FXニュース:今年最大の円安ドル高を更新
東西FXニュース – 2024年2月9日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2024年2月9日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の149円49銭付近から、円の高値でドルの安値の149円21銭付近の値幅約28銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は149円39~40銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の148円73~74銭付近の前東京終値比では約66銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夕の英国ロンドン外国為替市場では、昨日に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の内田真一副総裁が、仮にマイナス金利を解除しても「どんどん利上げをしていくようなパスは考えにくい」と、マイナス金利解除後も緩和的金融政策継続を意識させる発言をしたことがニュースになり、欧米ではこれまでに0.25%〜0.50%の利上げ幅の追加利上げ後に、現在は米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レート誘導目標が5.25%~5.50%、欧州中央銀行の政策金利が4.50%前後 (欧州中銀預金金利4.00%、欧州リファイナンス金利4.50、欧州限界貸付金利4.75%) と英国5.25%の高金利政策が維持されている中で、主要通貨の中でも唯一現在−0.10%の日本のマイナス金利解除後にも、日銀副総裁の0.00%〜0.10%への異例の超小幅利上げの見通しが出てきたことで、欧米では日本の緩和的な超低金利政策が長期化する市場予想が高まり、日米欧英の金融政策の違いから金利差が意識され、高金利の主要通貨に対して超低金利の円が売られて円相場が大幅に下落し、対ドル円相場は149円台の円安ドル高にシフトした。
また、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーの高官達が、欧州利上げに慎重な発言を続けていたことでも、早期の欧州利下げ予想が後退し、欧米の長期金利上昇に伴う日本との金利差でも円が売られていたことも為替相場に影響を及ぼしていた。
欧州ユーロ圏のベルギーの中央銀行にあたるベルギー国立銀行 (NBB / National / National Bank of Belgium) のウンシュ総裁は、欧州の賃金インフレへの警戒感を示した上で、動向を確認するために「待つ意味はある」と発言して欧州利下げを急がない姿勢を示し、欧州中央銀行 (ECB) のチーフ・エコノミストでもあるレーン専務理事も、2%の目標達成への道筋を確保するためには、「一段のディスインフレが必要になる」と発言し、オーストリアの中央銀行のオーストリア国立銀行 (OeNB / Oesterreichische Nationalbank) のホルツマン総裁に至っては、「欧州中央銀行が今年利下げしない可能性は確かにある」と発言したことで、日米欧金利差による円売りの一方で、主要通貨に対して欧州ユーロも上昇していた。
英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のマン政策委員も、中東情勢を受けた紅海での物流関連コストの上昇リスクに言及し、英国のインフレ抑制のための高金利を維持するためには、追加利上げが必要というタカ派インフレ警戒感を示し、先日の英国中央銀行金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) で英国政策金利の据え置きに反対票を投じた理由に挙げていたことで、英国にも早期の利下げ予想が後退していた。
このため、円の対しては大幅な円安ドル高が進行した一方で、欧州ユーロや英国ポンドに対してはドルが売られる抵抗も混ざったため、昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時149円25銭付近の始値で、昨夜22時24分頃には一時149円8銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録していた。
しかし、米国ニューヨーク外国為替市場で昨夜22時30分に発表された最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回の22.4万件と前回修正の22.7万件と市場予想の22.0万件よりも改善された21.8万件で、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の189.8万人と前回修正の189.4万人と市場予想の187.8万人よりも堅調な187.1万人で、米国雇用市場の強さから米国の賃金インフレ圧が意識され、米国長期金利が一時4.16%台に向けた上昇を始めたため、日米金利差拡大による円売りドル買いは強まり、他の主要通貨に対してもドルが買われた影響が円相場に波及したため、ドルは円相場で深夜24時46分頃に一時149円48銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値と、この時点での今年最大の円安ドル高を記録した。
深夜24時に発表されていた最新米国経済指標の昨年12月の米国卸売売上高の前月比も、前回の0.0%と前回修正の-0.1%と市場予想の0.2%を上回る0.7%と堅調であったことも、堅調な米国経済を受けたインフレ圧に加えて、米国主要株価三指数も上昇したため、米国株高時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の安全資産の米国債売りに伴う利回り上昇による米国長期金利の上昇による日米金利差拡大時の円売りドル買いに影響を及ぼしたほか、米国ニューヨーク株式市場からの影響でも低リスク通貨の円も売られていた。
また、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言があり、米国ブルームバーグ (Bloomberg) テレビのインタビューで、先日の市場予想を上回った米国雇用統計などに言及し、「米国労働市場は、依然として非常に力強い。米国のインフレ率が低下しているのは喜ばしく、このまま低下し続けることを願っているが、我々には、辛抱強く待つ時間があると考えている」と、同日に出てきた米国労働市場の強さによるインフレ圧が改めて意識されたほか、米国政策金利の利下げを決める前に、「あと数カ月分のインフレデータを待ち、インフレ鈍化傾向が継続するかどうかを確認したい」と言及したことで、次回3月のFOMCの早期の米国利下げ予想が更に減退し、金利先物動向から市場予想値を示す米国フェドウォッチ (FedWatch) では、次回の米国政策金利据え置き予想が確定値の70%を大幅に超える82.5%付近の優勢さを保つ一方で小幅利上げ予想は17.5%付近に減退し、大幅利下げ予想は消えて無くなっていた。
ただし、円に対してはドルや欧州ユーロや英国ポンドが上昇する一方で、以前の米国政策金利見通しのドットチャートからは開始時期が遅れる可能性はあるものの、今年2〜3回の利下げ予想が出ていた米国に対し、昨夜に今年以降に利下げが遅れる可能性が指摘された欧州ユーロや、英国政策金利の追加利上げ支持があった英国ポンドに対してはドルが売られる抵抗も混ざって波及しており、今年最大の円安ドル高を記録後のドルの利益確定売りや持ち高調整などの影響も相まって、午前3時3分頃にドルは円相場で一時149円12銭付近に売られたが、その後には再び日米金利差による円安ドル高方向への反発が入った。
米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は4.154%で終値をつけ、米国ニューヨーク株式市場でも米国主要株価三指数が揃って前日比で上昇したまま終値を迎えており、日米金利差拡大と低リスク通貨の円売りが優勢だった。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の高値でドルの安値の149円8銭付近から、円の安値でドルの高値の149円48銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は149円32銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の148円18銭付近と比べて約1円14銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
早朝のアジア・オセアニア市場の値動きを経て、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時149円26銭付近から始まった。なお、日本市場と時間帯の近いアジア市場では、今日は中国が休場であった。
今日の日本市場では、明日の10日が週末にあたるため、今日が日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10がつく日の「五十日」(ごとおび)にあたり、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いでも、円相場が下落した。
今日の午前中には、日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁が衆院予算委員会に出席し、マイナス金利解除後の金融政策について、「緩和的な金融環境が当面続く可能性が高い」と、昨日の内田真一副総裁と協調する発言をしたことでも、再び日米金利差が意識され、円安ドル高が進行した。
また、今日の東京株式市場では、日経平均株価が1990年以来の約34年ぶりに3万7000円を上回る記録的な上昇を見せたことでも、バブル崩壊以来の日本株高が意識されて、リスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が主要通貨に対して売られたことでも、円相場が下落し、ドル円は今日の昼の12時55分頃に一時149円49銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録したほか、この時点での今年最大の円安ドル高記録を更新した。
ただし、利益確定の抵抗もやや入り、午後15時15分に今日の日経平均株価は3万6897円42銭の終値になったが、前営業日比で34円14銭高の続伸となり、1990年2月以来の高値圏で大引けした。
午後からの欧州英国市場の参入では、年内高値更新後のドルの利益確定売りで欧州ユーロや英国ポンドが買われた影響の波及もあり、午後16時20分頃にドルは円相場で一時149円21銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、夕方には米国長期金利が一時4.17%台に上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いが再び優勢になり、今夜17時23分頃に英国ロンドン外国為替市場でドル円は一時149円57銭付近の今年最大の円安ドル高の記録を再更新するドル上昇の途中で、今夜17時の東京終値を迎えた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円39~40銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の148円73~74銭付近の前東京終値比では約66銭の円安ドル高になった。
そして、前述の通り、今夜17時23分頃に英国ロンドン外国為替市場で、米国長期金利が一時4.17%台後半に上昇し、円安要因の日米金利差拡大によりドルは円相場で一時149円57銭付近の今年最大の円安ドル高の記録を再度更新していた。
今夜この後には、特に重要度の高い最新米国経済指標の発表予定はないものの、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜27時30分頃から米国ダラス連銀のローガン総裁の発言予定などがある。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円5〜7銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円34〜36銭付近の前東京終値比で約71銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、先述の通り、欧州ユーロ圏の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーの高官達の発言を受けて、欧州のインフレ警戒感から今年早期の欧州利下げ予想が後退したことに加えて、うち一名が今年の利下げが来年以降に遅れる可能性まで言及したことで、欧州長期金利が上昇し、日欧金利差の円に対して欧州ユーロが上昇した。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0779〜1.0781ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0779〜1.0781ドル付近の前東京終値比と同じ横ばいレンジ圏であった。
主な要因は、欧米ともに早期の利下げ予想が後退し、欧米長期金利が上昇したために競合していたが、現在の実質的な政策金利の高さでは欧州よりも米国の方が高いことや、欧州景気懸念に対して米国経済指標の強さからインフレ圧が意識されており、今日の夕方には米国長期金利上昇時の主要通貨に対するドル買いの影響などがあり、横ばいレンジ圏になった。
また、今日の夕方16時には欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の発表があり、今年1月の独消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の改定値は、前月比が前回と市場予想通りの0.2%の横ばいで、前年同月比も前回と市場予想一致の2.9%の横ばいであった。
最近の米国雇用や経済指標の強さを受けたインフレ圧や米国長期金利の上昇を受けて、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、前東京終値比で小幅なユーロ安ドル高にも転じている。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円69〜75銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の187円80〜86銭付近の前東京終値比で約89銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、高金利維持の一方で、一部ではタカ派の英国追加利上げ支持票も出ていた英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) との、日英金利差による円売りポンド買いの影響が大きかった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月9日の日本時間(JST)20時39分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時39分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:39の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 149.40 〜 149.41 | +0.67 (円安) |
ユーロ/円 | 160.88 〜 160.90 | +0.54 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0767 〜 1.0769 | -0.0012 (ドル高) |
英ポンド/円 | 188.32 〜 188.38 | +0.52 (円安) |
スイスフラン/円 | 170.60 〜 170.66 | +0.29 (円安) |
豪ドル/円 | 97.25 〜 97.29 | +0.29 (円安) |
注意:
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