FXニュース:一時149円29銭付近の1990年8月以来の円安ドル高を記録|
東西FXニュース – 2022年10月18日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米連邦準備理事会(FRB)大幅利上げ継続予想はなお優勢
- 日本市場では日本政府と日銀の再度の為替介入への警戒も
- 英政府財懸念緩和と国債売却延期報道で英ポンド上昇後の調整
- 豪準備銀行(RBA)の10月理事会議事要旨では豪ドル買いも
今日2022年10月18日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が149円5銭前後から高値148円68銭前後の値動き幅約37銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は148円96〜97銭前後で、前日同時刻の前東京終値比で約32銭の円安ドル高であった。
また、今朝6時までの米国ニューヨーク外国為替市場では、市場後半の今朝5時頃に一時149円9銭付近の1990年8月以来の約32年ぶりの円安ドル高の記録を更新していた。今夜18時台の欧州英国市場でも、一時149円29銭付近を一時記録したが、直後に148円台に一時急落し、再び149円台に戻してきている。
原因は複合的で、まず昨夜の注目の決算報告シーズンの米国ニューヨーク株式市場では、利上げ継続後の1株利益が市場予想以上であったバンク・オブ・アメリカ(BAC)や、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)の株価が市場開始直後に前日比6%高を超えて跳ね上がり、全般的な米株高の強気市場(ブル・マーケット)になったことから、米ニューヨーク外国為替市場でもリスク選好(リスクオン)で安全資産のドルや円が一時的に売られて一時市場安値圏になったことから、日米金利差拡大予想の上昇トレンドの中でのドルの一時的な割安感からドルが買われる勢いが増し、米株高と米ドル高の米ダブル高に転じた。
また、昨夜から今朝までの米国市場と後半の時間帯が重なる英国ロンドン市場で、英政権が先月後半の英金融不安の原因となった大型減税案を含めた経済対策を撤回したことで世界金融市場の安定化に関する懸念が緩和され、欧州英国市場ではリスクオンでポンドやユーロが買われて、安全資産のドルや低リスク通貨の円が売られていたことも影響した。安全資産としてのドルはリスクオンで一時ドル安になってもその後の買い戻しが入っていたものの、低リスク通貨の円はリスクオンでユーロやポンドに対して売られて下げ続けたことが、主要通貨に対する円安と、ドル円での円安ドル高として波及して為替相場の値動きに影響した。
昨夜に発表があった最新米国経済指標の10月の米ニューヨーク連銀製造業景気指数が市場予想以下の-9.1であったこともドルの一時売りの原因になったが、先週のG20の後のイエレン米財務長官の発言に続き、バイデン米大統領もドル高を容認する姿勢を示していたことからも、一時安になるとドルは主要通貨に対して買われやすくなって対円では上昇した。
米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続予想もなお優勢でドルは再上昇し、米長期金利が再び4%台の高利回りに上昇したこともあり、日米金利差の拡大と、他の主要通貨に対するドル上昇の勢いが増して円相場に波及し、米国市場の後半の今朝5時頃には、一時149円9銭付近の1990年8月以来の約32年ぶりの円安ドル高の記録を更新した。
そのため、今朝6時までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円95銭~149円5銭前後で、前営業日同時刻比では約20銭の円安ドル高であった。今朝で8営業日連続の、米国市場での対ドルの円相場の続落となった。
その市場トレンド後を受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、大きな市場の流れとしては、米連邦準備理事会(FRB)が米インフレ対策での大幅利上げを長期化させる予測に対し、金利抑制の日本銀行(日銀、BoJ)の日米の金融政策の方向性の違いから、日米金利差拡大予想の円売りドル買いが優勢であった。
ただし、日本市場では今朝、鈴木俊一財務相が一時149円台の歴史的な円安に関して、「投機による過度な変動(ボラティリティー)は容認できない」と再び発言したことから、再為替介入への警戒感から、持ち高調整で価格変動のボラティリティーが抑制され、また今朝10時頃の仲値決済では輸入実需のドル買いに対して輸出企業のドル売りと円買いも入ったことから、10時半頃には今日の日本市場の円の高値の148円68銭付近を一時記録した。
今朝はオーストラリア(豪)ドルの今後の利上げ予想につながる豪準備銀行(RBA)金融政策会合議事要旨公表が発表されていたことから、今日のリスクオン市場で安全資産のドルや円から豪ドルが買われたことも、対円の一時ドル安に影響した。
しかし、今日の日本市場での一時ドル安の買い得感から、再び日米金利差拡大予想で円に対するドル上昇の勢いが増し、午後に欧州英国市場が参入すると、再びユーロなどに対して円が下げたことで、円相場でドルが上昇した。
ただし、今日の午後に英経済紙のフィナンシャル・タイムズ(FT)が英中央銀行のイングランド銀行(BoE)が市場安定のために英国債市場の量的引き締め開始時期を延期するという報道があった影響で、英国債権につられて米国債の利回りも一時米10年債利回りが3.96%台に低下したことではドルも売られた。
しかし、その後には米10年債利回りが再び16時台に再び一時4%台に上昇したこともあり、日米金利差拡大でドルが再び買われて円相場で上昇し、一時149円5銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。また、他の主要通貨の対ポンドやユーロに対しても、米長期金利上昇でドル買いが優勢になったが、リスクオン売りの抵抗も混ざった。
そのため、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円96〜97銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約32銭の円安ドル高になった。
今夜この後にも最新米国経済指標の発表や米大手企業の決算報告などが予定されており、世界のFXトレーダーや投資家達が注目している。
今夜の米国経済指標の発表予定の時間は、22時15分に9月の米鉱工業生産と9月の米設備稼働率、23時に10月の米NAHB住宅市場指数、明朝5時には8月の対米証券投資などである。また、米国の主要企業の決算発表が相次いでおり、今夜21時頃には米ゴールドマン・サックスなどの決算報告もある。
明朝未明3時頃には、米連邦準備理事会(FRB)高官の米アトランタ連銀のボスティック総裁の発言も予定されている。
今日のユーロは、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場の円相場の終値は146円80~83銭付近で、前日同時刻比で約1円92銭の大幅な円安ユーロ高だった。
原因は、前述の英金融不安の緩和で経済関係のある欧州ユーロリスクオン市場になり、安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して買われたことから、17時の今日の東京外国為替市場のユーロドルの終値も0.9855~0.9856ドル付近で、前日同時刻比で約1.08セントのユーロ高ドル安であった。
英国ポンドは、円に対しての昨夕の上昇幅が大きかったために、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場の円相場の終値は169円14〜20銭で、前日同時刻比では18銭の円高ポンド安であった。
昨夕には英国のクワーテング英前財務相の後任のハント新財務相は、リズ・トラス政権の450億ポンドの大規模減税計画をほぼ全てが撤回する予定で、企業への光熱費支援も見直し、およそ1000億ポンド以上の財源不明の公費での家計と企業向けエネルギー支援策が約2年から来年の4月までに短縮予定であることを示し、英財政懸念の緩和からポンドやユーロが対ドルや円相場でも一時上昇していたが、今日は利益確定や持ち高調整売りが入った。
ただし、今日の午後には英経済紙のフィナンシャル・タイムズ(FT)が、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)が、10月31日に延期していた英国債市場での量的引き締めを、市場安定のために再び延期するというニュースが話題になった時には、ポンドは再上昇していたが、今日の夕方16時台に米長期金利が再び4%台付近に上昇した際には英ポンドが売られてドルが買われたことで、ポンド安ドル高に転じ、その影響が円相場でも前日比では円高ポンド安と出ていた頃に今夜17時の日本市場の終値をつけた。
オーストラリアの豪ドルは、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場の円相場の終値は93円99銭~94円3銭付近で、前日同時刻比で約22銭の円安豪ドル高であった。
原因は、今朝発表された豪準備銀行(RBA)の10月分の金融政策会合議事要旨の内容を受けた今後の豪ドルの利上げ予想と、今日のリスク選好市場で安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して、リスクオンの豪ドルが買われたことで豪ドルが上昇した。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月18日の日本時間(JST)19時24分(英国夏時間(GMT+1)11時24分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:24の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 149.05 〜 149.06 | +0.41(円安) |
ユーロ/円 | 146.62 〜 146.64 | +1.74(円安) |
ユーロ/ドル | 0.9836 〜 0.9838 | +0.0089(ドル安) |
英ポンド/円 | 168.21 〜 168.27 | -1.11(円高) |
スイスフラン/円 | 149.78 〜 149.84 | +0.17(円安) |
豪ドル/円 | 93.87 〜 93.91 | +0.10(円安) |
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