東西FXニュース – 2024年2月01日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米雇用コストとADP想定以下
- 米長期金利低下で金利差縮小
- 目標達成確信迄米利下げせず
- 米FRBパウエル議長発言影響
- 「3月米利下げの可能性少ない」
- 日米株価下落時のリスク回避
- 明日の米雇用指標等に注目が
今日2024年2月1日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の147円8銭付近から、円の高値でドルの安値の146円48銭付近の値幅約60銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は146円79~81銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円62~63銭付近の前東京終値比では約38銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析は、まず昨夜22時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円79銭付近から始まり、昨夜22時5分頃にドルは円相場で一時147円87銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していたが、昨夜22時15分に発表された最新米国重要経済指標の今年1月の米国ADP (Automatic Data Processing / 給与計算代行最大手のオートマチック・データ・プロセッシング社) 雇用統計の前月比が、前回の16.4万人と前回下方修正の15.8万人と市場予想の14.5万人を下回る10.7万人に悪化したほか、昨夜22時30分に発表された昨年10〜12月の四半期米国雇用コスト指数の前期比も前回の1.1%と市場予想の1.0%以下の0.9%に鈍化したことを受けて米国の賃金インフレ圧の鈍化が意識され、米国長期金利が発表前の一時4.03%付近から発表後の昨夜23時過ぎには一時3.99%台付近に急落したため、米国長期金利低下時のドル売りと日米金利差縮小による円買いに加えて、欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対してもドルが下落した。
続いて昨夜23時45分に発表された最新米国経済指標の今年1月の米国シカゴ購買部協会景気指数も、前回の46.9と前回修正の47.2と市場予想の48.0を下回る46.0であったことから、米国主要株価指数が低下し、欧米景気懸念リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の世界的な安全資産の米国債買いで債券価格は上昇する一方で利回りの低下が起き、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜23時50分頃には一時3.94%台へと更に低下したため、日米金利差縮小による円買いドル売りが続き、ドルは円相場で146円台中盤付近に下落した。
また、市場後半が同時進行していた英国ロンドン外国為替市場では、午前1時の1月末のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けた基軸通貨のドル売りのフローも重なったため、ドルは円相場で午前1時頃には一時146円7銭付近に下落した。
その後も継続する米国市場では、午前4時に米国の中央銀行制度にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の米国新政策金利と金融政策の声明の発表を控えており、またその30分後からは世界的な注目度が高いジェローム・パウエル議長のライブ中継の定例記者会見での発言のビッグイベント待ちであったため、市場安値後のドルには持ち高調整の買い戻しもやや入ったものの、イベント前の様子見や買い控えもあったためにやや横ばいにも近い小動きの反発になっていた。
日本時間の今朝未明の午前4時 (時差遅れの米国現地時間では前日の午後14時) には米国連邦公開市場委員会 (FOMC) が米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートを市場予想通りに従来の5.25〜5.50%の金利で据え置くことを決定し、同時に声明文も発表したことから、発表時間の午前4時0分頃にはドルは円相場で瞬時に一時146円37銭付近から146円8〜80銭付近の間で荒い値動きを見せた後に、午前4時3分頃には一時146円87銭付近に上昇した。
この荒い値動きの原因は、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の声明文にはハト派とタカ派の要素が混在しており、ハト派寄りの部分は今回の声明では以前の様な「追加利上げの可能性」に関する言及が特になかったことから瞬時にドルが売られたが、タカ派寄りの部分は、「持続的な2%のインフレ目標達成への確信を持てるまでは、米国利下げは適切とは考えていない」と米国利下げへの示唆がなかったことからは瞬時にドルが買われて反発を始めた。
続いての午前4時30分頃からは世界的な注目を集めていた米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 後の約50分近くに及ぶライブ中継の定例記者会見での米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言が始まり、米国の2%のインフレ目標達成を重視し、今後の不透明感からまだインフレへの警戒感を弱めていない姿勢ではやや様子見が入っていたものの、「米国政策金利はサイクルのピークにある可能性が高い」と、声明文のハト派部分と同様に米国の追加利上げの可能性を示唆しなかったことや、「年内のある時点で利下げする可能性が高い」と発言したことではドルが売られて急落し、発言中の午前4時47分頃に一時146円1銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したが、今後のデータ次第では、「適切であれば。高金利を長期間維持する準備もある」という中道寄りの見解ではドルの買い戻しが始まり、更には、米国のインフレデータから持続的な鈍化による目標達成にはまだ確信を持てないことや、米国雇用市場や経済指標のインフレ圧警戒感などの先行きの不透明感などを挙げて、「3月の早期利下げの可能性は少ないと思う」とタカ派寄りの発言があったことでは、一気にドルが買い戻されて一時147円台に上昇した。
午前5時20分頃にライブ中継の記者会見が終わった後も、ニュースフィードによる報道が続き、主要通貨に対するイベント後のドルの買い戻しや、3月の早期利下げ予想の後退により、午前5時37分頃にドルは円相場で一時147円45銭付近にまで買い戻されていた。
ただし、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要企業の決算報告期に出てきた先述の最新米国経済指標が市場予想以下であったことに加えて、今年3月の早期の米国利下げ予想の後退や今後のデータ次第では高金利長期化の可能性があることなどへの今後の企業決算への金利警戒感もあり、米国主要株価三指数が揃って低下したまま終値に向かったことでは、リスク回避のリスクオフで安全資産の米国10年債が買われて利回り低下の影響で米国長期金利が一時3.91%台付近に向けて低下し、日米金利差縮小により低リスク通貨の円が買われて円相場が上昇したことは抵抗要因になり、上昇後のドルは円相場で再び下落した。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の147円87銭付近から、円の高値でドルの安値の146円1銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は146円92銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の147円61銭付近と比べ約69銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円1銭付近の始値であったが、米国長期金利が一時3.91%台に低下後に一時3.95%台付近に向けた反発を見せ始めていたことなどでは、米国の日本よりも高金利の政策金利の据え置きと早期利下げ予想の後退により日米金利差が意識されたことでは、午前9時2分頃にドルは円相場で一時147円8銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、今朝9時55分の2月の月初めの日本市場の仲値決済に向けた日本企業の貿易実需の円売りドル買いも入っていた。
しかし、昨日発表された米国経済指標が軒並み市場予想以下であったことを受けては、今週この後の米国雇用統計などのデータ発表イベントに向けた持ち高調整も入り始めたことや、今朝までの米国主要株価三指数全ての下落を受けて、米国を主要取引先に持つ日本企業の日経平均株価も今日の東京株式市場で大幅な下落に向かったことから、日本株安時のリスク回避のリスクオフでも国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが優勢になり、午前11時48分頃にドルは円相場で一時146円48銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、日本市場時間の時間外米国債券市場では、米国長期金利は一時3.93%台付近に低下後も午後にも一時3.95%台付近に向けて再上昇を始めており、その一方で日本の新発国債10年物の利回りが指標となる国内長期金利は午後には0.69%付近と日米金利差拡大が見られたことなどでは再びドルが買われたほか、午後からの欧州市場の参入でも早期の欧州利下げ予想が燻る中で早期の米国利下げ予想が減退しており、夕方の英国ロンドン外国為替市場の本格参入では、今夜この後に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の新英国政策金利と金融政策発表予定とベイリー総裁発言のイベントを控えるイベントリスクでも世界的に流動性の高い安全資産でもあるドルが買われる機会があったため、夕方16時48分頃にはドルは円相場で一時147円5銭付近まで下げ幅を縮めた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円79~81銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円62~63銭付近の前東京終値比で約38銭の円高ドル安になった。
今夜この後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜21時に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) 終了後の英国新政策金利と声明の発表があり、議事要旨と四半期金融政策報告も同時に公開され、今夜21時30分頃からベイリー総裁発言の記者会見の予定がある。
最新米国経済指標の発表予定も経済指標カレンダーで重なり、今夜21時30分に 1月の米国チャレンジャー人員削減数、今夜の米国ニューヨーク外国為替市場では今夜22時30分に10〜12月四半期の米国非農業部門労働生産性と単位労働コスト、同時刻に米国雇用関連の最新経済指標の 前週分の米国新規失業保険申請件数と 前週分の米国失業保険継続受給者数、23時45分に1月の米国製造業購買担当者景気指数、深夜24時に 1月の米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) 製造業景況指数と、12月の米国建設支出が発表され、米国株式市場の株引け後の時間になるが、今夜この後の明日早朝にアイフォーン (iPhone) やマック (Mac OSX) 等の米国アップル社 (Apple Inc.) と、アマゾン (Amazon) やメタ (Meta) などの米国主要企業の決算報告予定も控えている。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は158円43〜45銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の159円65〜67銭付近の前東京終値比で約1円22銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、前述の通り、今年早期の米国利下げ予想の後退に対して、経済指標などを受けた欧州景気懸念の早期の欧州利下げ予想が燻っていたことで、欧州ユーロがドルに対して売られて今日の夕方に安値圏をつけていた影響が対ユーロの円相場にも波及したほか、対ドルなどの低リスク通貨の円買いによる円高の影響もユーロ円の大幅な円高に繋がった。
このため、ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0792〜1.0794ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0815〜1.0817ドル付近の前東京終値比で約0.23セントのユーロ安ドル高であった。
また、今夜その後の17時50分に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標のフランスの1月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) 改定値も前回と市場予想の43.2を下回る43.1であったが、今夜17時55分のドイツの1月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値) は前回と市場予想の45.4に対し45.5と上回り、今夜18時の欧州ユーロ圏総合の1月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値は前回と市場予想通りの46.6の横ばいであったが、いずれも好景気と不景気のボーダーラインの50は下回る不景気寄りの指標であった。
今夜19時には欧州ユーロ圏総合の重要経済指標の1月の欧州消費者物価指数 (HICP / Harmonized Index of Consumer Prices) 速報値が発表され、前年同月比は前回の2.9%に対し市場予想通りの2.8%であったが、HICPコア指数の速報値の前年同月比は前回の3.4%と市場予想の3.2%に対し3.3%であった。
なお、同時発表だった欧州ユーロ圏総合の先月12月の欧州失業率は前回と市場予想一致の6.4%に横ばいであった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は185円75〜81銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の187円11〜17銭付近の前東京終値比で約1円36銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、今夜21時頃に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) が新英国政策金利と金融政策を決める英国金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の発表と、その半時間後からベイリー総裁の発言予定のイベントを控えた持ち高調整や買い控えも入っており、一方で低リスク通貨の円が買われる機会があった。
また、今夜18時30分に発表された最新英国経済指標の今月1月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値は、前回と市場予想の47.3に対し47.0低下していた。
追記として、今夜21時に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) は、英国新政策金利を従来の5.25%で維持することを決定した。現在のインフレ率は4%で目標の2%を超えている。この後のベイリー総裁の記者会見での発言などが注目されているところである。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月1日の日本時間(JST)20時50分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時50分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:50の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 146.77 〜 146.79 | -0.85 (円高) |
ユーロ/円 | 158.67 〜 158.68 | -0.98 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0808 〜 1.0810 | -0.0007(ドル高) |
英ポンド/円 | 185.38 〜 185.44 | -1.73 (円高) |
スイスフラン/円 | 170.10 〜 170.16 | -0.81 (円高) |
豪ドル/円 | 95.64 〜 95.68 | -1.39 (円高) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。