文/安藤麻矢 – 東西FXリサーチチーム
合意なしブレクジットとなるか、イギリスのEU離脱になんらかの解決案が見出されるか、立ち込める政治不安から先週の英ポンド市場は乱降下した。取引の中心がロンドンからニューヨークに移った後、EUの提案をイギリスがすでに拒否したとのニュースが流れ、英ポンドが売られ対米ドルで下落。対円相場は1英ポンド=144円台半ばの大幅な英ポンド安水準での推移となった。
英国のブレグジット交渉でEU側の責任者である欧州委員会のバルニエ首席交渉官は週の終わりに、英議会が離脱協定案を受け入れを容易にすることを目的としてEUがイギリスに関税同盟からの一方的な 提案の用意があることを明らかにした。英・アイルランド国境問題安全策(バックストップ)の他の要素は維持する必要があると述べたが、メイ首相はEUの利益を考えEUが譲歩すべきだとする考えを示している。
ニュース報道が投資心理に大きく左右するなか、今週は1月に否決された離脱協定案の来週再採決が予定され長短期でのイギリスと欧州連盟加盟諸国との関係が決まってくる。従って、今週のポンド市場はさらに不安定な動きを見せると予測される。
国内経済データカレンダーは3月12日火曜日の貿易収支図と産業と製造業の生産数を含む多数の発表はポンド市場ボラティリティーの要因となるが、やはり夕方のブレクジットの採決が市場の大きく左右するとみられている。
英ポンド/米ドルペアのボラティリティーが継続して上昇する中、現在の週のボラティリティーは200ピプスのレンジを暗示しているため、恐らく今週予定されている採決の辺りでトレーダーに警告が発せられるだろう。英ポンド/米ドルは2週間ぶりの安値だったが、依然として2019年の最低値である1.2435を上回っている。 上昇トレンドは当初の目標の1.3177でフィボナッチ抵抗を維持するが、さらに 高くなるには、ブレクジットのファンダメンタルズがポジティブになる 必要がある。
ポンドは引き続き主要通貨の中で2019年ではベストパフォーマンスを見せているが、一部のアナリストは、今後50週間以内に通貨がこれ以上上昇するのは難しいだろうと述べている。
ノルウェー市場のアナリスト、アンドレアス・ステノ・ラーセン氏は来週はブレクジット関連で3日間で3つの採決が行なわれる可能性があるため、ここ数週間ではポジティブムードになっているが、 良くないシナリオが展開するリスクがあると述べている。