東西FXニュース – 2024年11月07日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米主要株価三指数大幅高
- 三村財務官円安牽制発言
- 米関税警戒日欧株価反落
- 英0.25%の小幅利下げ
- 米FRB議長発言の様子見
今日2024年11月7日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の154円71銭付近から、円の高値でドルの安値の153円65銭付近の値幅約1円6銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は154円0〜1銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の154円1〜5銭付近の前東京終値比でほぼ横ばいに近い約1銭の僅差の円高ドル安であった。
なお、今夜のその後の19時台の英国ロンドン外国為替市場では、小幅な円安ドル高への市場反転なども見せている。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場では米国大統領選挙で過半数に達した米国共和党のドナルド・トランプ元大統領の勝利が確実視される中でトランプ・トレード (Trump trade) の日米株高ドル高が進行し、米国財政拡張案などから米国インフレ再燃警戒の影響があり、米国債が売られた影響では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も上昇し、昨夜21時20分頃には米国長期金利は再び上昇して一時4.478%付近の高利回りになっていたため債券利回りを受けた高金利通貨のドル買いの影響で、昨夜21時41分頃や43分頃などにドルは円相場で一時154円45銭付近に買われていたため、英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時154円40銭付近の始値であった。
ただし、終盤が同時進行していた欧州株式市場では、米国共和党の早期の勝利宣言を受けて、公約された米国輸入関税引き上げの対象に欧州企業も該当することへの警戒感もあり、欧州主要株価のドイツ株価指数の独DAX (Deutscher Aktien IndeX) が反落の終値に向けたことでは、欧州株価反落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で世界的な安全資産である米国債の買い戻しや低リスク通貨の円買いによる抵抗が入り、昨夜23時50分頃の一時4.476%付近から米国長期金利が反落を始めると、深夜24時8〜9分頃にかけてドルは円相場で一時153円98銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国ニューヨーク株式市場では、米国大統領選挙の結果を受けて、敗者復活前の2016年11月のトランプ・ラリー (Trump rally) を彷彿させる米国株買い起き、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が揃って大幅な上昇を見せ、米国ダウは史上最高値に向けて約4年7カ月ぶりの上昇幅を記録するなど高騰し、米国主要株価上昇時のブル・マーケット (Bull market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られたことではドルは円相場で反発上昇し、午前3時0〜1分頃にはドルは円相場で一時154円69銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一方、米国ニューヨーク債券市場では、午前3時に米国30年債の入札があり、今夜この後の米国現地11月7日 (日本時間では時差で翌11月8日未明の午前4時) に米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Reserve Board) による米国新政策金利イベント予定があり、その半時間後に注目度の高い米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定のイベントリスクも控えていることなどからイベントリスク回避の安全資産の米国国債の入札買いが入り、米国債券価格上昇に伴う利回り低下の起きた影響が他の年度の米国債にも影響が波及したことから、午前3時20分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も一時4.407%付近にまで低下したことでは、午前3時22分頃にドルは円相場で一時154円35銭付近に下押ししたが、米国主要株価三指数が揃って大幅高のままで引けると、米国ニューヨーク外国為替市場終盤の午前6時42分頃にはドルは円相場一時154円66銭付近に買い戻されて再上昇していた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国冬時間の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の153円98銭付近から、円の安値でドルの高値の154円69銭付近の値幅約71銭で、今朝7時頃のドル円のニューヨーク終値は154円63銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の151円62銭付近と比べると約3円1銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時30分には、今日の日本市場に先行して日本の最新経済指標の9月の日本毎月勤労統計調査の現金給与総額の前年同月比が発表され、前回と市場予想の3.0%に対し前回下方修正の2.8%と横ばいの2.8%であった。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時154円31銭付近の始値で、次期米国大統領への敗者復活が確定したことが話題になっている共和党のドナルド・トランプの獲得議席数が米国上院に続き下院も含めるトリプルレッド (Triple Red) になる可能性の観測報道が出てきたことで、米国財政拡張案などで政策運営が行いやすくなることから、更なるドル高に備えた日本企業の円売りドル買いが今朝の日本市場の仲値決済に向けて先行し、今朝9時39分頃に対ドル円相場は一時154円71銭付近と、今朝未明の米国市場のドルの高値を上抜けた今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、昨日や今朝に154円台の大幅な円安ドル高が進行したことについて、日本政府の三村淳財務官が、「政府としては、投機的な動向を含め、為替市場の動向を極めて高い緊張感をもって注視する。行き過ぎた動きに対しては、適切な対応を取っていきたい」と、円安牽制の口先介入を見せたことで、為替介入警戒感が燻り始めて、市場高値後のドルの利益確定売りで円が買い戻され始めて、対ドルの円相場が反発を始めた。
また、東京株式市場でも、米国輸入関税引き上げ案の対象が、昨夜に欧州主要株価が警戒感から反落した欧州企業だけでなく、日本企業に対しても10%の一律関税をかけるというトランプ公約があったことが市場で意識されたほか、以前のトランプ発言の数々では関税率は「中国製品60%、日本を含む他国10〜20%」などの発言をしていたこともあったため、日本製品への関税増加への警戒感が高まり、今朝までの米国主要株価三指数上昇の影響ではプラス圏から始まった前日までの大幅続伸後の今日の日経平均株価が反落に転じ始めたことでも、日本株価反落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しが入った。
今日の午後15時30分には日経平均株価は反落後のマイナス圏のままで3万9381円41銭の終値をつけ、前日比99円26銭安で大引けし、日本株価反落を受けたリスク回避のリスクオフの影響で低リスク通貨の円の買い戻しが続き、夕方からの欧州市場の参入でも日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による為替介入への警戒感が燻ったほか、今夜この後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国新政策金利発表イベントや米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言のイベントリスクを控えた早期の利益確定や持ち高調整と様子見のドルの買い控えなどが抵抗要因となり、午後16時26分頃にドルは円相場で一時153円65銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は154円0〜1銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の154円1〜5銭付近の前東京終値比では横ばいに近い約1銭の僅差の円高ドル安になった。
なお、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、金利先物市場のデータを基に米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を算出することで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、今夜この後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Reserve Board) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ幅の市場予想値は0.25%の米国小幅利下げ予想値が一時97.4%付近と市場で確定値と考えられている70%を超えた優勢な推移を続ける一方で、一部のタカ派の米国金利据え置き予想値が後退し、代わりに一部のハト派の米国大幅利下げ予想値が一時2.6%付近とわずかながらも復活していた。
今夜この後の米国市場では、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の新政策金利発表と米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の発言のビックイベントを控えているが、最新米国経済指標の発表予定などもあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に7〜9月第3期四半期の米国非農業部門労働生産性と米国単位労働コストの速報値と前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が同時発表され、深夜24時の9月の米国卸売売上高の後の、28時 (午前4時) にFOMC終了後の米国新政策金利と声明の発表があり、その半時間後の28時30分頃からライブ中継の定例記者会見でのFRBのパウエル議長の要人発言予定のイベントを控えている。その後の29時には経済指標の9月の米国消費者信用残高も予定されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は165円60〜61銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の165円32〜33銭付近と比べると約28銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨夜はトランプ・トレードのドル買いや米国長期金利の上昇を受けて大幅なユーロ安ドル高が進行した影響の波及があったが、今日はイベントリスクのドルの利益確定や持ち高調整で欧州ユーロが買い戻された巻き戻しの外貨影響がユーロ円相場に波及した。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0752〜1.0753ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0732〜1.0734ドル付近と比べると約0.20セントのユーロ高ドル安であった。
ただし、欧州ユーロ圏主要国ドイツの社会民主党 (SPD / Sozialdemokratische Partei Deutschlands) のオラフ・ショルツ独首相が、2025年度予算案の協議を巡って政権与党内で対立が深まっていた自由民主党 (FDP / Freie Demokratische Partei) のリントナー財務相の解任を昨日付けで発表した独連立政権崩壊のニュースがあったことでは、来年の2025年1月に独連邦議会の下院で信任投票を実施する考えを示し、独連邦議会の信任投票後の2025年3月に総選挙の可能性が出てきたことで、ドイツの政治懸念も浮上したことは欧州ユーロの上値をやや抑える一因になっていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は199円11〜17銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の198円6〜12銭付近と比べると約1円5銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、今日の東京終値時点では、今夜21時頃の英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) による英国新政策金利発表のイベントを控えていたが、イベントリスクの中でも今日も英国長期金利が一時4.6%台に上昇した影響で日英金利差拡大時の金利差トレードの低金利通貨の円売りで高金利通貨の英国ポンドが買われた影響が市場で観測された。
なお、速報の追記として、今夜21時頃に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC) は、英国新政策金利をこれまでの5.00%から市場予想通りの4.75%へと、0.25%の小幅な英国追加利下げを発表した。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年11月7日の日本時間(JST)20時45分(チャート画像の時間帯は、10月最終日曜日に英国夏時間が終了し、来年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) になった英国ロンドン外国為替市場の英国冬時間 (GMT / JST-9) の11時45分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も11月の第1日曜日から来年3月の第2日曜日は米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、先週末の2024年11月3日に米国でもサマータイム (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) の夏時間が終了し、今週の世界市場は欧州市場と英国市場と共に米国市場も冬時間の時差になっている。
通貨ペア | JST 20:45の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 154.05 〜 154.07 | +0.04 (円安) |
ユーロ/円 | 165.74 〜 165.76 | +0.42 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0756 〜 1.0758 | +0.0024 (ドル安) |
英ポンド/円 | 198.78 〜 198.84 | +0.72 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.68 〜 175.74 | −0.37 (円高) |
豪ドル/円 | 102.13 〜 102.17 | +1.28 (円安) |
注意:
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