FXニュース:米PCE物価指数予想以下
東西FXニュース – 2024年12月23日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2024年12月23日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の156円33銭付近から、円の安値でドルの高値の156円80銭付近の値幅約47銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は156円74銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の156円81〜83銭付近の前東京終値比で約7銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週金曜日の夜17時の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、日本政府の加藤勝信財務相や三村淳財務官の円安牽制発言を受けた海外市場時間の為替介入警戒感が燻り、ドナルド・トランプ次期米国大統領の欧州への米国関税に対する発言への警戒感もあり、その後の米国市場では最新米国重要経済指標の発表イベントを控えていた時間であったことからイベントリスクも相まって、時間外の米国債券取引で世界的な安全資産でもある米国債に買い戻しが入っていたことで債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が先週金曜日の夜21時25分頃には一時4.534%付近に低下していたため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の金利差トレードの円買いドル売りの影響などにより、先週金曜日の夜21時33分頃にドルは円相場で一時156円59銭付近に下落していた。
ただし、先週金曜日の夜21時30分頃から始まった次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB/ Federal Reserve Board) 高官の米国サンフランシスコ連邦準備銀行のメアリー・デイリー総裁の発言は、「今週のFOMCでの米国小幅利下げ決定はきわどい判断だった」とし、「一段の金融政策調整には慎重さが必要というジェローム・パウエルFRB議長の意見に同意する」と更なる米国追加利下げには慎重な見せたことに加え、「来年の米国利下げは2回よりも少なくなる可能性がある」とタカ派発言が出たことではドルの買い戻しが入り、英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時156円73銭付近の始値で、先週金曜日の夜22時11分頃と22時16分頃に一時156円79銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、米国市場では先週金曜日の夜22時30分に米国インフレ関連の最新重要経済指標発表の発表があり、11月の米国個人支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指数である米国PCEデフレーターは、前年同月比が前回の2.3%と市場予想の2.5%に対し2.4%と前回よりは上昇したものの市場予想以下に留まり、天候条件などで価格変動が激しい食品とエネルギーを除く物価基調の米国PCEコア・デフレーターも、前年同月比が前回と横ばいの2.8%で市場予想の2.9%を下回り、前月比も前回の0.3%と市場予想の0.2%を下回る0.1%に下振れしたため、市場予想ほどの米国インフレが見られなかったことでは、「データ次第」では来年の米国追加利下げが継続する可能性が意識されたことから、先ほどのタカ派発言を受けた来年の米国利下げペース鈍化予想に一時調整が入り、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が先週金曜日の夜22時40分頃の一時4.504%付近に向けて一時急落したため、先週金曜日の夜22時36分頃にドルも円相場で一時156円34銭付近に下落した。
先週金曜日の夜22時30分に同時発表された11月の米国個人支出 (PCE) の前月比も前回0.4%が前回0.3%に下方修正されたほか、市場予想の0.4%を下回る前回修正後と横ばいの0.3%で、11月の米国個人所得の前月比は前回0.6%が前回0.7%に上方修正されたものの、市場予想の0.4%を下回る0.3%に下振れしていたことも値動きに影響を与えた。
とはいえ、同じく先週金曜日の夜22時30分頃からは、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB/ Federal Reserve Board) 高官の米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言もあり、来年の「FRBは米国追加利下げの実施を想定してはいるものの、見通しを巡ってはかなりの不確実性が存在するため、今後の決定はデータ次第」であると、先述のメアリー・デイリー総裁に続き、来年1月からの米国第二次ドナルド・トランプ政権によるインフレ再燃への市場警戒感が燻る中で、不確実性に警戒した米国追加利下げへの慎重姿勢も示したことを受けては、先週金曜日の夜23時25分頃に一時156円31銭付近まで下落したドルには再び買い戻しの抵抗も一旦入り始めて円相場で反発した。
深夜24時には最新米国経済指標の12月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値が発表され、前回と市場予想通りの74.0の横ばいであったが、同時進行中の欧州市場で同時刻に発表されていた欧州ユーロ圏総合の12月の欧州消費者信頼感の速報値は前回の−13.7と前回下方修正の−13.8と市場予想の−14.0を下回るマイナス圏の−14.5に下振れしており、欧米消費者の景況感の比較によるドルの買い戻しも入った影響が円相場にも波及し、深夜24時20分頃に安全資産の米国債には利益確定売りや持ち高調整が入り一時4.524%付近に反発し、米国長期金利が下落幅を一時縮小した影響もあり、深夜24時30分頃にはドルは円相場で一時156円78銭付近への反発を見せた。
しかし、前述の市場予想以下だった最新米国重要インフレ指標の11月の米国PCEデフレーターと米国PCEコア・デフレーターを受けては、「データ次第」の米国利下げ予想には一部の調整が入ったことなどから米国長期金利の低下の影響が続き、午前2時頃の米国ニューヨーク債券市場では一時反発後の米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時4.490%付近に反落したため、米国長期金利が一時4.5%台割れに大幅な低下を見せた債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りが起き、午前2時台後半の世界最大規模の国際市場の英国ロンドン外国為替市場の終盤にはクリスマス休暇時期の週末を控えた先週の円安ドル高進行後のドルの利益確定や持ち高調整の自国通貨の買い戻しの外貨影響の波及などもあり、午前2時53分頃にドルは円相場で一時155円95銭付近と、一時155円台の円の高値でドルの安値を記録した。
この原因は、円相場だけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨全般に対するドルインデックス (ドル指数 / US Dollar Index) も一時107.59付近まで下落した外貨影響の円相場への波及が影響を及ぼしていた。
ただし、午前3時に英国ロンドン市場が引けると、米国ニューヨーク株式市場では先述の最新米国重要インフレ指標である11月の米国PCEデフレーターと米国PCEコア・デフレーターが市場予想を下回ったことから、金利警戒感が緩和した影響があり、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が揃って上昇しており、特に金利に敏感なダウは大幅高の終値となり、世界的なハイテク企業比率が高いナスダックも大幅高の終値をつけ、S&P 500も小幅高の終値をつけたことでは、株価上昇を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) の影響では、価格上昇後の安全資産の米国債の利益確定売りが入って米国長期金利が下げ幅を縮小して再び一時4.5%台に戻していたことや、低リスク通貨の円の利益確定売りによるドルの買い戻しも入ったことでは、米国ニューヨーク外国為替市場終盤の先週土曜日の朝6時50分頃にはドルは円相場で一時156円48銭付近と156円台に買い戻されて下げ幅を縮小し、午前6時55分頃には米国長期金利も一時4.533%付近と下げ幅を縮小していたが、債券利回りの日米金利差縮小時の影響が残り、前日同時刻比では大幅な円高ドル安が進行していた。
そのため、先週金曜日の夜22時頃から土曜日の朝6時55分頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の156円79銭付近から、円の高値でドルの安値の155円95銭付近の値幅約84銭で、先週土曜日の朝6時55分頃のニューヨーク終値のドル円は156円31銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の157円44銭付近と比較すると約1円13銭の大幅な円高ドル安をつけて、週末を迎えていた。
週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場では世界的に流動性が高いドルの買い戻しが先行したため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時156円56銭付近の始値で、今朝9時55分の日本市場の仲値決済でも日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があったため、今朝10時12分頃にはドルは円相場で一時156円69銭付近に前東京終値比での下げ幅を縮小していたものの、欧米のクリスマス・ホリデーの現地企業の休暇時期を前にした平日取引では平常時よりも輸入実需がやや弱かったことでは、輸出企業の円買いドル売りや利益確定と持ち高調整の円の買い戻しによる円相場の反発もあり、午前11時14分頃にドルは円相場で一時156円33銭付近に反落し、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、先週末の米国重要インフレ指標の下振れを受けた金利警戒感の緩和からは先週末に日本企業の主要取引先でもある米国主要企業などの米国主要株価三指数が上昇して引けていた影響があり、週明けの今日の東京株式市場でも日経平均株価が上昇し、午後に前営業日比で一時500円以上も上昇するなどの大幅高に向けたことでは、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りが主要通貨に対して入り始めたことではドルも円相場で反発し、再び先週末の大幅な円高ドル安の下げ幅を縮小し始めた。
午後15時30分頃には今日の日経平均株価が3万9161円34銭の終値をつけ、前営業日比459円44銭高の大幅高で大引けし、リスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りが、リスク選好市場で買われやすい欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルなどにも起きていた。
夕方からの欧州市場の参入では、キリスト教国が多い欧州市場でクリスマス・ホリデーの市場流動性の低下が見られる中でも、ホリデー前の利益確定や持ち高調整で米国債券価格上昇後の米国債売りの影響などから時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が下げ幅を縮小しており、東京終値の17時頃の一時4.536%付近に向けていた影響ではドルの買い戻しが入り、午後16時17分頃と16時56〜58分頃にかけてドルは円相場で一時156円80銭付近と今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録し、前東京終値比での下げ幅を小幅域に縮小していた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は156円74銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の156円81〜83銭付近の前東京終値比では約7銭の小幅な円高ドル安になっていた。
また、今夜その後の英国ロンドン外国市場でも米国10年債の利回りが指標となる米国長期金が上昇し、今夜18時台には一時4.547%付近に戻すなど債券利回りの日米金利差拡大を受けては、先週末の単月の米国PCEデフレーターの下振れだけでは来年度の米国利下げペース鈍化予想を修正するほどではないとの見解もあり、今夜20時頃にはドルは円相場で一時156円83銭付近と、前東京終値と同レベル付近から小幅な円安ドル高への市場反転域に向けて買い戻されている。
今夜この後の米国市場でも今週の欧米のクリスマス・ホリデーに向けた市場流動性の減少傾向の市場観測が出ているものの、カレンダー上ではまだ平日にあたるため、最新米国経済指標の発表予定と米国債券入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に11月の米国耐久財受注と、深夜24時に11月の米国新築住宅販売件数と12月の米国消費者信頼感指数などが同時発表され、27時には米国ニューヨーク債券市場で米国政策への市場反応を反映しやすい米国2年債の入札予定を控えている。
ちなみに、日本市場で先週末にあたる米国現地時間の12月20日付けで米国連邦議会下院は、2024年10月~2025年9月の2025年会計年度の歳出法案成立までの間、米国政府閉鎖回避のためのつなぎ予算法案の再修正案を可決し、米国連邦議会上院も翌日に可決し、先週末にジョー・バイデン現米国大統領の署名が成立したことで、米国政府閉鎖リスク回避は週明けには落ち着いてきていたことなども、今夕の週明けの欧州英国市場での米国債売りの一因となっていた可能性がある。
世界の債券市場や株式市場およびコモディティ市場などの各市場の為替相場への影響と、世界政治や世界情勢などの最新ニュースなどの影響も注視されているが、今週の欧米クリスマス・ホリデー・シーズン本格化による世界市場の流動性の減少傾向により、小さなニュースでも通常よりも増幅された荒い値動きが出やすくなる時間があることなどには注意が必要である。
なお、明日のクリスマス・イブから欧州英国市場や米国市場では一部短縮市場が予定されており、クリスマスに開いている世界三大市場は米英休場につき東京市場のみの予定となるが、先週金曜日から欧州や英国ではクリスマス休暇の帰省ラッシュが観測されていた。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円24銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の162円80〜82銭付近と比べて約44銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日経平均株価の大幅高を受けたリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円が売られた一方で、リスクオン市場で買われやすい欧州ユーロや英国ポンドなどが円相場で買われて上昇した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は196円84銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の196円8〜14銭付近と比べると約76銭の円安ポンド高であった。
ただし、今日の午後16時に発表された最新英国経済指標の7〜9月第3四半期英国国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の改定値は、前期比が前回と市場予想の0.1%を下回る0.0%に下方修正され、前年同期比も前回と市場予想の1.0%以下の0.9%に下方修正されたものの、同時発表の7〜9月第3四半期英国経常収支は前回の−284億ポンドと前回上方修正の−240億ポンドと市場予想の−230億ポンドに対し−181億ポンドと赤字額が大幅に改善されていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0412ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.0381〜1.0382ドル付近と比べると約0.32セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、最新米国重要インフレ指標のPCEデフレーターが市場予想以下であった影響では、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りが欧州ユーロに対して入っていたことに加え、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオン市場でも低リスク通貨の円だけでなく世界的な流動性の高さから欧州ユーロに対しては安全資産でもあるドルが欧州ユーロに対して売られた影響も観測されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年12月23日の日本時間(JST)20時57分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時57分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、2024年11月3日に米国サマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の米国夏時間も終了し、現在の世界市場では欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間で日本との標準時差となっている。
通貨ペア | JST 20:57の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 156.84 〜 156.85 | +0.03 (円安) |
ユーロ/円 | 163.08 〜 163.10 | +0.28 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0398 〜 1.0400 | +0.0017 (ドル安) |
英ポンド/円 | 196.53 〜 196.59 | +0.45 (円安) |
スイスフラン/円 | 174.89 〜 174.95 | +0.16 (円安) |
豪ドル/円 | 97.93 〜 97.97 | ±0.00 (レンジ) |
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