文/安藤麻矢 – 東西FXリサーチチーム
歴史上初の米国大統領による米連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任の可能性、マティス国防長官の辞任と米国内政治は穏やかでない。トランプ大統領は、利上げが国内経済成長のネガティブ材料の一つとみなし、2019年も今年に続けて利上げがパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長下で行われる可能性があることに不満を募らせ、解任を周辺関係者に漏らしていることはすでに報道の通り。さらには、米政府機関閉鎖懸念もあり、経済指標、決算の悪化などから20日の米国株式市場が大幅続落した。ダウでは年初来安値を更新し、NYダウ464ドル安(-1.99%)、ナスダック108ポイント安(-1.63%)となった。
来年度の米ドルの利上げはゴールドマン・サックス・グループとJPモルガン・チェースのエコノミストは4回、モルガン・スタンレーとシティグループは2回、ブルームバーグ・エコノミクスは3回と予測している。ヘッドラインリスクの一つである利上げ発表だが、利上げを行う背景は強力な米国経済と言われている。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、2019年の国内経済は健全な見通しで、経済が強いとコメントしている。しかしながら、市場動向には注意深く耳を傾けているとしながらも、現在の経済状況については明るく極めて楽観的な景気認識だとしている。このように語りながらも、投資家の不安感も懸念する総裁。そのため、漸進的な追加利上げをいくらかさらに行うという見通しはガイダンスであり、約束ではないとも強調していることからも伺える。
さらに、世界最大経済国を率いるトランプ大統領の発言は世論を賑わせ、その一挙一動が投資家心理にも影響を及ぼしていることから、来年の米ドルは弱まるとの見方もあるが、逆に、もしもパウエル議長が解任されたならば、株価が上昇し、企業バランスシートも改善されるという見方もある。しかし、同氏は12月頭に、来年の米経済成長を阻害の可能性がある要因として、海外の需要鈍化、米国内の財政刺激効果の減退、過去の利上げ効果の可視化の可能性の3つを挙げている。
一方、アメリカドルは今年12月始めには2桁近い利益を記録し、5%の成長を記録したことで第1四半期の4%の損失を逆転させており、来年の米ドルは依然として主要通貨となるとバークレイズは報告している。他国の中央銀行は緩やかな利上げを行う中、連邦機関はドルを過大評価の新しいレベルに操り米国は利上げを継続して行うとも同社のレポートでは述べている。
21日のニューヨーク外国為替市場で、ブルームバーグのドル指数は大幅上昇。米国株が朝方の上昇の勢い続かず再び下落。12月のミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は98.3と、市場予想(97.4)に反して上昇している。
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