FXニュース:米利下げ時期は言及せず
東西FXニュース – 2024年7月16日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2024年7月16日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の158円11銭付近から、円の安値でドルの高値の158円79銭付近の値幅約68銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は158円49〜50銭付近と、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の159円23〜25銭付近の前東京終値比では約74銭の円高ドル安であったが、日本の祝日中も営業していた世界FX市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の157円91〜93銭付近と比べると約58銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場は祝日休場であったが、昨日の日本時間の午後からの欧州市場に続き始まった英国ロンドン外国為替市場では、昨夜20時45分頃に時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.244%付近に上昇し、為替介入警戒感が続く中でも債券利回りを受けた日米金利差拡大による円売りドル買いが入り、昨夜20時52〜53分頃にはドルは円相場で一時158円17銭付近に上昇していたため、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時158円11銭付近の始値で、昨夜23時35分頃にも米国長期金利が一時4.244%に上昇していたことを受けては、昨夜21時31〜32分頃に一時158円16銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、昨夜21時30分頃に発表された最新米国経済指標の7月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数は、前回と市場予想の-6.0を下回る-6.6とやや弱かったことを受けては、その後の米国長期金利はピークアウトして下げ始めたため、市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整が入り、157円台後半に向けて下げ始めた。
また、昨夜23時台には、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官のメアリー・デイリー総裁が、「米国のインフレ率を目標の2%に向けて抑制する持続的なペースに近づきつつあるという確信は高まってきている」、「目標達成の日は近づいている」と、ある時点での米国金融政策の調整を予想していることについては、ややハト派寄りの発言したニュースを英国ロイター通信 (Reuters) が伝えたことも、米国長期金利低下に伴うドル売りに影響を及ぼしたが、デイリー総裁は、「時間に基づいたガイダンスは示さない。米国利下げ時期や回数については語るつもりはない。時間と共に米国インフレ率が低下し、米国労働市場が減速するに伴い、米国のインフレと戦うために高金利を維持する必要がある一方で、あまりにも長く維持しすぎると人々が職に就くのが困難なほどに米国労働市場が軟化するリスクは冒してはならない」と、米国利下げ転換の時期についてはリスクバランスを考慮した慎重な姿勢も示していたことでは、市場ではこの後の午前1時30分頃からの米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言が注目された。
午前1時30分頃からは、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の中でも市場への影響力が最も強いジェローム・パウエル議長の発言が米国経済チャンネルのCNBCのライブ中継で伝えられ、エコノミッククラブの講演で、世界規模の投資ファンドのカーライル・グループ最高経営責任者のデビッド・ルーベンスタイン氏との友好的な雰囲気の対談形式で始まり、パウエル議長は、「データ次第で毎回のFOMC会合で金融政策を決める」という中道姿勢は強調していたものの、最近3ヶ月の米国消費者物価指数の鈍化などのデータを受けての米国利下げへの確信は、まだ確信していないと示唆しながらも、「若干高まってはきている。過去3回の米国インフレ指標は信頼感を高めたし、第2四半期のインフレ率は改善した」とハト派寄りの発言をしたことや、早過ぎる利下げリスクの一方で、遅過ぎる利下げのリスクにも言及し、「米国インフレが目標の2%を超えてからの利下げ開始では、その後に下がりすぎるリスクがある」と発言したことなどが、市場では目標の2%に達する前の早期の米国利下げ予想を高めるハト派寄りの発言と受け止められて、米国長期金利低下に伴うドル売りが起き、ライブ中継中の午前1時42分頃にドルは円相場で一時157円16銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、実際の米国利下げ開始時期に関する質問に対しては、同僚達と様々なデータを分析し、リスクバランスを考慮して、毎回の会合で決めていくため、前持っての情報リークはしないと断言しており、米国利下げ時期については言及しない中道姿勢を再び強調したため、やや誘導尋問的に「友人に食事の席でなら、話しますか?」と、長年知っている仲であることから米国利下げ時期を聞き出そうとするルーベンスタイン氏に対して、「そういうことを聞かない人を友人と呼んでいる」と冗談混じりに返してあくまで米国利下げ時期には関しては言及を避けた慎重姿勢を保ったことでは、市場安値後のドルには買い戻しが進み、最後にルーベンスタイン氏が、「利下げについて話してくれて、ありがとう」と冗談めかしてライブ中継を終えた頃には、ドルは円相場で発言前のレベルまで買い戻しが進み、発言前の157円台後半のレベルまで短時間で反発して戻すという金融用語の「往って来い」になった。
米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) の市場予想値を金利先物価格データから算出する米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ・ツール (CME FedWatch Tool) では、先週の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) 上振れ後に今年9月の米国利下げ予想値が確定値の70%を超えており、現在も9月の米国利下げ予想が0.25%の小幅利下げ予想が85.7%付近で推移し、0.5%の一部の大幅利下げ予想が13.7%に浮上してきており、今月7月の早期の米国利下げ予想も一部で8.8%付近に浮上しているが、今月7月30〜31日のFOMCでは金利据え置き予想率は現時点でも91.2%と、確定値超えで推移を続けていることを受けては、同時期の今月7月30〜31日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合では国債買い入れ額の減額は発表される予定であるが、同時に追加利上げはしにくいという市場予想では、当面の日米政策金利の違いも意識されていた。
また、先日のドナルド・トランプ暗殺未遂事件の後に、暴力反対の支持や寄付を表明する著名人などが出たことなどで、秋の米国大統領選を控えたインフレ再燃懸念も市場で燻っていたことも、最近のインフレ鈍化データを受けて、米国利下げへの確信は高まってきているが、まだ確信が持てないのではないかということなども、米国市場では話題になっていた。
一方、米国主要企業の決算報告が続く米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利の年内利下げ予想の高まりによる金利上昇警戒感の緩和の影響なども続き、この日も米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が前営業日比で大幅続伸するなど好調で、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も揃って続伸したことを受けては、米国株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られたため、ドルは円相場で午前5時30分頃には一時158円15銭付近の市場高値圏にまで反発上昇した。
米国ニューヨーク債券市場でも、米国主要株価三指数の続伸を受け、安全資産の米国債が売られ、米国10年債の利回りは終値時点に4.232%と、前日比で+0.048上昇していた。
ただし、日本政府と日銀 (BoJ) のステルス為替介入への警戒感が続いていたことでは、ドルは円相場で市場高値は上抜けせず、158円台前半に留まっていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の158円16銭付近から、円の高値でドルの安値の157円16銭付近の値幅約1円0銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は158円6銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の157円83銭付近と比べて約23銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場でもドルの買い戻しが入ったことから、今朝8時48分頃にドルは円相場で一時158円25銭付近に買われたものの、先週7月11日の日本政府と日銀 (BoJ) の3兆〜4兆円規模の円買い為替介入観測に続き、7月12日にも大規模な円買いが市場では連日の為替介入観測が出ており円相場が急伸した一方で、7月13日の未明に日本政府の神田真人財務官が「申し上げることはない」とノーコメントを示してステルス為替介入警戒感が続いていたため、日本企業参入前の為替介入警戒感による早期の利益確定売りが入りながらのトレンドで今朝9時頃からの連休明け日本市場が始まったため、今朝9時頃からの日本の祝日連休明けの今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時158円15銭付近の始値であったが、今朝9時5〜7分頃の数分間は下押しの影響が残ったドルは円相場で一時158円11銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、連休明けの日本企業の参入後には日本政府と日銀の為替介入への警戒感がやや緩和されてドルは円相場で反発上昇し、今朝9時55分の日本市場の仲値決済では日本企業の輸入実需と、輸入や投資などの準備資金などでもドルが買われたほか、先週の為替介入観測後には大幅な下落を見せた日経平均株価が下げ止まり、前営業日比で小幅ながらも上昇して始まったことでも、今朝までの米国主要株価続伸に続いたリスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られたため、今日の午後14時17分と14時21〜22分頃にかけて、ドルは円相場で一時158円79銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
午後15時台には、先週の為替介入観測の円高時には海外投資家達の利益確定により一時は今年最大の大幅下落を見せた後の今日の日経平均株価は4万1275円8銭の終値をつけ、前営業日比84円40銭高に反発して大引けした。
ただし、今日の時間外の米国債券市場では、世界的な安全資産でもある米国債買いの影響があり、米国10年債の利回りは今朝早朝の一時4.235%付近から低下を続けており、午後からの欧州英国市場の参入後で東京終値を迎える今夜17時頃には一時4.186%付近に向けて低下していたことでは、海外市場に向けた為替介入警戒感もあり、市場高値後のドルの利益確定売りと持ち高調整が相まって、ドルは円相場での上昇幅を158円台中盤に縮めた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は158円49〜50銭付近で、日本市場の連休前の前営業日同時刻の先週金曜日の夜17時の159円23〜25銭付近の前東京終値比では約74銭の円高ドル安であったが、日本の祝日中も開場していた世界FX市場の前営業日同時刻の昨夜17時の157円91〜93銭付近と比較すると約58銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、今夜21時30分に6月の米国小売売上高と、6月の米国輸入物価指数と 米国輸出物価指数が同時発表されるイベント時間があり、続いて今夜23時に7月の米国NAHB (National Association of Home Builders / 全米住宅建設業者協会) 住宅市場指数と 5月の米国企業在庫、27時45分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのアドリアナ・クーグラー理事の発言予定などを控えている。
また、今夜は米国主要企業の決算報告予定もあり、今夜20時台頃に米国銀行バンク・オブ・アメリカの決算報告と、今夜21時頃にも米国金融大手のモルガン・スタンレー決算報告予定などがあり、株式市場からの為替相場や安全資産への影響にも注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は172円72〜75銭付近と、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の173円19〜20銭付近と比較すると約47銭の円高ユーロ安であったが、世界FX市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の172円7〜8銭付近と比べると約65銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨日の市場では連日との観測も出ていた日本政府と日銀 (BoJ) の大規模な円買いドル売りの為替介入観測の外貨波及の円高の影響が残っていたが、ドル同様に日欧金利差などのファンダメンタルズでは、株価上昇時の低リスク円売りの影響もあり反発した。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0897〜1.0899ドル付近と、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0874〜1.0876ドル付近と比べると約0.23セントのユーロ高ドル安であったが、世界FX市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0895〜1.0897ドル付近と比べると約0.02セントの小幅なユーロ高ドル安であった。
主な要因は、昨日までは為替介入観測のドル安の影響が続いたが、今週7月18日には欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会を控えていることから、欧州ユーロにはイベントリスクの持ち高調整が入り始めており、世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルに対して、日米株価上昇のリスクオンでは欧州ユーロが買われたものの、イベントリスクの利益確定や持ち高調整では欧州ユーロは上昇幅を縮めていた。
なお、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の7月の欧州ZEW景況感調査は、前回の51.3から43.7に低下したほか、主要国ドイツの7月の独ZEW景況感調査の期待指数も前回の47.5と市場予想の42.3を下回る41.8であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は205円50〜56銭付近で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の205円80〜86銭付近と比べると約30銭の円高ポンド安であったが、世界FX市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の204円99銭〜205円5銭付近と比べると約51銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、ドルや欧州ユーロと同様に、前日には連日の円買い為替介入観測で主要通貨に対して円相場が急伸した外貨影響が英国ポンドに波及したが、日英金利差や日米主要株価指数上昇の低リスク通貨の円売りなどを受けては、英国ポンドも円相場で反発していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月16日の日本時間(JST)19時43分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時43分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:43の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 158.40 〜 158.41 | −0.83 (円高) |
ユーロ/円 | 172.65 〜 172.67 | −0.54 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0899 〜 1.0900 | +0.0025 (ドル安) |
英ポンド/円 | 205.32 〜 205.38 | −0.48 (円高) |
スイスフラン/円 | 176.84 〜 176.90 | −0.91 (円高) |
豪ドル/円 | 106.81 〜 106.85 | −0.97 (円高) |
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