FXニュース:今年の円安ドル高再更新
東西FXニュース – 2023年10月02日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2023年10月2日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の149円45銭前後から円の安値でドルの高値の149円83銭前後の値幅約38銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円74~75銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の148円77~78銭付近の前東京終値比で約97銭の円安ドル高であった。
今日の日本市場では、米国政府の一部機関の閉鎖リスクがつなぎ予算案成立により回避されたことで、米国株価先物と日経平均株価が上昇し低リスク通貨の円が売られたほか、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大予想と米国長期金利上昇による日米金利差拡大により、今日の昼13時頃に一時149円82〜83銭付近と、昨年秋以来の今年最大の円安ドル高記録を再び更新した。
時間に沿った今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析は、まず先週金曜の日本市場では、先週にも日米の金融政策の方向性の違いによる日米金利差拡大により今年最大の円安ドル高の記録を続伸後のドル円は、四半期末の持ち高調整の抵抗や日本政府と日本銀行 日銀 / BoJ) の為替介入警戒感により、金曜の夕方16時53分頃に一時148円53銭付近まで円相場が急伸したが、その後の先週金曜の夜の英国ロンドン外国為替市場では、テクニカル分析的な一目均衡表転換線の148円52銭付近のサポートラインの手前からはドルの買い戻しが強まり、一時低下後の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が再上昇したことで、今週に至る日米金利差拡大時の円売りドル買いが再燃した。
ただし、先週金曜の夜から土曜の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場では、先週金曜21時半に発表された最新米国経済指標の米国個人消費支出 (PCE) 物価指数の前月比は前回の0.8%と前回修正の0.9%と市場予想の0.5%に対し0.4%に鈍化し、価格変動が激しい食品とエネルギー除いた物価の基調を見る8月の米国個人消費支出 (PCE) コア・デフレーターの前月比も前回と市場予想の0.2%に対し0.1%に鈍化を示したことでは、ドルは円相場で発表時の21時半頃に一時148円94銭付近まで下落する抵抗が入った。
しかし、同時発表の最新米国重要経済指標の8月の米国個人消費支出 (PCE) デフレーターの前年同月比は前回と市場予想一致の3.5%の横ばいで、価格変動が激しい食品とエネルギーを除いた8月の米国個人消費支出 (PCE) コア・デフレーターの前年同月比も、前回の4.2%と前回修正の4.3%に対して市場予想通りの3.9%と、想定範囲内での米国インフレの根強さも示していたことでは、すぐにドルは再び149円台に反発し、米国長期金利上昇に伴った円相場でのドルの上昇トレンドの中での下げ幅の抵抗は限られた。
同じく発表された8月の米国個人所得の前月比も、前回の0.2%に対し市場予想通りの0.4%に上昇し、8月の米国卸売在庫の前月比も前回の-0.1%と市場予想の-0.2%に対し-0.1%と市場予想を上回っていたことで、その後のドルは149円台で底堅く推移した。
先週金曜22時45分に発表された9月の米国シカゴ購買部協会景気指数は前回の48.7と市場予想の47.6を下回る44.1であったが、続いて23時に発表された9月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値は前回と市場予想の67.7を上回る68.1であったことでは、強弱入り混じる結果の中でも米国経済の底堅さが意識されており、米国政策金利が高水準で長期間維持されるという米国金融引き締め長期化の市場予想が優勢で、日本市場時間には一時4.5%台にまで低下した米国長期金利が再び4.6%台に向けて上昇したことで、日米金利差拡大による円売りドル買いが続いた。
また、先週土曜の深夜過ぎの午前1時45分頃からは、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁のイベント講演での発言予定があったのだが、講演イベントへの出張は取りやめになったものの、講演原稿は公開され、内容で、「米国フェデラルファンド (FF) 政策金利誘導目標のレンジは、ピークかそれに近い水準にあるというのが、現時点での私の判断だが、しばらくの間は景気抑制的な金融政策スタンスを維持する必要があるとみている」と、米国追加利上げに関しては終了が近い可能性を示唆したものの、米国のインフレ率は「まだ高すぎる」ことから、目標の2%を達成するために、米国の高金利を「しばらくの間」維持する必要性に言及しており、市場では米国金融引き締めの長期化予想が継続していた。
米国長期金利は再び4.6%台に向けて上昇し、午前3時半頃にはドルは円相場で149円48〜49銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、149円台の後半手前では、週末の米国市場では四半期末の月末の利益確定や持ち高調整や、日本政府と日銀の為替介入警戒による買い控えなどの抵抗もやや交えた。
そのため、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、円の高値でドルの安値の148円94銭前後から円の安値でドルの高値の149円49銭前後の値動きで、先週末の土曜の朝6時頃のニューヨーク終値を149円37銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約6銭の円安ドル高をつけていた。
週が明けた今朝9時頃からの日本市場では、世界FX市場で日本市場と時間帯が近いアジア・オセアニア市場の中国と香港とインドが休場で、今日は日本市場の値動きが世界的に現れやすくなっていたが、先週末の米国市場トレンドを引き継いだ今朝の日本市場トレンドの米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国金融引き締め長期化予想により、金利抑制の日銀との日米金利差拡大予想の円売りドル買いが優勢で、今朝9時頃の一時149円45銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、ドルが円相場で上昇した。
また、今朝の日本市場の週明けのファンダメンタルズのニュースでは、先週末の9月30日の期限日までに予算案の目処がつかないと、米国政府の一部機関の閉鎖リスクがあった予算案問題について、米国連邦議会の上下両院が予算執行を11月中旬まで継続できる「つなぎ予算案」を超党派で可決してバイデン米国大統領が署名して成立し、一時は閉鎖時には米国の格下げなどまで懸念されていた米国政府機関閉鎖リスクが回避されたことで、米国主要株価先物や日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が上昇したことでも、対ドルで低リスク通貨の円が売られた。
今朝は9月21〜22日開催分の日銀 (BoJ) 金融政策決定会合の主な意見が公開され、日米の金融政策の方向性の違いによる日米金利差拡大予想が改めて意識されたほか、先週末の9月30日に日銀の植田和男総裁が講演で、2%の物価安定の目標について、「実現が見通せる状況にはまだ至っておらず、なお、(大規模緩和の) 出口には距離がある」と発言していた。
今朝は第3四半期の日銀短観も発表され、9月の日本全国企業短期経済観測調査の短観では、日本企業の景況感の業況判断指数 (DI) が大企業の製造業では市場予想を上回る上昇と好調であったが、中小企業では前回と同水準であったことでは、日経平均株価は大幅に上昇したが、低リスク通貨の円売りは継続した。
今日の日本市場の仲値決済でも、日本企業の輸入実需による円売りドル買いが入り、米国長期金利が4.6%台に上昇していたことで、日米金利差拡大による円安ドル高が進行した。
日本の主要貿易先である米国の政府機関の一部閉鎖リスクが回避されたことで米国長期金利上昇と米国株価指数先物の上昇が続き、日経平均株価も日本景気好感も相まって一時は前営業日比で500円以上の大幅上昇を見せたことで、リスクオンの円売りが勢いを増し、13時過ぎには今年最大の149円82〜83銭付近の円安ドル高を記録した。
また、今日は日銀が今週の10月4日予定の定例の公開市場操作の国債買い入れオペの指し値オペで、5年超10年以下の残存期間の日本長期債を追加すると発表したことでも、米国長期金利上昇の中で、対照的な日本の長期金利の抑制が意識され、日米金利差拡大予想の円売りドル買いも強まっていた。
ただし、今日の日経平均株価が一時の大幅高騰後には利益確定売りや調整などで下げに転じ、午後15時15分に3万1759円88銭と前営業日比97円74銭安で大引けしたことでは、リスクオンからリスクオフに転じ、低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗が入り始めた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は149円74~75銭付近で、前営業日同時刻の先週金曜17時の148円77~78銭付近の前東京終値比では約97銭の円安ドル高になった。
今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長や高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時45分に 9月の米国製造業購買担当者景気指数、23時に 9月の米国ISM製造業景況指数と、8月の米国建設支出、そして深夜24時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の発言予定と、同じ頃から米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言予定もあり、続いて26時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長の発言と、26時30分頃から米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定などがあり、今日の要人発言予定は以上の全員が次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つことで注目されている。
一方で、今日の為替相場の値動きに影響を及ぼしたファンダメンタルズの米国ニュースの米国政府の一部機関の閉鎖リスクがあった予算案問題は一時解決したものの、全米自動車労働組合 (UAW) のストライキ拡大などの賃金インフレ圧を意識させるニュースもあったことには注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は158円31~33銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の157円77~78銭付近と比較すると約54銭の円安ユーロ高であった。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0571~1.0573ドル付近で、前営業日同時刻の先週金曜17時の1.0604~1.0606ドル付近の前東京終値比では約0.33セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、米国長期金利の上昇により主要通貨に対しドルが買われた影響や、今年最大の円安ドル高が進行したことで、ユーロなどに対しても円相場下落圧とドル上昇圧の影響が波及していた。
そのため、英国ポンドに対する円相場も、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は182円57~63銭付近と、前営業日同時刻の先週金曜17時の182円11~17銭銭付近の前東京終値比で約46銭の円安ポンド高であった。
ただし、その後の欧州英国市場では、欧州や英国の景気懸念もあり、安値後の低リスク通貨の円の買い戻しなども入っている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年10月2日の日本時間(JST)19時59分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時59分) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:59の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 149.70 〜 149.72 | +0.93 (円安) |
ユーロ/円 | 157.76 〜 157.78 | ±0.00 (レンジ) |
ユーロ/ドル | 1.0537 〜 1.0539 | −0.0067 (ドル高) |
英ポンド/円 | 181.98 〜 182.04 | −0.13 (円高) |
スイスフラン/円 | 163.81 〜 163.87 | +0.33 (円安) |
豪ドル/円 | 95.76 〜 95.80 | −0.63 (円高) |
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