東西FXニュース – 2022年11月2日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 最新の米経済指標はJOLTSとISM共に市場予想を上回る
- 日銀の黒田総裁がYCC金融政策修正の可能性について発言
- 米利上げ時の日本政府と日銀の為替介入警戒の持ち高調整も
- 英中銀金融政策委員会も明日ポンド新政策金利を発表予定
今日2022年11月2日水曜日の日本の東京外国為替市場の17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、開場前の早朝の円の安値の148円37銭前後から市場高値の147円17銭前後の値動き幅が約1円20銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円32〜33銭付近で、前日同時刻の前東京終値比で約60銭の円高ドル安であった。
また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、20時頃に一時146円台後半に円相場が上昇し、円高ドル安が更に進行していた。
原因と市場トレンドの動向の解説は、まず昨夜の欧州英国市場と米国ニューヨーク外国為替市場では、現地時間で本日11月2日(日本時間では時差で翌11月3日の朝3時)に迫った米国連邦公開市場委員会(FOMC)の新政策発表と、ドルの為替相場の値動きに影響力のある米国連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の発言を控えており、今回は通常の3倍の0.75%の米大幅利上げ継続の日米金利差拡大予想が優勢ではあるが、次回の12月のFOMCからの利上げペースの動向が注目されており、持ち高調整が進む一方で、安全資産の米10年債の利回りが指標となる米長期金利の上昇と下降に影響を受けやすい為替市場になっていた。
そのため、昨夜の米国市場が開場時には米長期金利の一時低下を受けて、日米金利差縮小時のドル売り円買いが強まり、一時146円99銭付近の円高ドル安であった。
ただし、米国市場で発表された最新の米国経済指標が堅調で、日本時間で昨夜22時45分に発表された10月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)の改定値が前回と市場予想49.9を上回る50.4で、好不況のボーターラインの50も超えていた。
最新の米国重要経済指標の10月のISM(Institute for Supply Management = 全米供給管理協会)製造業景況指数も、前回の50.9には届かないものの市場予想の50.0を上回る50.2で、こちらもやや好景気を示す値であった。
加えて、米労働省が発表した9月の全米雇用動態調査(JOLTS)では、求人件数が1070万件で前回よりも43万7千件増加し、米大幅利上げ継続での景気懸念に反して、米国の労働市場の堅調さが示された。
そのために、米国市場では、インフレ対策での米利上げ抵抗要因の米景気懸念がやや緩和され、米長期金利が3.91%台から4.07%台付近に急速に上昇し、円相場のドルも連動する様な形で146円99銭付近から148円34銭付近に一時急騰した。
しかし、日本時間で深夜1時過ぎには、米国大統領経済諮問委員会(CEA)の関係者が、「バイデン米大統領は、米連邦準備理事会(FRB)の政策転換を支持」と発言したことが原因となり、「政策転換」が、米利上げペースの減速などの変化を意味するのではないかという市場予想が強まってそれまでの米経済指標を受けたドル上昇圧が弱まり、横ばいに近い動きや一時下げにも転じた。
米国連邦公開市場委員会(FOMC)の新政策金利と声明の発表を米国現地時間の11月2日に控え、再び持ち高調整のドル売り円買いや、イベント前の結果が分かるまでのドルの買い控えなどが優勢になり始めた。
そのため、今日の早朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円27銭付近で、前日同時刻比で約44銭の円高ドル安になっていた。
その市場トレンドを受け継いで始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝は開場前に日本の最新経済指標の発表があり、10月のマネタリーベースは前回の-3.3%に対して-6.9%で、また同時に9月開催分の日本銀行(日銀/BoJ)金融政策決定会合議事要旨も公開されており、金利抑制姿勢の日銀に対し、米国経済指標の堅調さを受けた日米金利差拡大予想の円売りドル買いの抵抗が円相場に入った。
しかし、今朝の日本市場のFXニュースでは、日本銀行(日銀)の黒田東彦総裁が衆議院財務金融委員会で、将来に物価安定目標の2%が実現可能な予測状況になった時には、その「前段階で、長短金利操作のイールドカーブ・コントロール(YCC)を柔軟化することは、一つのオプションとしてはあり得る」と発言したことがきっかけとなり、日米金利差拡大による円安要因となっていた日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策に、将来的な修正の可能性が出てきたことなどから、持ち高調整での円買いドル売りが入り始めた。
また、今朝10時頃の仲値決済では、今日は米ドルのイベント前の日本の輸出企業のドル売り円買いが優勢で、10時過ぎには一時147円17銭付近に対ドルの円相場が上昇した。
ただし、ドルの安値圏では、日本市場でも堅調な米経済指標を受けての日米金利差拡大予想による大きなトレンドとしての円安継続の市場予想から、ドルが買われる抵抗も入った。
しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、米連邦公開市場委員会(FOMC)の新政策金利の発表を控えた米ドルのイベントリスクなどがあり、安全資産の米10年債が買われていたことで利回りが指標となる米長期金利が再び低下したことで、持ち高調整のドル売りの円買いや、イベント前のドルの買い控えや為替介入警戒の円買いや様子見などが優勢になった。
堅調な米経済指標を受けて、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続予想による円安要因の日米金利差拡大予想が優勢ではあるが、急騰時には為替介入懸念もあり、また、もしも声明やパウエル議長が12月以降の将来的な米利上げ幅減速予定について発言などをする場合にはドルが下げる恐れもあるために、市場は持ち高調整後の様子見の動きにシフトし始めていた。
そのため、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場のドル円相場の終値は、147円32〜33銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約60銭の円高ドル安になった。
今夜この後にも最新の米国経済指標などの発表予定と、世界が注目する米国連邦公開市場委員会(FOMC)の新政策金利発表と、市場への影響力が強い米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長の定例記者会見での発言が予定されており、イベント時の値動きには注意が必要である。
日本時間での今夜の発表スケジュールは、20時に米国経済指標の米MBA住宅ローン申請指数、21時15分に10月の米ADP全米雇用統計、23時半に週間の米原油在庫、そして、午前3時に米連邦公開市場委員会(FOMC)新政策金利と声明発表、午前3時半から米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の定例記者会見での発言が予定されている。米国新金利発表後の日本時間11月3日には、英国新政策金利の発表予定もある。
尚、日本市場は明日の11月3日は文化の日の祝日休場であるが、東西FXでも扱う海外FXや世界FX市場は通常営業予定のため、明日もニュースで結果をお伝えする予定である。また、米国ニューヨーク株式市場では、今日と明日も決算報告シーズンが継続している。
今日のユーロは、今夜17時の東京外国為替市場での円相場の終値は145円68~70銭付近で、前日同時刻比で約1円19銭の大幅な円高ユーロ安であった。主な原因は、今日のイベント前のドルに対する円高の影響が他の主要通貨であるユーロにも波及していた。
ユーロドルは、17時の今日の東京外国為替市場での終値は0.9886~0.9887ドル付近で、前日同時刻比では約0.43セントのユーロ安ドル高であった。堅調な米国経済指標と比較して、欧州ユーロ圏の記録的なインフレでの欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ後の欧州景気懸念が高まっており、ユーロに対しては安全資産のドルや低リスク通貨の円が買われる機会が多かった。
今日の英国ポンドは、今夜17時の東京外国為替市場の円相場の終値は169円40〜46銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約74銭の円高ポンド安であった。
英国ポンドも今日から英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の英中銀金融政策委員会(MPC)の1日目で、明日の2日目の委員会の後に英国の新政策金利発表のイベントを控えており、イベントリスクでポンド円も持ち高調整が進んでいた。
日本時間では明日の11月3日の夜21時に英国の新政策金利発表と、英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨が公開される予定で、英国も高インフレによる利上げ継続予想がある一方で、英国景気減速懸念も強まっており、発表イベント時の値動きには注意が必要である。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月2日の日本時間(JST)20時23分(英国時間(GMT)11時23分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:23の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 146.96 〜 146.98 | -0.96(円高) |
ユーロ/円 | 145.48 〜 145.49 | -1.39(円高) |
ユーロ/ドル | 0.9895 〜 0.9897 | -0.0034(ドル高) |
英ポンド/円 | 169.09 〜 169.15 | -1.05(円高) |
スイスフラン/円 | 147.50 〜 147.56 | -0.64(円高) |
豪ドル/円 | 94.36 〜 94.40 | -0.38(円高) |
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