FXニュース:米関税通知カナダに35%
東西FXニュース – 2025年07月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2025年7月11日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の146円24銭付近から、円の安値でドルの高値の147円18銭付近の値幅約94銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円89銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円29銭付近の前東京終値比では約60銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、市場最高値を更新後の欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-index) が高値後に反落を始めたため、昨夜19時48分頃に一時146円8銭付近に売られていたドルの買い戻しが入り、対ドルの円相場でも反発したことでは、昨夜21時から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円25銭付近の始値となっていた。
昨夜21時30分には、最新米国経済指標の発表があり、前週分米国新規失業保険申請件数は、前回の23.3万件と前回修正の23.2万件と市場予想の23.5万件よりも堅調な22.7万件とおよそ7週ぶりの失業者保険申請数の減少を示して改善されており、前週分米国失業保険継続受給者数も前回の196.4万人と前回修正の195.5万人と市場予想の197.4万人に対し196.5万人と市場予想よりも強い米国雇用指標であったことから、発表後の昨夜21時47分頃にドルは円相場で一時146円55銭付近に上昇した。
昨夜22時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国セントルイス連邦準備銀行のアルベルト・ムサレム総裁のタカ派寄りの発言があり、米国セントルイスで開かれた公開討議で、 「米国関税が落ち着くまでには時間がかかる」、「今年の第4四半期、或いは来年の第1、第2四半期になってもまだ米国関税による経済への浸透が終わっていない可能性は、シナリオとしては十分に考えられる」と、早期の追加利下げに慎重な様子見の姿勢を示し、「米国インフレ率には上昇リスクがある」と述べたが、「米国関税が物価に与える影響が長期化するかどうかは、現時点ではまだ分からない」としていた。
前日に公開された前回6月17〜18日開催分の前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨では、大半のFOMCメンバーが予想した今年年内の米国利下げについて、利下げ開始時期にはFOMCメンバー内で意見が分かれたことが明らかにされたが、その主な要因が米国関税政策の影響による米国インフレ圧の想定シナリオと見解の相違であり、「数人のFOMCメンバーは、関税が一時的な物価上昇を引き起こすものの、より長期のインフレ期待には影響しないと指摘した。しかし、大部分の参加者は、関税がインフレに対してより持続的な影響を及ぼすリスクがあると主張した」と記されており、前回の米国政策金利の据え置きが全員一致で支持された後であったことから、米国ニューヨーク市場市場では昨夜21時頃には一時4.348%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.371%付近に上昇し、昨夜23時30〜40分頃にかけて高止まりしたため、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いと主要通貨に対するドル買いが入り、昨夜23時38分頃にドルは円相場で一時146円79銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) が一時反落したものの反発し、市場予想よりも堅調だった米国雇用市場の好感に加えて、米国デルタ航空の好調な四半期決算と見通しが米国景気懸念を後退させて米国ユナイテッド航空や米国アメリカン航空なども連れ高となり、景気バロメーターとされている米国ダウ輸送株20種が今年2月以来の高値を記録したほか、米国ケロッグが伊フェレロの約31億ドルの買収案受け入れで30%以上も株価高騰するなどブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) になり、米国S&P500種株価指数が続伸して史上最高値更新に向けたほか、米国エヌビディア株続伸を追い風に国際的なハイテク企業が多い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) も史上最高値を続伸し、米国主要株価三指数が揃ってプラス圏の推移を見せた米国主要株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも低リスク通貨の円売りと世界的な安全資産の米国債売りが入ったため、米国債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国長期金利は深夜24時40分頃に一時4.374%付近に上昇した。
しかし、午前2時には米国30年債入札があり、他の種類の米国債にも買いが波及しことでは、国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反落を始めたため、市場高値後のドルの利益確定と持ち高調整でも反落を始めていたドルは円相場で下落した。
また、午前2時15分頃からは次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の中でも先月のハト派発言が話題になったクリストファー・ウォラー理事の発言があり、「次期FRB議長は利下げしたい人」と語っていたドナルド・トランプ米国大統領の米国利下げ要求のFRBへの政治圧が続く中で、この日にもハト派再発言予想が出ていた通り、「7月に米国利下げを検討する可能性がある」と、トランプ期待を裏切らないハト派再発言をしたが、「金利をめぐる私見は政治的なものではない」と、次期FRB議長の座を狙ったトランプ大統領へのアピールではないとさりげなくフォローしていたが、市場では次期FRB議長有力候補との見解は変わらず、本来は政治圧からの独立機関であるべき米国中央銀行制度のFRBの独立性を揺るがすハト派に傾く可能性への警戒感は根強く、早期の米国利下げ検討の可能性を受けて米国長期金利が一時急落し、午前3時50分頃には一時4.346%付近に低下したため、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りが起き、午前4時50分頃にドルは円相場で一時146円17銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って高値続伸を見せて終値をつけ、米国S&P 500種と米国ナスダック総合株価指数が史上最高値を記録した株価影響では、低リスク通貨の円売りとドルの買い戻しも入ったことでは、市場安値後のドルは反発して円相場での下げ幅を縮小したものの、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の146円79銭付近から、円の高値でドルの安値の146円17銭付近の値幅約62銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円26銭付近と、前営業同時刻の146円33銭付近のニューヨーク終値比で約7銭の小幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時146円27銭付近の始値であったが、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が7月の地域経済報告のさくらリポートを公表し、全国9地域すべての景気判断を前回4月から維持したが、米国関税政策の経済への影響の先行きについては警戒感が強く、米国関税政策の影響で輸出や国内生産などの日本企業の収益が下振れした場合には、日銀の追加利上げの判断材料となる賃上げの実施への懸念を示す声があったことが報告されおり、日銀の早期の追加利上げ予想が一段と後退したため、この今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録していた一時146円24銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、今日の日本市場ではドルは円相場で反発上昇した。
今朝9時55分の日本市場の仲値決済でも日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢であったが、日銀の追加利上げ予想の更なる後退を受けた円売りドル買いが続いたほか、昨夜の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達のタカ派寄りとハト派寄りの発言後の今日の時点でも、金利先物市場の動向から米国政策金利の市場予想値を算出するフェドウオッチ (FedWatch) では、今月7月30日の次回のFOMCでの米国政策金利維持の据え置き予想値は93.3%付近と市場で確定値と考えられている70%を超えて高止まりを続けており、その先の9月17日のFOMCでも0.25%の米国小幅利下げ予想が60.4%付近で一部の0.5%の米国大幅利下げ予想は4.2%付近に後退した一方で米国政策金利据え置き予想が35.4%になっており、当面の間の日米金利差予想が影響を及ぼし、日本市場の時間外の米国債券取引では昼の13時7分頃には米国長期金利は一時4.368%付近に上昇し、債券利回りの日米金利差でも円売りドル買いが入り、ドルは円相場で147円方向に向けて上昇した。
また、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「北米カナダからの米国への輸入品に対し、8月1日から35%の関税を課す」と発表したことを受けたカナダドル売りドル買いの外貨影響のドル上昇圧が円相場に波及したほか、「ほとんどの国に15〜20%の米国包括関税を課す」ことにも言及し、さらなる米国トランプ関税通知書簡送付の発言や観測報道などを受けて、米国と交渉中の他国にも高関税率が課されることへの米国関税政策への警戒感の高まりも米国長期金利を上昇させたため、昼の13時30分頃にドルは円相場で一時147円18銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
今日の東京株式市場では、米国関税政策の日本経済への影響への警戒感などから、今朝早朝の米国主要株価三指数の高値引けの影響を受けては今朝の開場時にはプラス圏から始まっていた今日の日経平均株価は反落し、その後の反発後にも再び反落し、午後の部ではマイナス圏での推移の方が目立つようになってきた株価影響のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で市場安値後の低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗が入ると、一時147円台の市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整も入り、ドルは円相場で146円台後半に戻し始めて、午後15時30分に今日の日経平均株価が3万9569円68銭の終値をつけて、前日比76円68銭安の-0.19%で大引けした頃にはドル円は146円台後半に戻していた。
午後からの欧州市場の参入では、「米国政府のドナルド・トランプ大統領が、米国現地時間の今夜この後の本日付けで欧州連合 (EU / European Union) 向けの米国関税通知書簡も送付する」と報じられた影響では内容見極めの様子見ムードのドルの買い控えもあったが、夕方からの世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場が参入してきた午後16時頃には、時間外の米国債券市場では世界的な安全資産でもある米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時4.374%付近に上昇していたため、ドルは円相場で146円台後半の底堅い値動きを見せ、前日比で円安ドル高の東京終値に向けた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円89銭付近と、昨夜17時の146円29銭付近の前東京終値比で約60銭の円安ドル高になった。
また、今夜その後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、今夜18時24分頃に時間外の米国債券取引で世界的な安全資産の米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時4.395%付近と更なる上昇を見せた時間があったため、今夜18時31分頃にドルは円相場で一時147円9銭付近と、再び147円台への上昇を見せたが、欧米関税交渉の様子見ムードが漂う中では一時147円台からはドルの利益確定や持ち高調整も入りやすく、再び円相場で146円台後半への反落も見せている。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜27時に6月米国月次財政収支などを控えている。
また、世界情勢などのニュースや、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、欧州などの各国との米国関税政策などの先行きや世界の政治経済の影響に加え、要人発言などのファンダメンタルズ分析のニュースは最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は171円71銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の171円65銭付近の前東京終値比で約6銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日発表された日銀の7月の地域経済報告のさくらリポートの見通しを受けて、日銀の早期の追加利上げ予想が更に後退し、当面の間の金利差が他の高金利の主要通貨に対する円売り要因となったが、日経平均株価が安値引けとなった低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗などでは小幅域になっており、ユーロドルの外貨影響の波及では今夜その後の20時台の欧州市場では小幅な円安ユーロ高への市場反転も見せている。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1689ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1734ドル付近の前東京終値比で約0.45セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、米国雇用市場が市場予想よりも堅調であったことに加えて、米国関税政策のインフレ圧への警戒感からは米国長期金利が反発しており、円やカナダドルなどへの外貨へのドル上昇圧の外貨影響もユーロドル相場に波及していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は198円92銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の199円17銭付近の前東京終値比で約25銭の円高ポンド安だった。
主な要因は、今日の午後15時に発表された最新英国重要経済指標の5月英国月次国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の前月比が、前回の−0.3%と市場予想の0.1%に対し−0.1%と市場予想以下に下振れし、前回よりはやや改善したもののマイナス圏に下振れした英国経済のマイナス成長懸念で英国ポンド売りが入り、世界的に流動性が高いことから安全資産でもあるドルや低リスク通貨の円が買われた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年7月11日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時44分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時44分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:44の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 146.79 〜 146.80 | +0.50 (円安) |
ユーロ/円 | 171.61 〜 171.63 | −0.04 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1689 〜 1.1691 | −0.0045 (ドル高) |
英ポンド/円 | 198.71 〜 198.77 | −0.46 (円高) |
スイスフラン/円 | 184.38 〜 184.44 | +0.17 (円安) |
豪ドル/円 | 96.66 〜 96.70 | +0.76 (円安) |
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