FXニュース: 米成長率見通し上方修正
東西FXニュース – 2024年10月23日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2024年10月23日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の151円13銭付近から、円の安値でドルの高値の152円55銭付近の値幅約1円42銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円34〜36銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の151円2〜3銭付近の前東京終値比では約1円32銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待や来月11月5日の米国大統領選を巡るインフレ再燃への警戒感などから、次回11月6〜7日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) では市場確定値超えの優勢を保つ米国小幅利下げ予想に加えて一部のタカ派の金利据え置き予想値が上昇し、米国利下げ速度が欧州よりも穏やかで慎重なペースになるという市場予想の影響などで米国長期金利の先高感もあり、世界的な安全資産の米国債が売られて債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.2%台に上昇していたため、債券利回りの日米金利差拡大を受けた円売りドル買いの影響で、昨夜18時前頃にもドルは円相場で一時151円6銭付近に買われていた。
ただし、欧州周辺の中東情勢などへの警戒感が今でも燻る中で、安値からの世界的な安全資産の米国債買いの一時抵抗も混ざったことでは、ドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入ったため、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時150円86銭付近で、昨夜22時35分頃には米国長期金利が一時4.172%付近に下押ししたため、昨夜22時36分頃にはドルは円相場で一時150円60銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、昨夜には国際通貨基金 (IMF / International Monetary Fund) が最新の世界経済見通しを発表し、世界経済全体の成長率予想は3.2%の据え置きであったが、米国と英国とブラジルの2024年の経済成長率の予測値が上方修正されたことに対し、日本とユーロ圏と中国を下方修正されたニュースが市場で話題になり、欧州ユーロ圏と比較した米国経済のソフトランディング期待と景気要因のインフレ圧が改めて意識されたことなどを受けて、米国長期金利が再び4.2%台に反発上昇し、日米金利差拡大の円売りだけでなく、欧州ユーロなどの主要通貨に対するドル買いが起き始めた影響も対ドル円相場に波及し、ドルは円相場で再び151円台に再上昇した。
昨夜23時には最新米国経済指標の発表もあり、10月の米国リッチモンド連邦準備銀行 (連銀) 製造業指数は、前回の-21と市場予想の-17に対し-14と、前回と市場予想よりも改善されていたことでも、米国経済のソフトランディング期待が継続した。
また、昨日には欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーのポルトガル中央銀行のマリオ・センテノ総裁が、「欧州雇用市場が軟化すれば、0.50%の欧州大幅利下げも可能」とハト派発言をした話題もあったが、深夜を過ぎると世界銀行と国際通貨基金 (IMF) の年次総会に出席するにあたりECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁が米国経済チャンネルのブルームバーグ (Bloomberg) テレビのインタビューに答え、「0.5%が適切だとか0.25%が適切だとかと常に話す人がいるが、そういう問題ではない。方向性は明らかではあるものの、欧州利下げペースは、インフレ見通し・コアインフレ・金融政策の伝達という今後の3つの基準から、遅行的・先行的要素に判断を加味しつつ決定される」と「データ次第」を強調したが、欧州大幅利下げの可能性を特に否定しなかったことを受けては、「欧州ユーロ圏で物価が上がりにくいディスインフレの過程が進んでいる」などハト派寄りの発言も出ていたため、IMFの欧州経済見通しの下方修正と米国経済見通しの上方修正の景気要因のインフレ圧の違いもあり、今後の欧州利下げペースよりも米国利下げペースが穏やかで慎重になる可能性が改めて市場で意識されたユーロ売りドル買いが起きた。
米国政策金利の先高観もあり、午前1時過ぎには米国長期金利は一時4.216%付近に上昇し、債券利回りの日米金利差拡大による円売りドル買いと、欧州ユーロなどの他の主要通貨に対するドル買いの影響もあり、午前1時21分頃にドルは円相場で一時151円19銭付近と、7月31日以来の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ユーロドルも、一時1.0793ドルと8月2日以来のユーロ安ドル高を記録しており、外貨の対するドル高の影響も対ドル円相場に波及した。
昨夜の米国市場では、米国ニューヨーク大学で講演した欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのフランス銀行 (BdF / Banque de France) のフランソワ・ビルロワドガロー総裁の発言も、「制約的な政策スタンスの解除が遅れるリスクは、早すぎるリスクよりも深刻になる可能性がある」とハト派寄り発言があったことが意識されたほか、同日に米国ワシントンD.C.を拠点とするピーターソン国際経済研究所 (PIIE / Peterson Institute for International Economics)で講演したフィンランド銀行 (Bank of Finland / Suomen Pankki / Finlands Bank) のオッリ・レーン総裁の発言でも、「欧州ユーロ圏のディスインフレは順調に推移している」ことや、「ここ数カ月間に欧州経済の成長見通しは明らかに悪化しており、これもディスインフレ圧を高める可能性がある」とハト派寄りの発言があり、欧州追加利下げが意識されていた。
また、前日に続き、米国大統領選のニュースでドナルド・トランプ元大統領の関税引き上げ案や景気刺激案が米国のインフレ再燃リスクを高めることが警戒されたトランプ・トレードの影響も続いており、その一方で、今週末27日に予定される衆議院選挙で与党自民公明が過半数の票を獲得できるか疑問視されていた日本の政治の不透明感への警戒感を受けた日米政治影響の円売りドル買いも為替相場に影響を及ぼしていた。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国長期金利上昇を受けた金利先高感への警戒感の影響が続き、金利に敏感な米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) が小幅ながらも続落の終値に向けたことでは、市場安値後の低リスク通貨の円買いの抵抗もやや交えたが、世界的な国際ハイテク企業の比率が高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は小幅ながらも続伸の終値に向けたことでは強弱混合が続いた。
今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場でも米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、今朝6時頃のニューヨーク外国為替市場の終値時点には一時4.214%付近の高利回りで、債券利回りを受けた日米金利差拡大の円安ドル高の影響が続いた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の150円60銭付近から、円の安値でドルの高値の151円19銭付近の値幅約59銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は151円8銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の150円84銭付近と比べると約24銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時151円15銭付近の始値で、今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時記録した一時151円13銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、時間外の米国債券取引でも再び米国長期金利が更なる上昇を始めた日米金利差拡大の影響があり、今日の日本市場ではドルは円相場で上昇した。
また、今朝の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いの追加需要が円安ドル高進行を受けて入ったことに続き、今週末の10月27日の日本政府の衆議院選挙を控えた時期であることから、市場混乱を避けるために日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が今は為替介入を実施しにくいのではないかという市場観測が出たことなども円安ドル高トレンドを受けた投資系の円売りドル買いを進めたことから、米国長期金利上昇に伴う日米金利差拡大の影響の円売りドル買いが続き、テクニカル分析的な見解でも、チャート上で長期トレンドを示す200日移動平均線を円相場が下抜けたことで、ストップロスを巻き込んで下げ幅が加速し、昼過ぎにドルは円相場で152円台に乗せ始めた。
午後14時台には、米国長期金利は一時4.241%付近に上昇したが、今日の東京株式市場では今朝は一時反発上昇していた日経平均株価が反落に転じ、午後には下げ幅を広げて、午後15時台に3万8104円86銭の終値をつけて前日比307円10銭安の大幅安で続落したことを受けては、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) による国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗も混ざったが、152円台前半までの下げ幅に留まり、午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の参入では、昨夜に続いて米国経済のソフトランディング期待などで米国長期金利の上昇を受けた主要通貨へのドル買いが再開したため、夕方の16時23〜24分頃にドルは円相場で一時152円55銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
そのため、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円34〜36銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の151円2〜3銭付近の前東京終値比で約1円32銭の大幅な円安ドル高になり、円相場が続落していた。
なお、今夜の英国ロンドン外国為替市場では、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、次回11月6〜7日開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Reserve Board) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は、0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時87.5%付近と市場で確定値と考えられている70%超えの推移を続けており、次回の米国金利据え置き予想値も一時12.5%付近と2桁の推移を続けている。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB)高官達の発言予定もあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時頃から次回のFOMC投票権を有するFRB高官の中でもタカ派代表のミシェル・ボウマ理事の発言予定と、今夜23時に 9月の米国中古住宅販売件数、今夜23時30分に週間米国原油在庫、25時頃から同じく次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国リッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁の発言予定、26時に米国20年債入札予定、27時に米国地区連銀経済報告のベージュブック (Beige Book) が発表される予定である。
米国株式市場でも、明日早朝の米国株式市場の株引け後の時間になりそうではあるが、米国主要企業の決算報告予定が続き、電気自動車で有名な米国テスラの決算報告予定がある。
加えて、今夜22時45分頃には、米国の隣国で地理的に近い北米のカナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) がカナダの新政策金利と声明を発表するイベントを予定しており、続いて今夜23時30分頃からティフ・マックレム総裁の記者会見での発言も予定されている。
欧州英国市場でも、今夜23時頃から欧州中央銀行 (ECB) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の要人発言予定と、 その後の27時45分頃から英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のアンドリュー・ベイリー総裁の発言予定などを控えている。
本日10月23日~24日にG20財務相・中央銀行総裁会議が開催されるため、明日未明にあたる28時頃からは、日本銀行 (日銀/ BoJ) 植田和男総裁の発言予定も控えている。
また、日米を含む政治影響等に加えて、中東情勢などの世界ニュースや株式・債券・コモディティなどの市場の為替相場への影響なども世界のFXトレーダー達に注視されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円26〜27銭付近で、昨夜17時の163円65〜67銭付近と比較すると約61銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、主要通貨の中でも世界的に流動性が高い基軸通貨でもあるドルに対する今日の大幅な円安ドル高の影響が他の主要通貨である欧州ユーロへの円相場にも円安圧として波及したが、欧州ユーロもドルに対して下落していたユーロ安の影響では、ユーロ円はドル円と比較すると東京終値時点では小幅域に留まっていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0781〜1.0783ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0835〜1.0837ドル付近と比較すると約0.54セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、先述の通り、欧州利下げペースよりも米国利下げペースの方がより穏やかで慎重な利下げペースになる可能性が市場で意識されたユーロ安ドル高が進行したほか、米国長期金利上昇時の主要通貨の対するドル買いの影響も波及していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は197円48〜54銭付近と、昨日の夜17時の196円43〜49銭付近と比較すると約1円5銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、前日に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) のミーガン・グリーン委員が、今後の英国利下げについて、「慎重かつ、緩やかなアプローチが適切」と発言していたことでも米国債だけでなく英国債も売られて日英金利差拡大の円安ポンド高が進行したが、昨夜に国際通貨基金 (IMF) が米国とだけでなく英国の2024年の経済成長率予測値も上方修正した景気要因のインフレ圧が意識された一方で、日本と欧州ユーロ圏の見通しを下方修正したインフレ圧低下の影響も日銀の早期の追加利上げ予想後退による円売りの為替相場に影響を及ぼしていた。
ただし、明日未明の午前4時頃には、世界市場時間に日本銀行 (BoJ) の植田和男総裁の発言予定も控えていることなどにはやや注意が必要である。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年10月23日の日本時間(JST)20時00分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時00分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 20:00の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 152.81 〜 152.82 | +1.79 (円安) |
ユーロ/円 | 164.69 〜 164.71 | +1.04 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0776 〜 1.0778 | −0.0059 (ドル高) |
英ポンド/円 | 198.22 〜 198.28 | +1.79 (円安) |
スイスフラン/円 | 176.27 〜 176.33 | +1.74 (円安) |
豪ドル/円 | 101.59 〜 101.63 | +0.71 (円安) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。