FXニュース:日経平均株価2216円安
東西FXニュース – 2024年8月02日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日米欧英金融政策の違い
- 英MPC利下げ決定5対4
- 米ISM製造業景況感低下
- 欧米日株下落リスク回避
- 米長期金利低下4%割れ
- 今夜米雇用統計発表控え
今日2024年8月2日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の149円78銭付近から、円の高値でドルの安値の148円62銭付近の値幅約1円16銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円27〜29銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円78〜80銭付近の前東京終値比で約51銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜20時の英国ロンドン外国為替市場では、英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が、英国新政策金利を従来の5.25%から5.00%へと25bp (Basis point / ベーシスポイント) に利下げをすることを発表したことを受けては、先日に金利据え置きを決定したドルや日銀利上げ決定後の円に対して英国ポンドや経済圏が近い欧州ユーロが売られたが、昨夜20時30分頃から始まったアンドリュー・ベイリー総裁の発言では、英国利下げ転換の主な理由として英中銀が目標としてきた2%の英国インフレ率の達成を挙げたが、英中銀金融政策委員会の投票権を持つ議員9人のうち5人が今回の英国利下げ決定を支持した一方で、残りの4人は英国にはまだインフレ圧の懸念が残っているとして反対票の金利据え置きを提案していたという「5対4の僅差の英国利下げ決定」であったことが判明したため、連続での英国追加利下げの難しさなどが市場で意識され始めたことでは、下落後の英国ポンドや、経済圏が近いために連れ安になっていた欧州ユーロはやや下げ止まり抵抗も見せ始めた。
昨夜21時頃の英国ロンドン外国為替市場の後半から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時150円52銭付近の始値と、昨日17時時点の前東京終値よりも円相場でドルが上昇しており、英国利下げ後の欧州英国通貨に対するドル上昇の影響が、欧州英国市場での流通量の多さから同様に買われていたもの現地実需が少なめの円相場にも波及していた。
昨夜21時30分に発表された最新米国経済指標の4〜6月第2四半期の米国非農業部門労働生産性の前期比の速報値は前回の0.2%が前回0.4%に上方修正された上で市場予想の1.7%を上回る2.3%に上昇したが、同四半期の米国単位労働コストの前期比年率の速報値は前回の4.0%が前回3.8%に下方修正されたことに加えて市場予想の1.8%を大幅に下回る0.9%に低下したことでは、米国インフレ鈍化が改めて意識された。
英国利下げ転換の主な原因が英国インフレ鈍化であった影響も、米国が英国から独立した歴史上でも文化的な共通点を持つ米国市場でも意識されたが、米国市場では翌市場にあたる今夜この後に最新米国重要経済指標の7月の米国雇用統計の発表イベントを控えているため、雇用関連の経済指標の軟化や景気減速などによるインフレ圧の鈍化も米国利下げ要因となると考えられていたが、昨夜21時30分に同時発表された前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の23.5万件と市場予想の23.6万件に対し24.9万件と雇用軟化を示し、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の185.1万人と前回修正の184.4万人と市場予想の185.6万人に対し187.7万人に失業者が増加した弱い雇用関連の指標を受けて、昨夜21時30分にこれらの経済指標が同時発表された時には、ドルは円相場で一時150円16銭付近に一時反落した。
しかし、米国債券市場では、昨夜21時頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.067%付近に上昇しており、英国利下げ後に英国長期金利が一時3.8%台に低下し、地理的な経済圏が近い欧州長期金利も連れて下落したことに対して、米国長期金利は昨夜22時頃にも一時4.022%付近と4.0%台の推移を続いていた時間があったことでは、債券利回りを受けた金利差トレードでドルが主要通貨に対して買われていた影響が円相場にも波及し、昨夜22時頃にドルは円相場で一時150円89銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、同時進行していた欧州株式市場では、欧州主要株価指数のドイツの株価指数の独DAX (Deutscher Aktien IndeX) が大幅に下落し、英国株式市場でも英国主要株価指数の英国FTSE 100 (Financial Times Stock Exchange 100 Index) が英国利下げ後の金利警戒感の緩和はあったものの小幅ながらも連れ安になったため、欧州株安時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で世界的な安全資産である米国債が買われた影響で、債券価格上昇に伴う利回り低下が起き始め、米国長期金利が低下し、債券利回りを受けた日米金利差縮小の円買いドル売りと、世界的な流動性の高さから欧州ユーロに対する安全資産でもあるドルに続き、ドルからでも買える低リスク通貨の円が買われ始めたことでは、円相場が反発した。
また、欧州や英国の株価下落の影響を受けて、米国ニューヨーク株式市場でも米国主要株価三指数が下落に向けたことでも、リスクオフムードによる安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いが入り始めていた。
昨夜22時45分に発表された7月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) の改定値は、前回の速報値の49.5に対し市場予想の通りの49.6にやや上方修正されたものの、好景気と不景気の境界線である50を連続で下回り続けていた。
さらに、昨夜23時には、最新米国重要経済指標の 7月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米サプライマネジメント協会) 製造業景況指数の発表があり、前回の48.5と市場予想の48.8を下回る46.8に下振れしたことを受けて、米国景気要因のインフレ圧鈍化に加えて、米国景気減速懸念によるリスク回避のリスクオフムードが強まったため、世界的な安全資産の米国債買いの勢いが増して、米国利下げ予想でも下げていた米国長期金利が更に下落したために急落し、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は4.0%割れを起こして昨夜23時40分頃に米国長期金利は一時3.967%付近にまで低下し、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りが起きて、ドルは円相場で149円台に向けて下落トレンドを形成した。
昨夜23時に同時発表されていた経済指標の6月の米国建設支出の前月比も、前回の-0.1%と市場予想の0.2%に対しマイナス圏の-0.3%に悪化していた。
同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、前日には米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) 後の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の発言を受けて、今年9月の米国利下げ予想が高まり、今年年内に1回以上の利下げの可能性や一部の市場予想では米国雇用市場が大幅な軟化を示すなどのデータ次第では大幅利下げの可能性も否定できないとの予想値も浮上していた影響で、米国高金利長期化への警戒感の緩和からは米国主要株価三指数が揃って上昇後ではあったが、この日には欧州株式市場の大幅下落の影響の波及に加えた米国景気減速懸念への警戒感が再浮上したことで、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が前日比大幅安、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も前日時大幅安、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も揃って反落した安値の終値に向けたことでは、米国株価下落時の安全資産の米国債買いと低リスク通貨の円買いが相まって、対ドルの円相場が上昇を続けたため、午前5時55〜56分頃にかけてドルは円相場で一時149円28銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点でも、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は3.977%と、前日比-0.054に低下していたことも債券利回りを受けた日米金利差縮小による円買いドル売りに影響を及ぼしていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の150円89銭付近から、円の高値でドルの安値の149円28銭付近の値幅約1円61銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は149円36銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の149円98銭付近と比べて約62銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも米国長期金利低下を受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りで円高ドル安が進行したため、今朝9時頃から始まった日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時149円21銭付近の始値であった。
ただし、日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けては日本企業の輸入実需や準備金のドル需要が高く、投資系でも新NISA (Nippon Individual Savings Account / 少額投資非課税制度) のための月初めの円売りドル買いなどがあったため、今朝10時31分頃にはドルは円相場で一時149円78銭付近に反発し、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今日の東京株式市場では、日銀の追加利上げによる金利上昇への警戒感や円安時に買った日本株を円高時に利益確定売りをする海外投資家達の値動きでも下落していた日経平均株価が、今朝までの欧米株価下落によるリスク回避のリスクオフムードを受けて、欧米を取引先に持つ日本企業の円高を背景にした輸出競合力低下などの業績悪化懸念もあり、大幅に下落し、1987年10月19日の月曜日に起きた史上最大の米国株式市場の大暴落のブラックマンデー (Black Monday) の影響時以来の日本史上2番目とも言われる前日比2200円超安の下げ幅の日経平均株価の暴落に向かうと、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買い戻されたため、円相場はドルに対して反発上昇しただけでなく、リスク市場に弱い欧州ユーロや英国利下げ後の英国ポンドなどの主要通貨に対しても上昇した。
今日の午後15時台に日経平均株価は3万5909円70銭の終値をつけ、前日比2216円63銭安の大暴落を見せたまま、歴史的な大幅安で大引けした。
午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場に参入後にも、欧米だけでなく日本でもリスクオフムードになったことで、世界的な安全資産の米国債が買われており、米国長期金利が3.9%台で低下し、一時3.93%台方向に向かっていたため、低リスク通貨の円買いの影響に加えた日米金利差縮小時の円買いドル売りにより、午後16時10分頃にドルは円相場で一時148円62銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、リスク市場に弱い欧州英国通貨に対しては、世界的な流動性の高さからドルも安全資産と考えられているため、低リスク通貨の円買い後の高値の円の利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入ると、ドルは円相場で148円台から149円台に戻す値動きも見せていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円27〜29銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の149円78〜80銭付近の前東京終値比では約51銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長も注視していることで知られている最新米国重要経済指標の7月米国雇用統計の7月米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Nonfarm Payroll)と、7月米国平均時給、7月米国失業率、7月米国製造業雇用者数などが同時発表されるイベント時間があり、続いて今夜23時に6月の米国製造業新規受注、25時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国リッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁の発言予定などを控えている。
また、週末を控えた今夜の米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要企業の決算報告の影響も続いている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は161円29〜30銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の161円78〜80銭付近と比較すると約49銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、日欧金利差縮小予想に加えて、日欧金利差縮小時の円買い欧州ユーロ売りの影響があったほか、日経平均株価の暴落レベルの大幅下落を受けたリスク回避のリスクオフでも低リスク通貨の円が買われた一方で、リスク市場に弱い欧州ユーロが売られやすかった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0803〜1.0805ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0800〜1.0802ドル付近と比較すると、約0.03セントの小幅なユーロ高ドル安であった。
主な要因は、昨夜の英国利下げ後には欧州ユーロもドルに対して連れ安になった時間もあったが、昨夜の米国経済指標が市場予想を下回ったことで米国景気減速懸念によるリスク回避のリスクオフで米国債が買われて米国長期金利が低下したため、日米金利差縮小時の円相場だけでなく主要通貨に対してもドル売りが入っていた影響が残っており、低リスク通貨の円に対してドルが下落した影響が他の主要通貨である欧州ユーロにも波及していたが、欧州通貨に対してはドルも安全資産でもあるために買い戻しも入ったことでは小幅域になった。
しかし、今夕の英国ロンドン外国為替市場では、今夜この後の21時30分の最新米国雇用統計の発表を控えたイベントリスクがドルにあることでは、再びドルが売られる値動きも出ている。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は189円81〜87銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の191円64〜70銭付近と比べると約1円83銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、昨夜の英国利下げを受けて、先日の日銀の追加利上げ後の更なる追加利上げの可能性を植田和男総裁が示唆していたことで、日英金利差縮小予想の円買いポンド売りが入った後に、今日の日経平均株価の暴落を受けたリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いがリスク市場に弱い欧州ユーロや英国ポンドに対して入ったため、英国ポンドは円相場で大幅安になっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年8月2日の日本時間(JST)19時55分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時55分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:55の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 148.84 〜 148.85 | −0.94 (円高) |
ユーロ/円 | 161.09 〜 161.14 | −0.69 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0822 〜 1.0823 | +0.0022 (ドル安) |
英ポンド/円 | 189.60 〜 189.66 | −2.04 (円高) |
スイスフラン/円 | 171.01 〜 171.07 | +0.18 (円安) |
豪ドル/円 | 96.94 〜 96.98 | −0.77 (円高) |
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