東西FXニュース – 2023年8月8日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2023年8月8日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の142円53銭前後から円の安値でドルの高値の143円42銭前後の値幅約89銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円8~9銭付近と、前日同時刻の昨夜17時の142円11~13銭付近の前東京終値比で約97銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析は、昨夜19時15分頃の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利が一時4.119%付近に上昇したことを受けて、日米金利差拡大時の円売りドル買いで、ドルは円相場で一時142円45銭付近に上昇していた。
しかし、欧州英国市場の後半から時差遅れで始まった米国ニューヨーク外国為替市場では、現地朝刊の米国新聞「ニューヨーク・タイムズ」 (The New York Times / NYT) に米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁のインタビュー記事が掲載され、「米国のフェデラルファンド (FF) 政策金利はピーク金利に近づいており、これをさらに調整する必要があるかどうか、また景気抑制的なスタンスをどの程度、長く続ける必要があるのかは、今後のデータ次第になる。景気抑制的なスタンスは、当面は維持する必要があると想定している」と発言したものの、米国の追加利上げの必要性については、「正直に言うと、追加利上げの有無については、まだ何も決まっていない。今後の米国金融政策の判断はデータ次第で議論の余地があるが、もし米国のインフレ率が鈍化を続ける場合には、早ければ来年2024年か2025年には利下げに転ずる必要性もあるかもしれない」と、利上げ終了後の利下げ時期についてのハト派発言をしたことが話題になった。
米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の「データ次第では、来年早期の利下げの可能性を排除しない」という発言がニュースになり、米国利上げ長期化予想の減退から米国長期金利が一時4.06%台に低下したことを受けて、日米金利差縮小時の円買いドル売りが先行し、昨夜22時45分頃に一時141円80銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、ウィリアムズ総裁の発言を受けて、米国金利上昇への警戒感が緩和されたことでは米国ニューヨーク株式市場が反発上昇し、先週末の米国雇用統計の景気減速感を受けた株売り後の安値の株の買い戻しで強気市場のブル・マーケットになり、米国株価主要三指数が揃って上昇し、米国ニューヨーク (NY) ダウ工業株30種平均株価指数 (DJI) が一時430ドル以上も高騰したため、米国株高時のリスク選好 (リスクオン) の低リスク通貨の円売りや投資実需のドル買いが優勢に転じた。
また、昨夜は米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の発言があり、先週末に続いて昨夜もタカ派で、「データ次第では、米国のインフレ率を目標の2%にするために、追加の利上げが必要になる可能性が高い」と発言し、データ次第では、米国利上げ長期化の可能性もあることから、今週の米国インフレ指標の発表予定が注目される中で、先週末の米国雇用統計でも米国平均時給の市場予想以上の上昇により、米国賃金インフレが示唆されていたことも意識され、米国長期金利が再上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いも進んだ。
そのため、ドルは円相場で反発後に上昇を続け、午前1時20分頃には一時142円58銭付近の米国市場および日通しでの円の安値でドルの高値を記録した。
米国連邦準備制度理事会 (FRB) が重視する米国インフレ指標の「データ」として注目を集めている最新の米国消費者物価指数 (CPI) の発表を今週の8月10日の木曜日の夜に控えたポジション調整も始まっていた。
先週末の米国雇用統計は強弱入り混じった結果ではあったが、全般的な米国失業率は低下を示したことから、今週の米国インフレ指標が高止まりをした場合には、追加利上げの可能性も出てくる一方で、年内の利下げ転換を支持する関係者はおらず、早くても来年初めもしくはそれ以降になるということからは、ポジション形成では全般的にドルが買い戻された。
しかし、今週のイベントを控えたイベントリスクによる持ち高調整と買い控えや様子見も入り始めたことや、イベント前の早期の利益確定売りも抵抗要因として入ったことでは、米国市場の終盤には142円台中盤付近でやや横ばいに近い値動きに転じた。
ただし、米国ニューヨーク株式市場では、米国ニューヨーク (NY) ダウ株価指数 (DJI) が前営業日比で407ドル超の大幅高で終値をつけ、米国株高時の低リスク通貨の円売りの影響が残っていた。
また、米国ニューヨーク債券市場でも、米国長期金利の指標となる米10年債の利回りは4.09%付近と、前週末比で0.06%高のニューヨーク終値をつけていた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の141円80銭前後から円の安値でドルの高値の142円58銭前後の値動きで、今朝6時のニューヨーク終値を142円50銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約74銭の円安ドル高をつけていた。
今朝8時半のオセアニア時間の世界市場で発表された日本の最新経済指標の6月の毎月勤労統計調査の現金給与総額の前年同月比は前回の2.5%と前回修正の2.9%と市場予想の3.0%に対し2.3%の想定以下に低下し、同時発表だった6月の全世帯家計調査の消費支出の前年同月比も前回の-4.0%と市場予想の-4.1%に対し-4.2%と想定以下で、日本銀行 (日銀 / BoJ) が想定している賃金上昇を伴った目標インフレ率の達成や、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の出口と金融政策の正常化にはまだ遠いとの見解から、大規模緩和継続予想による日米金利差拡大予想の円売りドル買いが優勢になった。
今朝8時50分に発表された日本の最新経済指標の6月の国際収支では、貿易収支が前回の-1兆1867億円と市場予想の1927億円に対し3287億円と堅調であったが、今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の連発タカ派発言による米国利上げ長期化予想も高まっていたことで、日米金利差拡大による円売りドル買いが継続した。
そのため、今朝9時頃の日本市場の開場時の一時142円53銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値になり、ドルが円相場で上昇を続けた。
今朝9時55分の日本市場の仲値決済でも、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢で、ドルは円相場で143円台に上昇した。
また、日本企業の主要取引先である米国での今朝までの米国株高を受けて、今日は日本の東京株式市場でも日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が一時200円以上の高騰を見せたことでも、リスクオン市場では低リスク通貨の円売りが入っており、午後15時12分頃には、一時143円42銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。
午後15時15分には、今日の日経平均株価指数は3万2377円29銭の前日比122円73銭高の大幅高で大引けした。
ただし、夕方からの欧州英国市場の本格参入では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の金融政策への影響の大きさが予想されている今週10日の木曜の夜に発表予定の最新米国経済指標の7月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントを控えたイベントリスクや、時間外の安全資産の米国債買いによる米国長期金利の上昇幅の低下が影響を及ぼし、日本市場での高値後のドルの利益確定売りや、持ち高調整の抵抗が入った。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は143円8~9銭付近で、昨夜17時の142円11~13銭付近の前東京終値比では約97銭の円安ドル高になった。
今夜この後にも、21時15分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言予定があり、21時半には最新米国経済指標の6月の米国貿易収支と23時に6月の米国卸売売上高、26時には米国3年債の入札予定などがある。
また、今週木曜の米国消費者物価指数 (CPI) 発表に備えた持ち高調整も進んでいる。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円6~7銭付近で、昨夜17時の156円18~19銭付近の前東京終値比では約88銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、株式市場のリスクオンによる低リスク通貨の円売りの影響や、日欧金利差拡大予想に加えて、ドルやポンドなどの他の主要通貨に対する金利差拡大予想の円安の影響が波及した。
ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0975~1.0977ドル付近で、昨夜17時の1.0989~1.0990ドル付近の前東京終値比では約0.14セントのユーロ安ドル高だった。
主な原因は、日米金利差拡大予想で対円のドルが上昇圧を持っていたほか、米国長期金利上昇時のドル買いも影響を及ぼした。
なお、今日の午後に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の7月の独消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前年同月比の6.2%と前月比の0.3%ともに前回と市場予想一致の横ばいであった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は182円49~55銭付近で、昨夜17時の181円3~9銭付近の前東京終値比では約1円46銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、日銀の大規模緩和金融政策継続予想に対し英国の利上げ継続の市場予想が優勢で、日英金利差拡大予想が影響を及ぼした。また、他の主要通貨に対する円安も波及した。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月8日の日本時間(JST)19時27分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時27分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:27の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 143.10 〜 143.11 | +0.99 (円安) |
ユーロ/円 | 156.93 〜 156.95 | +0.75 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0965 〜 1.0967 | -0.0024 (ドル高) |
英ポンド/円 | 182.00 〜 182.06 | +0.97 (円安) |
スイスフラン/円 | 163.37 〜 163.43 | +0.77 (円安) |
豪ドル/円 | 93.14 〜 93.18 | -0.33 (円高) |
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