FXニュース:米FOMCが予想通りの0.75%の大幅利上げを継続|
東西FXニュース – 2022年11月3日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 声明文での米利上げ減速予想がパウエル議長発言で減退
- 米FRB議長は速度より最終的な金利高と維持期間を重視
- 米長期金利が4.2%台に上昇し日米金利差拡大の円安要因
- 今夜発表の英中銀(BoE)新政策金利も大幅利上げ予想が
今日2022年11月3日木曜日の日本の東京外国為替市場は文化の日で祝日休場だが、海外FX市場や世界市場は通常営業中で、今日の世界FX市場の日本時間9時から17時までの外為取引相当時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値148円1銭前後から高値147円11銭前後の値動き幅約90銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円91〜92銭付近で、昨日17時の前東京終値の147円32〜33銭付近と比較すると、約60銭の円安ドル高であった。
さらに、その後の今夜20時頃の英国ロンドン外国為替市場では、米長期金利が一時4.2%台に上昇し、148円台の前日比で約1円以上のより大幅な円安ドル高が進行している。
主な原因は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、米国連邦公開市場委員会(FOMC)が、市場予想通りに4会合連続で通常の3倍の0.75%の大幅利上げを継続し、日米金利差拡大による円安ドル高要因が継続した。
ただし、昨夜21時の米利上げ発表時には、市場では今回の0.75%の大幅利上げ継続は既に織り込み済であったために、一部の1%期待のタカ派のドル売りが入ると共に、次回からの利上げ速度に注目が集まっており、米国連邦準備制度(Fed = Federal Reserve)の声明文の内容に「将来の利上げペースを決めるにあたっては、金融政策が米経済やインフレに影響を与える時間差も考慮」するという内容などが市場ではハト派と受け止められ、米利上げ減速予想が一時強まり、ドルが一時売られて145円68銭付近の米市場安値を記録した。
しかし、21時半からの米国連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム“ジェイ”パウエル議長の記者会見では、「速度はそれほど重要ではない(Speed is less important)。加速度よりも、最終的な米金利水準の高さと、金融政策のための維持期間の方が重要だ」等の発言があり、また次回会合での米利上げ減速協議についても、まだ次回とかその次からとかは決めていないという印象が強く、現在完全雇用に近づいている米雇用市場の堅調さと米国経済の強さが強調され、インフレ抑制の目標のための強固な金融政策のために、「最終的な米金利水準については更に高くなる可能性」や、期間についても早期の利下げ否定と長期化も示唆されたことでは、市場ではタカ派と受け止められ、ドルが買われて再上昇を始めた。
パウエル議長の発言はよく市場への影響力が見られるが、今回も発言を受けてトレンド転換が起き、米長期金利が4.11%に上昇し、日米金利差拡大によるドル買い円売りが入った。
ただし、ドル円の急速な価格変動(ボラティリティー)には日本政府と日本銀行(日銀/BoJ)の為替介入警戒があり、また昨日の日本市場と欧州英国市場では来年春までの任期の黒田東彦総裁の発言を受けて、日銀が将来的にイールドカーブコントロール(YCC)の変更や、金利抑制で日米金利差拡大の円安要因となっている大規模緩和金融政策の修正を行う可能性なども市場予想で一時浮上していたことから、昨日の日本と欧州英国市場で円が買われていた時のドルの下げ幅が残っており、前述の声明分での米利上げ減速予想では一時145円68銭付近の円の高値もつけていたために、パウエル議長発言後にドル再上昇のトレンドに転じたものの、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の終値は147円90銭~148円0銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比では、まだ約30銭の円高ドル安だった。
また、米国ニューヨーク株式市場では、米利上げ減速予想の減退により、一時決算期で上昇していた米株価が下落に転じたことでは、安全資産のドルや低リスク通貨の円も買われた。
その後に始まった今日の日本時間の海外FX市場では、早朝の世界トレンドでの日米金利差拡大による円安ドル高の動きもあったものの、今朝の日本のニュースで、北朝鮮が発射した3発のミサイルの内の1発が大陸間弾道ミサイル(ICBM)であった可能性が世界ニュースになり、事件によるリスク回避の有事のための大規模な円買いが起き、今朝9時半頃には、一時147円11銭付近の今日の日本市場相当時間の円の高値を記録した。
しかし、より大きな世界トレンドでの米大幅利上げ継続による日米金利差拡大予想の円安ドル高の値動きも継続し、米10年債の利回りが指標となる米長期金利が夕方の4.2%台に向けて上昇し、日本時間の午後から時差で朝の欧州英国市場の参入で、円安ドル高方向の値動きが再開し、今日の日本市場相当時間の円の安値の148円1銭付近を記録した。
そのため、今夜17時の東京外国為替市場の終値相当時間の対ドル円相場は147円91〜92銭付近で、前日同時刻の前東京終値比で約60銭の円安ドル高になり、今夜その後の欧州英国市場でも20時時点でも148円台の円安ドル高が進行している。
今夜この後にも最新の米国経済指標の発表が続き、日本時間のスケジュールでは20時半に10月の米チャレンジャー人員削減数、21時半に9月の米貿易収支と前週分新規米失業保険申請件数、前週分米失業保険継続受給者数、7〜9月四半期の米非農業部門労働生産性、同四半期の米単位労働コスト、22時45分に10月のサービス部門の米購買担当者景気指数(PMI)と総合の米購買担当者景気指数(PMI)の確定値、23時には9月の米製造業新規受注と、米国重要経済指標の10月の総合の米ISM非製造業景況指数の発表予定があり、世界のFXトレーダー達が為替相場の値動き予想データとして注目している。
一方、今日のユーロは、今朝の日本有事のリスク回避の円買いの影響もあり、今夜17時の東京終値相当時間のユーロ円は144円71〜73銭付近で、前日同時刻比で約52銭の円高ユーロ安であった。
ユーロドルは、昨夜のパウエル議長の会見後のドル再上昇と、今日の米長期金利の上昇などを受けて、欧米金利差拡大によるドル買いユーロ売りが入り、今夜17時の東京終値相当時間の終値は0.9783〜0.9784ドル付近で、前日同時刻比では約0.33セントのユーロ安ドル高だった。
今日は欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁の「米国の金融政策からの波及に注意を払うべき」や、同パネッタ理事の「引き締め過ぎる事はリスクになる」という発言があったが、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長と比較してハト派寄りと受け止められ、ドルに対してユーロが下げていた。
また、今夜は欧州ユーロ圏の最新経済指標の9月の失業率が発表されたが、前回と市場予想と同じ横ばいの6.6%であった。
今日の英国ポンドは、今夜この後の日本時間21時に英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の新政策金利発表と英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨、21時半からベイリー英中銀総裁の会見発言予定などを控えており、市場予想ではFRB対抗の0.75%の大幅利上げ予想が優勢であるが、イベント前の持ち高調整や、イベントリスクで結果が分かるまでのポンドの買い控えと様子見が入っているために、今夜17時の東京終値相当時間の英ポンドの円相場は167円74〜80銭付近で、前日同時刻比で約70銭の円高ポンド安であった。
イベント前の様子見の値動きの中でも、今夜18時半に最新英国経済指標の10月のサービス部門の英購買担当者景気指数(PMI)の改定値が発表された時には、前回と市場予想の47.5に対して48.8に上昇していたことで一時ポンドが買われる機会もあった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月3日の日本時間(JST)20時3分(英国時間(GMT)11時3分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:03の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 148.32 〜 148.34 | +1.02(円安) |
ユーロ/円 | 144.57 〜 144.58 | -0.66(円高) |
ユーロ/ドル | 0.9745 〜 0.9747 | -0.0071(ドル高) |
英ポンド/円 | 167.08 〜 167.14 | -1.36(円高) |
スイスフラン/円 | 146.38 〜 146.44 | -1.07(円高) |
豪ドル/円 | 93.28 〜 93.32 | -0.65(円高) |
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