東西FXマーケットコメント – 2024年10月30日
文/宇佐美幸弥 – 東西FXリサーチチーム
東西FXではFXとマクロ経済リサーチを担当しております宇佐美と申します。
本日は、直近で利回りが上昇傾向にある米国債に、さらなる売り気配が漂っている件について、現在のマクロ経済の状況を踏まえつつ、その内容と今後の動向を徹底分析します。メインテーマは売られる米国債と上昇する短期債の利回り。
10月29日、米国債券市場では、連日利回りが上昇傾向にあり、さらなる売り警戒の雰囲気が漂っている。
具体的には、米国債券オプション市場では、11月末までに10年債の利回りが現在の4.3%近くから、0.2ポイント上昇し、4.5%に上昇することを予測したプットオプションの取引高が急速に増加している。Bloombergによれば、10年国債オプションにおいて、12月は行使価格109.5ドルでのプットオプションが積み上がっているとのこと。
この背景には、直近に迫りつつある米国選挙における不透明性を背景としたボラティリティの拡大予想があると考えられる。こうした不透明性から、オプションを利用してリスクヘッジをしようとする需要が高まっているのではないだろうか。
また、今回の選挙では両候補ともに財政支出拡大の方針を掲げており、米国の長期的な財政状態に関する懸念が広がっていることも、米国債価格の下落に大きく寄与していると考えられる。特に、年限の長い10年物や30年物では、財政懸念の影響は大きいだろう。
これらを踏まえると、米国債の利回りはさらに拡大すると考えられ、結果としてドルの需要はますます高くなり、米国債売りドル買いの動きが進展すると思われる。
米国短期債利回りテクニカル分析〜短期債の現況と今後のトレンド予測
上記のチャート(Investing.comより)は、米国債2年物利回りの日足チャートである。
このチャートを見れば、2年物の利回りは、9月以前下落基調にあったものの、10月以降は再び上昇傾向にあることがわかる。
テクニカル分析的な観点では、ローソク足が75日移動平均線を上抜け、さらには25日移動平均線と75日移動平均線の間でゴールデンクロスが起こっている。一方で、RSIは65とかなり高い位置で推移しており、短期的には下落すると予測される。
ファンダメンタル的には、一時的に下落するとしても、米国大統領選挙の候補者である2人は共に財政支出拡大の移行を示しており、財政懸念から米国債の利回りはさらに上昇することが予測される。
こうしたことを踏まえると、債券が購入され、一時的に利回りが下落した場合には、絶好の追加的な売り場となる可能性がある。よって、引き続き米国短期債市場には注視する必要があるだろう。
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