) から米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国利下げを開始するという市場予想が高まり、米国長期金利が低下し、日米金利差縮小による円買いドル売りや、米国よりも来年の利下げ時期が遅くなる市場予想が優勢だった欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対するドル売りが強まり、発表後の午前1時25分にはドルは円相場で一時141円83銭付近に下落した。
米国政策金利誘導目標のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値で有名なシカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) の「フェドウォッチ (FedWatch Tool) 」では、0.25%の小幅な米国利下げ予想値が72.8%と70%の確定値を超えた優勢さを保っているほか、一部の0.50%の大幅利下げ予想値も13.9%と、金利据え置き予想の13.4%を上回っている。
ただし、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、米国の高金利への警戒感が緩和されたことでは、米国主要株価三指数が揃って上昇し、米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が一時史上最高値を更新したことなどでは、ブル・マーケット (強気市場 / Bull Market) のリスクオン (リスク選好 / Risk-on) で安全資産の米国債や低リスク通貨の円が売られる抵抗も入った。
しかし、午前3時には米国5年債の入札があり、米国債買いの影響の波及で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も再び低下し、前述の来年早期の米国利下げ予想による米国長期金利の低下も相まって下げ幅が拡大したため、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りは午前4時台には一時3.7815%付近の7月20日以来の低利回りを記録し、日米金利差縮小時の円買いドル売りでドルは円相場で午前4時36分頃に一時141円54銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、米国長期金利の低下によるドル売りの影響で、欧州ユーロなどの主要通貨に対してもドルが一時全面安になり、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスも、一時100.83と7月27日以来のドル安を記録していた。
ただし、米国主要株価三指数は軒並み揃って上昇してニューヨーク株式市場の終値をつけており、年末と四半期を控えた米国市場の後半には短期の利益確定や持ち高調整などによる低リスク通貨の円売りやドルの買い戻しの抵抗もあったことでは、ドルは円相場で141円95銭付近までは買い戻されたものの、主要通貨に対するドル売りが優勢であったこの日のドルの円相場での下げ幅を回復するほどの抵抗には至らなかった。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の142円66銭前後から円の高値でドルの安値の141円54銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値は141円83銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約57銭の円高ドル安をつけていた。
今朝8時50分には日本の最新経済指標の発表があり、11月の日本小売業販売額の前年同月比が前回の4.2%と前回修正の4.1%と市場予想の5.0%を上回る5.3%に上昇したほか、11月の日本の既存店の百貨店・スーパー販売額の前年同月比も前回の3.7%から4.4%に上昇し、同時発表の11月の日本鉱工業生産の速報値も、前月比が前回の1.3%と市場予想の-1.6%に対し-0.9%と前回よりは悪化したものの市場予想よりも強く、前年同月比も同様に前回の1.1%と市場予想の-2.1%に対し-1.4%であったことでは、想定よりも強い日本経済が意識され、今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場のドル円の始値は一時141円44銭付近と、今朝7時頃のニューヨーク終値よりも円高ドル安で始まった。
ただし、今朝9時台に3.80%台だった米国長期金利が3.81%台に上昇した日米金利差拡大や、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、年末年始の休業前の日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があり、今朝9時54分頃にドルは円相場で一時141円67銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、年末と四半期末を控えた日本市場でも年末調整の円の買い戻しが始まったほか、最近の米国インフレ鈍化や昨夜の米国経済指標を受けた来年早期の米国利下げ予想に対して、昨夕の日銀の植田総裁の来年のマイナス金利解除の可能性がゼロではないという発言などにより日米金利差縮小予想により、一時3.81%台に上昇していた米国長期金利は再び一時3.80%台に戻し、円買いドル売りが優勢になった。
また、日本の金利上昇警戒感や年末調整などで今日の東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が大幅に下落し、日本株安時のリスクオフ (リスク回避 / Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われる値動きも入り、午後15時15分に今日の日経平均株価が3万3539円62線の終値で前日比141円62銭安の大幅安のまま大引けしたため低リスク通貨の円買いや円の買い戻しが継続し、午後からの欧州市場の参入でも来年早期の米国利下げ予想を受けた欧州通貨に対するドル売りの影響が続いていたこともあり、午後16時31分頃にドルは円相場で一時140円71銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
今日の夕方には日本銀行 (日銀 /BoJ) が今月12月7〜8日に開催された第18回「債券市場参加者会合」の議事要旨等を日本語と英語で公開し、添付資料図表の国内長期金利の先行き見通しで新発10年債の長期金利上昇の予測値があったことなども、来年の将来的なマイナス金利解除時期に関する市場予想などに影響を及ぼした。
ただし、欧州市場参入の午後に米国長期金利が再び一時3.81%台に反発したほか、英国ロンドン外国為替市場参入後の夕方には一時3.82%台に向けた上昇も見せたことはややドル買い戻しの抵抗要因になったが、今日の日本市場では年末を控えたポジション調整の円の買い戻しなども進んでいたことでは、大幅な円高ドル安が進行していた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は140円78~80銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の142円69~71銭付近の前東京終値比では約1円91銭の大幅な円高ドル安になった。
その後の今夜17時33分頃の英国ロンドン外国為替市場では、先述の通り米国長期金利が3.82%台に向けて上昇したためにドルの買い戻しも入り、ドルは円相場で一時141円7銭付近まで買い戻されたが、その後には四半期末と年末を控えたドル売りと欧州英国通貨の買い戻しなども入ったため、今夜19時台にはドル円は再び140円台後半にも戻している。
今夜この後には最新米国経済指標の発表予定や米国債の入札予定が続き、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時半に11月の米国卸売在庫と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、深夜24時に11月の米国住宅販売保留指数、25時に米国週間原油在庫、27時に米国7年債の入札予定などを控えている。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円47〜48銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の157円57〜59銭付近の前東京終値比で約1円10銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、今日の日本市場の年末調整では主要通貨に対する円の買い戻しの影響が見られたほか、日経平均株価の大幅下落を受けたリスクオフの低リスク通貨の円買いでは、リスク市場に弱い欧州ユーロも売られたことがクロス円の為替相場に影響を及ぼしていた。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1113〜1.1114ドル付近で、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1041〜1.1043ドル付近の前東京終値では約0.72セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、前述の通り、昨夜の最新米国経済指標を受けて、来年早期の3月の米国公開市場委員会 (FOMC) で米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国利下げを開始する市場予想が優勢で米国長期金利低下による主要通貨に対するドル売りの影響があったことに加えて、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の来年の欧州利下げ開始時期の方が米国よりも遅くなるという市場予想により、欧米金利差予想の欧州ユーロ買いドル売りも影響を及ぼしていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は180円35〜41銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の181円54〜60銭銭付近の前東京終値比では約1円19銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、欧州ユーロと同様に、主要通貨に対する今日の日本市場の年末調整の円の買い戻しが英国ポンドに対する円相場にも影響を及ぼしたほか、前述の対ドルや対ユーロでの大幅な円高の影響もポンド円に円高圧として波及していた。
ただし、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場ではスイスフランの円相場は、永世中立国で安全資産でもあるスイスフランに対しては、イスラエル情勢のニュースを受けた安全資産買いで金価格が一時上昇したのと同様に買われたほか、現地の金融系の年末調整もあり、大幅な円安フラン高になっている。世界的な安全資産といえば、通常はドル円であるが、米国のイスラエル支援には欧州周辺では人道的な反感による買い控えなども以前からあったため、低リスク通貨の円に続く欧州周辺の安全資産でもあるスイスフランは注目されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年12月28日の日本時間(JST)20時32分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時32分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:32の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 140.69 〜 140.71 | −2.00 (円高) |
ユーロ/円 | 156.47 〜 156.48 | −1.10 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1119 〜 1.1121 | +0.0078 (ドル安) |
英ポンド/円 | 179.95 〜 180.01 | −1.59 (円高) |
スイスフラン/円 | 168.20 〜 168.26 | +1.11 (円安) |
豪ドル/円 | 96.15 〜 96.19 | −1.26 (円高) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。