FXニュース:世界景気懸念と米株原油安時の安全資産のドル需要|
東西FXニュース – 2022年11月22日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日米金利差拡大予想でドルの持ち高調整や買い戻しも
- 米FRBサンフランシスコ連銀デイリー総裁は調整重視
- 米クリーブランド連銀メスター総裁は利上げ幅縮小も
- 欧州中央銀行 (ECB) のレーン理事が利上げ継続発言
今日2022年11月22日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の142円25銭前後から高値の141円63銭前後の値動き幅約62銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は141円83〜85銭付近で、前日同時刻の前東京終値と比較すると約99銭の円安ドル高であった。
原因はまず、昨夜の欧州英国市場では米長期金利回復時のドル買いに加えて、欧州ユーロ圏の主要貿易先の中国での新型コロナウイルス再流行のニュースを受けて、ロックダウンなどの行動規制強化による中国経済や欧州景気への悪影響の懸念で、リスク回避でユーロ売りと世界的に流動性が高い安全資産のドル買いが優勢になっていた。
昨夜の欧州英国市場の後半から始まった今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でも、欧州英国市場からの世界景気懸念を受けたリスク回避で、同時進行の米国ニューヨーク株式市場で米株価が下落し、株売りでの安全資産のドル買いも加わった。
また、米国の0.75%の大幅利上げペースに対しては0.50%の減速予想が根強いものの、最終的な米利上げ幅を見据えたターミナル・レートの市場予想では、今後の米利上げ幅に縮小があったとしても米利上げは継続される日米金利差拡大の市場予想は優勢なために、前回の米消費者物価指数 (CPI) 発表後のドル売りの後の持ち高調整の買い戻しなども入った。
昨夜は米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が、「米金融政策の調整幅が少な過ぎれば、米インフレが高くなり過ぎる。調整が大きくなり過ぎれば、不必要な痛みを伴うリセッション(景気後退)に陥る可能性がある」と講演で発言し、調整重視の姿勢を示した。
一方で、米クリーブランド連銀のメスター総裁は、米メディアのインタビューに回答し、利上げ幅の縮小は「理にかなう」というややハト派寄りの発言をしていたと報道された。
前日までの他の米連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達にはタカ派発言が相次いでいたため、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の前に発表が予定されている次の最新米国消費者物価指数 (CPI) のデータ次第である可能性が高まった。ただし、利上げ幅の減速については言及されるものの、利上げ自体は継続が前提であるために、米長期金利上昇時などの日米金利差拡大予想ではドル買い円売りが優勢であった。
加えて、世界景気懸念の需要停滞予想で原油先物価格が下落したことを受けて、資源国通貨であるカナダドルなどもリスクオフで安全資産のドルに対して売られた影響が波及し、円やユーロなどの他の主要通貨に対してドルが上昇した。
そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場では、一時142円25銭の大幅な円安ドル高の円の市場安値を記録したほか、今朝の終値も142円5~15銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円70銭の大幅な円安ドル高であった。
そのトレンドを受け継いだ今日のアジア・オセアニア市場と日本の東京外国為替市場でも、今朝の日本市場の開場時には、今朝までのニューヨーク市場と同レベルの142円25銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値付近から始まった。
今朝10時前の仲値決済に向けては、日本の輸出企業や投資系の今日の高値圏のドルの利益確定売りの円買い注文が入り、輸入実需の円売りドル買いよりも優勢であったために、10時過ぎにはドル円は141円台後半になり、対ドルの円相場は下げ幅をやや縮めた。
また、日本市場は明日の11月23日は勤労感謝の日の祝日休場予定で、明後日には米国市場も感謝祭の休場予定があるために、投資系などの持ち高調整の値動きも加わった。
ただし、日本市場の午後から参入した欧州英国市場では、午後に再び一時142円台付近に上昇した後の高値圏のドルの利益確定売りが入って141円台後半になり、夕方の米長期金利の指標となる米10年債利回りの3.79%台付近の一時低下を受けて、欧米金利差縮小時の高値のドルの利益確定売りと安値のユーロの買い戻しも入った。
今日の午後の欧州英国市場の現地朝には、欧州英国の主要株価指数が回復上昇傾向で始まったことでも、昨夜にリスク回避で買われていたドルが高値圏をつけたことで利益確定のドル売りと、欧英株上昇時リスクオンの安値のユーロ買いやポンド買いが入り、他の主要通貨に対するドル売りが円相場にも波及して大幅な円安への抵抗要因となり、今日の対ドル円相場の市場高値の141円63銭付近も一時記録した。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は141円83〜85銭付近で、前日同時刻の前東京終値と比較すると約99銭の円安ドル高になった。今夜その後の欧州英国市場でも東京終了時のドル売りが続き、19時頃には141円台前半に対ドルの円相場も今朝までの下げ幅を縮めている。
今夜この後には最新の米国経済指標の発表予定や、米FRB関係者の発言予定などがあり、為替相場の値動き予想材料として、世界のFXトレーダーや投資家達が注目している。
今夜のスケジュールは、日本時間の深夜24時に11月の米リッチモンド連銀製造業指数が発表され、深夜1時には米FRBのクリーブランド連銀のメスター総裁の発言予定、明日未明の3時には米7年債の入札予定、4時15分には米カンザスシティ連銀のジョージ総裁の発言と、4時45分には米セントルイス連銀のブラード総裁の発言予定などがある。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は145円60〜62銭付近で、前日同時刻の前東京終値と比較すると約1円16銭の大幅な円安ユーロ高であった。
原因は、昨夜に欧州中央銀行 (ECB) のレーン理事が、「12月が最後の欧利上げだとは思わない」と欧州利上げ継続のタカ派発言をしたことが今朝の日本市場のFXニュースとなり、日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買いが優勢になった。また、先述の他の主要通貨のドルなどに対する円安がユーロ円にも影響したことに加えて、今日の夕方のドルに対するユーロ高もユーロの円相場に波及していた。
ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロドル相場の終値は1.0266~1.0267ドル付近で、前日同時刻の前東京終値と比較すると約0.11セントのユーロ高ドル安になっていた。
原因は、前述の通り、昨夜の欧州英国市場では欧州の主要貿易先の中国のコロナ再流行による景気経済の世界経済への影響の警戒などでリスク回避のユーロ売りで安全資産のドル買いが進んでいたが、今日はその反動で高値圏になったドルの米長期金利低下時の利益確定売りと、欧州株上昇時のリスクオンのユーロの買いなどが進み、ユーロ高ドル安に転じた。
また、欧州ユーロ圏のオーストリア中銀のホルツマン総裁が、「欧州のコアのインフレが低下しつつある兆候は、まだ見られない」と発言しており、欧州中央銀行 (ECB) にもインフレ対策の利上げ継続が予想されるために、今日の米長期金利の低下時にはユーロに対してドルが売られやすくなっていた。
今夜18時には欧州ユーロ圏の最新経済指標の9月の欧経常収支が発表され、季調済で前回の-263億ユーロに対して-81億ユーロに赤字額が減ったことも市場で好感された。
ただし、今夜この後にも、日本時間で深夜24時に欧州ユーロ圏の経済指標の11月の欧消費者信頼感の発表予定があり、値動きへの影響には注意が必要である。英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は167円99銭〜168円5銭付近で、前日同時刻比で約12銭の円安ポンド高であった。
昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロと連動する様な形で英ポンドも安全資産の対ドルで下落していたが、今日の英国市場ではユーロ同様に英ポンドが買い戻されて上昇しており、ドルやユーロなどの外貨に対する円安の影響の波及もあり、ポンド円相場も円安ポンド高の日本市場の終値になっていた。
また、欧米や英国には利上げペースの市場予想の違いはあるものの、全般的な利上げ継続予想があるために、金利抑制の日本銀行 (日銀 / BoJ) との金融政策の方向性の違いによる日英金利差拡大予想も継続している。
しかし、その一方で記録的な高インフレ継続の中での増税案などで英国のリセッション(景気後退)などの景気懸念も強く、安全資産のドルや低リスク通貨の円が売られた後の安値で買い戻される機会もあり、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、円相場が対ドルでも下げ幅を縮めた影響の波及もあり、20時頃には前日比で円高ポンド安にも転じていた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月22日の日本時間(JST)20時23分(英国時間(GMT)11時23分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:23の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 141.15 〜 141.17 | +0.31 (円安) |
ユーロ/円 | 145.17 〜 145.19 | +0.73 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0283 〜 1.0285 | +0.0028 (ドル安) |
英ポンド/円 | 167.63 〜 167.69 | -0.24 (円高) |
スイスフラン/円 | 147.87 〜 147.93 | -0.26 (円高) |
豪ドル/円 | 93.81 〜 93.85 | +0.02 (円安) |
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