FXニュース:今夜最新米経済指標発表控え
東西FXニュース – 2023年12月05日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2023年12月5日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の147円38銭前後から円の高値でドルの安値の146円75銭前後の値幅約63銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円80~82銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円98~99銭付近の前東京終値比で約18銭の円高ドル安であった。
ただし、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、小幅な円安ドル高への市場反転なども見せている。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夕の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、スイスの最新消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) 鈍化を受けた欧州ユーロ売りでドル円が買われた後には、利益確定や持ち高調整も入り、昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円60銭付近から始まった。
なお、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) に向けて、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官達はすでにイベント前の発言自粛期間のブラックアウト期間に入っていたが、欧州市場では昨夜23時頃から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のラガルド総裁の発言予定があり、来週のECB理事会前の最後の発言機会として市場の注目を集めていたが、先週末にラガルド総裁が新型コロナに再感染したことが検査で発覚したため病欠になったが、学生向けの講演にビデオメッセージを送り、健康についての注意喚起をすると共に、経済成長とグローバリゼーションを促進する超国家的組織や超国家的ガバナンスについて、「様々なグループが自己利益目的で湾曲をしようとするために、あらゆる側面から脅威にさらされているグローバルな秩序の分断、多くの国際的な場での膠着状態、ポピュリスト政党の出現、新協定を結ぼうとする国家グループ」などの益々厳しい環境に直面していることを講演内容としており、特に欧州金利や金融政策に関する発言はなかったため、欧州ユーロのトレンドは継続していた。
深夜24時に米国市場で発表された最新米国経済指標の10月の米国製造業新規受注の前月比は、前回の2.8%と前回修正の2.3%と市場予想の-2.6%に対し-3.6%と市場予想よりも悪化たため、最近の米国経済指標を受けて燻っていた米国景気減速懸念が高まり、リスク回避 (リスクオフ) で安全資産の米国債が買われて債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが起きた。
加えて、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場でも、米国景気減速懸念や昨日の日本とアジアの株安の影響などを受けた米国主要株価三指数も下落に転じたため、株安時のリスクオフでも世界的な安全資産の米国債買いと低リスク通貨の円買いが入り、米国長期金利が一時4.23%台付近に低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りにより円相場が一時急騰し、深夜24時6分頃にドル円は一時146円47銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国主要株価三指数の中でもナズダック総合 (IXIC / NASDAQ composite) は大幅に下落したものの、米国ダウ工業株 (DJI / Dow Jones Industrial Average) やS&P500 (INX / Standard and Poor’s 500) は下げ幅を小幅域に縮めた影響もあり、一連の米国債買いで債券価格の上昇後には、高値からの利益確定売りが入り始めたため、今度は債券価格低下に伴う利回り上昇の影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反発して4.29%台付近に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いの反動が起きたため、午前3時36分頃には一時147円45銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、来週に予定されている次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国新政策金利と金融政策決定会合のイベントを控えている米国市場では、今週も最新米国経済指標の発表予定が多数予定されており、今夜この後には最新米国重要経済指標の11月の米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) 非製造業景況指数などの最新データも発表される予定であることから、イベント前のイベントリスクの持ち高調整や様子見のドルの買い控えなどの抵抗の値動きも入り始めた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の高値でドルの安値の146円47銭前後から円の安値でドルの高値の147円45銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値は147円21銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約39銭の円安ドル高をつけていた。
今朝8時半には日本の最新経済指標の発表があり、総務省統計の11月の東京都区部消費者物価指数 (CPI) の生鮮食料品を除く総合コアが106.0と、前年同月比で前回の2.7%と市場予想の2.4%に対し2.3%と、前回と市場予想よりも鈍化を示し、1年4カ月ぶりの低水準のインフレ上昇率を記録したことから、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の金融緩和修正期待値が後退したため、日米金利差拡大予想の円売りドル買いで、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円30銭付近から始まり、今朝9時1分頃に一時147円38銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けて、今日は5日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ゴトーび / ごとおび) 」であったために、輸入実需の円売りドル買い以外にも、輸出企業のまとまった円買いドル売り注文が入り、また日本時間の今朝の時間外の米国債券市場では米国長期金利が早朝の4.25%台付近から一時4.24%台に向けて低下した日米金利差縮小時の円買いドル売りも相まって、対ドルの円相場が上昇した。
ただし、今朝発表された日本の首都圏のインフレ鈍化の影響では、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策継続予想が高まったほか、米国長期金利が4.26%台に向けて反発上昇したため、日米金利差拡大時の円売りドル買いの抵抗も交えていた。
しかし、東京株式市場では今日の日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が大幅に続落し、午後15時15分に終値が3万2775円82銭と前営業日比で455円45銭安の大幅安で大引けしたため、日本株安時のリスク回避で低リスク通貨の円が買われて主要通貨に対して上昇し、午後15時42分頃に対ドル円相場は一時146円75銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
市場高値後には一時抵抗が入ったものの、夕方からの欧州英国市場の参入でも、16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の10月の仏鉱工業生産の前月比が前回の-0.5%と前回修正の-0.6%と市場予想の0.2%に対し-0.3%と市場予想を下回っていたことなどもあり、世界的な安全資産の米国債買いで米国長期金利が一時4.23%台に低下しており、米国長期金利低下時の円買いドル売りが入っていたほか、今夜の最新米国重要経済指標の発表を控えたイベントリスクの持ち高調整や様子見の買い控えで、今夜の東京終値の後の17時10分頃にドル円は一時146円68銭付近の安値更新に向かっていたところだった。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は146円80~82銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の146円98~99銭付近の前東京終値比で約18銭の円高ドル安になった。
しかし、その後の今夜の英国ロンドン外国為替市場では、今夜の米国重要経済指標発表に向けた持ち高調整と共に円の利益確定売りやドルの買い戻しなども入っており、今夜20時台には前東京終値比では小幅な円安ドル高に市場反転も見せている。
今夜この後には最新米国重要経済指標を含む米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時45分に11月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値と、深夜24時に先述の重要指標の11月の米国サプライマネジメント協会 (ISM) 非製造業景況指数と、同時刻に10月の米国雇用動態調査 (JOLTS) 求人件数も発表されるイベント時間を控えている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は158円67〜68銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の159円59〜61銭付近の前東京終値比で約92銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、先週末の欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのフランス中銀総裁の欧州利上げ終了発言後の日欧金利差予想の欧州ユーロ売りと円買いの影響の継続に加えて、今日の日経平均株価下落時のリスク回避で低リスク通貨の円が買われて、リスク市場に弱いと考えられている欧州ユーロが売られた影響が為替相場に影響を与えていた。
ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0807〜1.0809ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0856〜1.0858ドル付近の前東京終値で約0.49セントのユーロ安ドル高であった。
主な原因は、日米株価下落時のリスク回避市場では、前述の通り、リスク市場に比較的弱いユーロが売られて、低リスク通貨の円だけでなく、世界的に流動性の高いドルも買われやすくなっていた。
ただし、今夜17時50分に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標では、フランスの11月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値が前回と市場予想の45.3を上回る45.4で、続いて17時55分のドイツの11月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回と市場予想の48.7を上回る49.6で、今夜18時の欧州ユーロ圏総合の11月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回と市場予想の48.2を上回る48.7であったことでは欧州ユーロの買い戻しも入ったが、不景気と好景気を分けるボーダーライン (境界線) の50を下回っていた不景気側であったことでは、買い戻し幅は限られていた。
しかし、今夜19時に発表された欧州ユーロ圏の10月の欧州卸売物価指数 (PPI / Producer Price Index) は、前月比は前回の0.5%に対し市場予想通りの0.2%に鈍化したが、前年同月比では、前回の-12.4%と市場予想の-9.5%に対し-9.4%と、前回よりは鈍化したものの市場予想ほどの鈍化を見せなかった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は185円13〜19銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の186円18〜24銭付近の前東京終値比で約1円5銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、欧州通貨の影響を受けやすい英国ポンドも、今日の日本株安時のリスク回避で低リスク通貨の円に対して売られたほか、欧州ユーロやドルなどの主要通貨に対する円高の影響は英国ポンドにも波及していた。
ただし、今夜の東京終値後の18時半に発表された最新英国経済指標の11月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の50.5を上回る好景気寄りの50.9であったことでは、今夜の英国ロンドン外国為替市場では、英国ポンドの買い戻しもやや入っている。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月5日の日本時間(JST)20時39分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時39分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JJST 20:39の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 147.07 〜 147.09 | +0.09 (円安) |
ユーロ/円 | 159.13 〜 159.14 | -0.46 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0818 〜 1.0820 | -0.0038 (ドル高) |
英ポンド/円 | 185.66 〜 185.72 | -0.52 (円高) |
スイスフラン/円 | 168.26 〜 168.32 | +0.24 (円安) |
豪ドル/円 | 96.47 〜 96.51 | -1.13 (円高) |
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