FXニュース:今夜の米CPI発表に向けた日米金利差拡大予想と調整等|
東西FXニュース – 2022年11月10日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2022年11月10日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の146円47銭前後から高値の146円5銭前後の値動き幅約42銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円28〜30銭付近で、前日同時刻の前東京終値と比較すると約78銭の円安ドル高であった。
原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、米中間選挙の開票中継が進む中で、バイデン米大統領の政党と議会とのねじれ現象による米国債高騰を見込んだ金利差縮小予想でのドル売りが起きた後に、実際の開票では接戦が続いていたことなどから、高値の国債売りで米長期金利が回復し、ドルの買い戻しが起きていた。
また、市場では今夜発表の米連邦準備制度理事会(FRB)が今後の金融政策決定で重視する注目の米国の最新重要経済指標の米消費者物価指数(CPI)を控え、持ち高調整が進むと共に、米インフレ高止まりによる利上げ継続予想が優勢で、安値のドルの買い戻しも起きていた。
同時進行の米国ニューヨーク株式市場でも、米中間選挙の接戦を受けて、バイデン政権の大規模な財政支援案で追加の米国債が発行される可能性から再び米長期金利が上昇し、また米消費者物価指数(CPI)発表前の米インフレ高止まりによる利上げ継続予想での企業への貸付金利ローン上昇等にも警戒したリスク回避で米株価が下落し、ダウ工業株30種平均は前日比2%安になり、米株安時のリスク回避で安全資産のドルが買われてドルが上昇した。
株安時のリスクオフに加えて、仮想通貨市場でも暗号資産交換所で最大手のバイナンスが、前日までにほぼ合意していた資金繰りに困った同業大手FTXトレーディングの救済的事業買収案を、FTXのデューデリジェンス(資産査定)をした結果、問題が浮上したために撤回すると発表したニュースでは仮想通貨売りが起き、ビットコインが約2年ぶりの安値を記録するなどして急落し、全般的なコイン売りが進んだ時にも安全資産のドルが買われていた。
加えて、米国市場と後半が重複の昨夜の欧州市場では、ウクライナ情勢に一喜一憂のユーロ買いとユーロ売りもあり、安全資産のドルが買われた。最初に「ウクライナ南部ヘルソン市のロシア軍に撤退命令」というニュースが伝わった時にはユーロが買われたが、その後に「ロシア軍は撤退せずに増員」というニュースに転じた時に、ウクライナと隣接する地域のある欧州ユーロ圏の地政学的リスクが意識され、リスク回避のユーロ売りで世界的に流動性の高い安全資産のドルが買われたことも影響していた。
昨日の東西FXニュースでもお伝えした通り、日本時間で今朝未明には米国10年債の入札もあり、米長期金利の指標となる米10年債の入札結果により、利回りが4.11%付近から4.16%台へと上昇し、日米金利差拡大によるドル買い円売りも入っていた。
そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は146円30~40銭付近で、前日同時刻比で約65銭の円安ドル高であった。
今朝その後に始まった今日の世界市場と日本の東京外国為替市場と世界市場でも、日本時間で今夜22時半に発表予定の最新米国重要経済指標の10月の米消費者物価指数(CPI)を控え、米インフレ高止まりによる利上げ継続予想が優勢のニューヨーク・トレンドを引き継いだ、
ただし、今朝までに高値をつけていたドルには、市場高値圏での利益確定売りや、米消費者物価指数(CPI)のイベント前の持ち高調整でのドル売り円買いの抵抗も混じっていた。
今朝10時の日本市場の仲値決済では、今日は10日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10のつく五十日であるために、輸入実需での円売りドル買い注文が入ったが、その後には輸出企業によるドル売り円買いも入っていた。
今日の参院財政金融委員会では日本銀行(日銀/BoJ)の黒田東彦総裁が、政府と日銀の2%の物価目標について、「今後も維持する必要がある」と発言し、また黒田総裁は岸田文雄首相との会談後にも、「賃金上昇を伴う形での物価安定の目標を持続的かつ安定的に実現できるように、金融緩和を実施していく」と発言しており、従来の日銀の金融政策が継続維持される市場予想から、もしも今夜の米CPIの発表で米インフレが高止まりして米国の大幅利上げ継続があると、日米金利差拡大予想が強まるために、午後には円売りドル買いでドルが再び上昇した。
ただし、午後の時間外の米債権市場では、安値の安全資産の米国債買いなどで米長期金利が再び一時低下した際には、一時ドルが売られて円が買われる抵抗も入っていた。
しかし、その後に米長期金利が4.10%台を回復すると、午後の欧州英国市場の参入もあり、再び日米金利差拡大予想の円売りドル買いや安全資産のドル買いなどが入った。
そのため、今夜17時の日本の東京外国為替市場のドル円相場の終値は146円28〜30銭付近で、前日同時刻比較で約78銭の円安ドル高になった。
今夜この後には、日本時間22時半に米連邦準備制度理事会(FRB)と世界が注目の重要米国経済指標の10月の米消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、同時刻には前週分の米新規失業保険申請件数と米失業保険継続受給者数、明朝未明4時には10月の米月次財政収支なども発表される予定である。また、米連邦準備制度理事会(FRB)関係者達の発言予定があり、世界のFXトレーダー達が今後の為替相場の値動き予想材料として話題にしている。
一方、今日のユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の円相場の終値は146円26~28銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約19銭の円高ユーロ安であった。
ユーロドルは、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0000~1.0001ドル付近で、前日同時刻比で約0.64セントのユーロ安ドル高になっていた。
原因は、昨夜の欧州市場で、前述のウクライナ情勢での地政学的リスク回避のユーロ売りで安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いが入ったことに加えて、欧州国債の利回りが低下し、欧米金利差拡大によるユーロ売りのドル買いも入っていたことなどが影響した。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は166円47〜53銭付近で、前日同時刻比で約21銭の円安ポンド高であった。
昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、英国の高インフレ継続でリセッション(景気後退)懸念が強まり、ポンド売りで安全資産のドル買いと低リスク通貨の円も買われていたが、その後は持ち高調整も入り、また英国も高インフレ対策で利上げ継続をする市場予想もあったことで、今日の日本市場での日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の継続予測からは、日英金利差拡大予想の円売りポンド買いが影響していた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月10日の日本時間(JST)20時24分(英国時間(GMT)11時24分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:24の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 146.38 〜 146.39 | +0.88(円安) |
ユーロ/円 | 145.65 〜 145.66 | -0.80(円高) |
ユーロ/ドル | 0.9949 〜 0.9950 | -0.0115(ドル高) |
英ポンド/円 | 166.75 〜 166.81 | +0.49(円安) |
スイスフラン/円 | 147.99 〜 148.05 | -0.68(円高) |
豪ドル/円 | 93.67 〜 93.71 | -0.48(円高) |
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