東西FXニュース – 2022年8月01日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米景気減退懸念の利益確定のドル売りや円の持ち高調整も根強く継続
- 米FRB関係者のアトランタ地区連銀のボスティック総裁が利上げ継続支持
- 欧州ユーロ圏の4~6月期実質域内総生産(GDP)速報値が市場予想以上
今日2022年8月1日月曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、8時台には133円56銭であったが、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値は133円41銭前後から高値132円7銭前後の値動き幅約1円34銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は132円59〜60銭前後で、前日同時刻の前東京終値比は約18銭で前営業日よりは比較的小幅な円高ドル安であった。
原因は、先週金曜の日本の東京外国為替市場の終値の後に始まった米国ニューヨーク市場で発表された最新の米国重要経済指標の米個人消費支出(PCE)物価指数のPCEデフレーター6月統計が、前年同月比で6.8%の上昇率で、前回の6.3%から更に拡大しており、米インフレ圧の上昇継続から、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の「今後の利上げはデータ次第」という先週の7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の発言から、FRBがインフレ抑制のための今後も利上げを更に継続する可能性もあることから、日米金利差拡大予想のドル買い円売りの抵抗が起きたことが影響した。
発表と同日にFRB関係者の米アトランタ地区連銀のボスティック総裁が、米ナショナル・パブリック・ラジオのインタビューで、米インフレ抑制のための利上げ継続について、「一段の利上げが必要だと確信している」と発言しており、日米金利差拡大予想によるドル買い円売りを後押しした。ボスティック総裁も、「どの程度の利上げが必要か、またどのような利上げペースになるかは、今後数週間から数カ月の間に経済がどのような展開を見せるかに左右されるが、9月20〜21日の次の会合までに多くのデータが入手可能だ」と発言したことから、今後の米経済指標にも注目が集まっている。
ただし、先週末の日本の東京外国為替市場やアジア・オセアニア市場と欧州市場では、前週の7月27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後のパウエル議長の発言による米利上げペース減速予想に加えて、翌28日発表の第二四半期の4~6月期の米実質国内総生産(GDP)がプラス成長の市場予想に反して第一四半期に続いてのマイナス成長で、米国のテクニカル・リセッションの景気後退懸念が強まったことに起因したドル売り円買いが続き、対ドルの円はそれまでに大幅高の円相場になっていた。
今週の日本市場でも、米国市場からの流れで今朝9時前まではドルが買われていたが、ドル売り要因の米景気後退(リセッション)懸念も根強く、今朝9時頃の今日のドルの高値の133円台中盤付近からは、利益確定や持ち高調整などのドル売り円買いで円相場が上昇し、10時過ぎには132円台前半になった。
今日は月始めで10時頃の仲値決済では輸入企業の実需のドル買い抵抗は少なく、むしろ投資系や輸出系のドル売りの円買いが目立っていた。しかし、10時過ぎにドルが132円台前半の安値をつけると、再び前述の日米金利差拡大予想のドル買い要因で132円台中盤や後半まで買われる抵抗も入った。
日本市場では長期的視点からのテクニカル・リセッションでの米景気減速懸念は根強く、今後の米経済指標に左右されるという先行き不透明感からは、これまでの急速な円安ドル高の要因となった日米金利差拡大で買われて利益を増してきていた余剰のドルの持ち高を高値時に利益確定売りで調整する動きが見られた。
しかし、ドルが安値になると、同じ時間帯のアジア・オセアニア市場では、今日はオーストラリアが8月1日のピクニック・デーの祝日休場で他の市場の値動き出やすいこともあり、再び米インフレ加速での日米金利差拡大予想から欧州英国市場参入などでドルが買われる抵抗が入ると市場に反映されやすく、また今夜この後にも最新米国経済指標の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数などの発表が予定されていることから、ドルの持ち高調整の抵抗に加えて、結果が分かるまでの買い控えなども入ったことから、売り買いの交錯と横ばいに近い動きも入っていた。
ただし、今夜のその後の欧州英国市場では、米利上げ継続の可能性を受けて時間外の米株のダウ先物がマイナス圏に推移したことでは、ドルが再び売られる機会もあった。そのため、19時台には円相場は再び上げ幅を広げていた。
注目の最新の米経済指標の速報は、今夜この後にも22時45分に7月分の米製造業購買担当者景気指数、23時に7月分の米ISM製造業景況指数と6月分の米建設支出などが予定されており、今後のFRBの金融政策や為替相場の値動きに影響を与える可能性があることから、世界のFX投資家達に注目されている。
ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の円相場での終値は135円67~70銭で、前営業日の同時刻比で約21銭の円高ユーロ安であった。米景気懸念でのドル売りの低リスク通貨の円買いでの円高は、ユーロにも円高ユーロ安の値動きで波及していた。また、今日の午後に発表された欧州ユーロ圏のドイツの最新経済指標の6月小売売上高が前回と市場予想よりも悪化していたことも、ユーロ売り円買いの一因となった。
17時の今日の東京終値でのユーロ対ドルは1.0232~1.0233ドルで、前東京終値比では約0.02セントのドル高ユーロ安であった。
ただし、先週末の欧州英国市場では、米景気懸念からユーロが対ドルで上昇していた。原因は7月29日の夕方に発表された欧州ユーロ圏の4~6月期実質域内総生産(GDP)速報値が市場予想の0.2%増を超える前期比0.7%増であったことから、欧州景気懸念がやや後退し、マイナス成長の米GDPと比較され、欧州GDPが予想以上のプラスであったことからドル売りでユーロ買いが優勢であったことが影響した。
しかし、その後の米国ニューヨーク市場では前述の米経済指標のインフレ圧での米利上げ継続の可能性の予想からドル買いも入り、ニューヨーク終値では僅差でドル高ユーロ安になっていた。
今日の日本市場では円高ユーロ安の影響もあり、朝はドル高ユーロ安であったが、ユーロドルは市場反転もあり得る僅差で推移していたため、欧州市場の参入時の現地実需予想もあり、昼頃には一時は僅差でドル安ユーロ高の時間帯もあった。
午後にはドイツの経済指標の小売売上高の悪化でユーロが売られた機会もあったが、米利上げ継続の可能性から米株先物が下落したことでは、再びドルが売られた時間もあり、ユーロドルは東京終値の後の欧州英国市場では、一進一退で再びドル安ユーロ高に市場反転をしている時間も見られた。尚、18時に発表された欧州ユーロ圏の失業率は横ばいであった。
英ポンドも、高インフレの英国景気懸念やドルへの円高の影響もあり、17時の今日の東京終値は161円62〜68銭で、前東京終値比で約66銭の円高ポンド安であった。今夜17時半に発表された最新の英国経済指標の製造業購買担当者景気指数も、前回と予想からやや低下していた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月1日の日本時間(JST)19時25分(英国夏時間(GMT+1)11時25分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:25の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 131.93 〜 131.94 | -0.84(円高) |
ユーロ/円 | 135.33 〜 135.34 | -0.55(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0257 〜 1.0259 | +0.0023(ドル安) |
英ポンド/円 | 161.72 〜 161.78 | -0.56(円高) |
スイスフラン/円 | 139.09 〜 139.15 | -0.91(円高) |
豪ドル/円 | 92.91 〜 92.95 | -0.24(円高) |
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