FXニュース:米FOMC議事要旨発表で利上げ減速予想強まる|
東西FXニュース – 2022年11月24日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米長期金利低下で日米金利差縮小時の円買いドル売りが
- 最新米経済指標が市場予想以下で米景気懸念のドル安も
- 米政策金利の最終ターミナルレートは高くなる可能性も
- 米感謝祭と欧米株高時のリスクオンの持ち高調整の影響
今日2022年11月24日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値の138円55銭前後から高値の139円64銭前後の値動き幅約1円9銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は138円99䬻〜139円1銭付近で、日本の勤労感謝の日の祝日前の前営業日の22日17時の前東京終値比では約2円81銭の大幅な円高ドル安であった。
また、昨日17時に通常営業中であった世界FX市場の17時の141円16〜17銭付近と比較しても、約2円18銭の大幅な円高ドル安であった。今夜その後の欧州英国市場でも、20時台には、更に138円台に円高ドル安が進行した。
原因はまず、昨日の東西FXニュースでもお伝えした通り、前日に続いて昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でも、今日の米国の感謝祭 (Thanksgivind Day) の祝日と、明日のブラックフライデー (Black Friday) を目前にしたホリデームードが米国ニューヨーク株式市場で米主要株価が上昇を続けており、リスクオンで安全資産のドルが売られてユーロやポンド等が買われたほか、米国ニューヨーク債権市場でも安全資産の米10年債が売られて利回りが指標となる米長期金利が更に低下し、日米金利差縮小時のドル売り円買いが継続した。
そして、より大きな要因は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場で発表された米経済指標と今月開催分の米連邦公開市場委員会 (FOMC) の議事要旨発表を受けて、米利上げ減速予想が強まったことで米長期金利が前日終値の3.76%付近から3.69%付近へと大幅に低下し、円安要因であった日米金利差拡大予想が減退したことで、ドルの利益確定売りと持高調整の円買いの勢いが強まった。
市場時間に沿った値動きトレンドとしては、まず日本時間の昨夜21時の最新米経済指標の米MBA住宅ローン申請指数が米利上げ後のローン金利上昇の影響もあり、前週の2.7%に対して2.2%に減少し、また堅調な米雇用市場は大幅利上げ継続の前提条件となるが、昨夜22時半に発表された前週分の米新規失業保険申請件数が前回の22.2〜22.3万件と市場予想の22.5万件に対して24.0万件に悪化し、米失業保険継続受給者数も前回の150.7〜150.3万人と市場予想の151.7万人に対して155.1万人に増加し、想定外の米雇用市場の不調は大幅利上げ継続の抵抗要因として市場では受け止められ、米国のホリデー前のポジション調整もあり、利益確定などのドル売りと持ち高調整の円買いが強まった。
ただし、10月の米耐久財受注は、前月比で前回の0.4〜0.3%と市場予想の0.4%に対して1.0%に上昇し、輸送用機器を除く前月比でも前回の-0.5〜-0.9%と市場予想の0.0%に対してプラスの0.5%に増加したことでは、合間にドルが買い戻される抵抗も混ざった。
しかし、23時45分に発表された11月の米購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は、製造業が前回の50.4と市場予想の50.0を下回る47.6で、サービス部門も前回の47.8と市場予想の47.9以下の46.1に低下しており、総合でも前回の48.2と市場予想の48.0以下の46.3で、市場予想以下であることに加えて好景気と不景気のボーダーラインの50も大きく下回ったことで、米景気懸念による大幅利上げ継続への抵抗要因増加が考えられることから、更にドルが売られて、低リスク通貨の円や主要通貨のユーロなどが買われた。
一方で、昨夜の深夜24時に発表された11月の米ミシガン大学消費者態度指数の確報値は、前回の54.7と市場予想の55.0に対して56.8に上昇しており、また同時発表の10月の米新築住宅販売件数の前月比は前回の-10.9〜-11.0%と市場予想の-5.5%に対してプラスの7.5%に転じており、年率換算件数でも前回の60.3〜58.8万件と市場予想の57.0万件に対して63.2万件に改善されたことでは、安値でのドルの買い戻しの抵抗も入った。
しかし、今日の日本市場への影響の極め付けはやはり、その後の今朝未明4時頃に発表された今月11月開催分の米連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨で、「かなり多くの参加者が、米利上げペースの減速が間もなく適切になると判断」し、「急速な米利上げによるリスク増大を認識」しているなどの内容に市場が反応し、次回の米大幅利上げ継続予想が減退し、米利上げ減速予想が強まり、米長期金利が大幅に低下し、日米金利差縮小時のドル売り円買いが優勢になり、今日の前営業日比での大幅な円高ドル安の原因となった。
ただし、同議事要旨には、最終的な米利上げ到達点のターミナル・レートについては、以前の予想よりも高金利で長期化の可能性もあるという内容もあったことでは、安値のドルの買い戻しの抵抗も加わった。
また、投資家間のライブ・チャート上の話題では、市場心理としての米国のホリデームードもある中で、日本市場が昨日は勤労感謝の日の祝日休場で、世界市場全体の流動性が少なかったために、些細な値動きでも市場に影響を与えやすい状態であったところに、世界的に中継されていた昨夜のワールドカップで日本がドイツに予想外の勝利をしたことで、先月からの日本の外国人旅行者の入国規制の解除と最近の円安で、外貨からの海外旅行として格安感のある日本行きのホリデー資金用の外貨からの円買い注文が入ったことなども、少々の値動きへの影響を見せたのではないかとも言われていた。
市場参加者が減るホリデー時期には、小さな値動きも増幅されて大きく出やすいこともあり、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は139円55~65銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比では約1円60銭の大幅な円高ドル安であった。
そのニューヨーク市場のマーケット・トレンドを受けて始まった今日のアジア・オセアニアなどの海外FX市場と祝日明けの今朝の日本の東京外国為替市場でも、11月開催分の米連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨の発表を受けて、米連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げペース減速予想が強まって米長期金利が低下し、日米金利差縮小時のドル売り円買いが優勢になった。
日本市場の今朝10時前の仲値決済に向けても、今日は輸出企業や投資系のドル売り円買いが活発で、10時過ぎには138円台後半に円相場が上昇した。
また、今日の午後に発表された日本の最新経済指標の9月景気先行指数 (CI) の改定値も、前回よりもやや改善されていたことも、今日の円買いの一因となった。
午後からの欧州英国市場の参入でも、米長期金利低下時のドル売り円買いに加えて、今日の欧州英国市場の午後からの米国市場が今夜は感謝祭で祝日休場であることを見越した持ち高調整が進んでいた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は138円99䬻〜139円1銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比で約2円81銭の大幅な円高ドル安になった。
一方、今日のユーロは、今夜17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は144円74~76銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約82銭の円高ユーロ安であった。原因は、基軸通貨で主要通貨のドルに対する今日の円高が、他の主要通貨であるユーロ円相場にも円高として波及していた。
ユーロドルは今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0413~1.0414ドル付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約1.48セントのユーロ高ドル安だった。
同様に、他の主要通貨に対する大幅なドル安の影響が、ユーロドル相場にも波及していた。また前述の米長期金利低下により、欧米金利差縮小予想のドル売りユーロ買いも影響した。
昨夜の欧州市場で発表されたドイツやユーロ圏の11月の購買担当者景気指数 (PMI) は予想を上回ったものの、50以下であったことでは、欧州景気懸念のユーロ売りも入っていたが、ニューヨーク市場の米PMIの方が予想を大きく下回ったことで、米長期金利低下と相まって、ドルは円やユーロやポンドなどの主要通貨に対して一時全面安になった。
ただし、今夜この後には日本時間21時半に、欧州ユーロ圏の欧州中央銀行 (ECB) の前回の欧州中央銀行理事会の議事要旨も発表予定があり、FXトレーダー達が今後の値動き予想材料として注目している。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は167円91〜97銭付近で、前東京終値比で約32銭の円高ポンド安に転じた。原因は、今日のユーロ円同様に、主要通貨のドルに対する今日の大幅な円高の影響が、外貨であるポンド円相場にも波及していた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月24日の日本時間(JST)20時21分(英国時間(GMT)11時21分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:21の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 138.29 〜 138.31 | -3.51 (円高) |
ユーロ/円 | 143.81 〜 143.82 | -1.75 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0397 〜 1.0398 | +0.0132 (ドル安) |
英ポンド/円 | 167.33 〜 167.39 | -0.90 (円高) |
スイスフラン/円 | 146.52 〜 146.58 | -1.52 (円高) |
豪ドル/円 | 93.15 〜 93.19 | -0.79 (円高) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。