東西FXマーケットコメント:AIのエネルギー需要低下?AIブームに逆風か
東西FXマーケットコメント – 2024年10月10日
文/宇佐美幸弥 – 東西FXリサーチチーム
東西FXではFXとマクロ経済リサーチを担当しております宇佐美と申します。
本日は、株式市場における一大ブームとなっているAIとそれに伴うエネルギー需要に関して、ノルウェーのリスクマネジメント会社からネガティブな予測が出たことについて分析します。メインテーマはAIのエネルギー需要の減衰と株式市場を牽引するセクターの変化。
AIエネルギー需要は予想より小さい?ノルウェーのリスクマネジメント会社が発表。
10月9日、ノルウェーのリスクマネジメント会社であるDNVは「 AI開発に使用されるエネルギーは多くの市場予測を下回る可能性がある」と指摘した。
AIは現在の株式市場において、米国を中心とするテックセクターの大規模な値上がりの背景となっており、それに付随するエネルギー需要から電力会社やエネルギー会社の株価値上がりにも貢献している一大カタリストである。
DNVはAIによる電力需要は2030年までに北米で3.1%に達すると予測。これはマッキンゼーによる米市場の予測結果である12%を大きく下回っている。
Utility Sectorは直近最もS&P500の上昇に寄与しているセクターである。この予測が正しければ、電力・エネルギーセクターにおける織り込まれすぎたAIエネルギー需要予測は今後低迷する可能性がある。その場合、株式市場、特に米国の株式市場には深刻なダメージがあるかもしれない。
S&Pセクター分析〜値動きと今後のトレンド〜
以下の2枚の図は、S&P500のUtility SectorとInformation Technology Sectorの年初来チャートを示している。
この2枚を比較すれば、Utility Sectorは今年からずっと長期的な上昇トレンドに入っていることがわかる。一方で、Information Technology Sectorは、2023年までは米国株市場全体を牽引していたものの、今年に入ってからはレンジ相場になっている。
今年に入ってからS&P500の上昇に最も寄与しているのは実際Utility Sectorであり、この背景にはAI開発に必要な電力需要の拡大予測と、11月に控える米国選挙によるボラティリティの上昇に対するリスクヘッジ需要の二つがあると考えることができる。
Utility SectorはDefensive銘柄であるため、これらの要因による上昇は自然であると言える。今後も、上記二つのカタリストは以前継続中であるため、Utility Sectorにはまだ上昇余地があると考えられる。少なくとも11月の上旬までは短期的に上昇すると予測される。
2024年のS&P500公益事業株指数(Standard and Poor’s 500 Utilities Index)
2024年のS&P500情報技術株指数(Standard and Poor’s 500 Information Technology Index)
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