FXニュース:米経済指標懸念で日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いが継続|
東西FXニュース – 2022年5月25日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
今日2022年5月25日の水曜日の東京外国為替市場のFXの円相場の為替レートは、9時から17時までの東京外為取引時間の円の安値が127円30銭前後から高値126円67銭前後の値動き幅63銭程で、今夜17時の東京市場終値は127円14〜15銭前後で、同時刻の前東京終値と比較の前日比では約13銭の円高ドル安であった。今日で6営業日連続の、東京終値前日比での円高ドル安続伸となった。
原因は、昨夜から今朝の米国ニューヨーク市場時間に発表された、5月の米国購買担当者景気指数(PMI、速報値)が、サービス部門と総合が前回と予想を下回り、製造業も予想通り前回より悪化しており、同日発表のリッチモンド連銀製造業指数や新築住宅販売件数等も軒並み悪化しており、米景気減退懸念のリスク回避が強まったことが影響した。
米株価も下落し、株安時のリスク回避の米国債買いで債券価格は上昇する一方、米10年債利回りの米長期金利が一時2.71%台に急落し、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いがドル売りから大量に入り、ドルは一時126円36〜37銭付近まで売られて大きく急落し、ショートカバーで少し戻したところで、126円80~90銭で前日比1円5銭の大幅な円高ドル安で今朝のニューヨーク終値を迎えていた。そして、その後に始まった今日のアジアとオセアニアと日本東京市場でも、日米金利差縮小時にはドル売り円買いが起きていた。
しかし、日本の東京市場では今日は25日で、日本企業の決済日が集中しやすい「5と10日のつく五十日(ごとおび)」で、朝10時の仲値決済の頃から、輸入企業の実需等での円からのドル買いの値動きも影響し、ドルが買われてやや上昇したところで、輸出企業のドル売り円買いで一度戻したが、久しぶりの126円台のお買い得感から投資用のドルも買われており、昼過ぎには127円台にまで上昇したドルは、ニューヨーク時間の下げ幅を日本時間に縮めていた。
16時過ぎには、時間外の米株価先物が一時回復傾向を見せ、米長期金利の低下が落ち着いてきたことで、再び日米金利差拡大予想の円売りドル買いが入り、同時に時差で朝の欧州英国市場の持ち高調整のドル買い参入などもあり、一時は円が127円30銭付近まで売られて、利益確定や調整などで少し戻したところで、今日の17時の東京終値を127円14〜15銭で前日比13銭の円高ドル安で迎えた。
ただし、今夜この後、日本時間で深夜1時15分に米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード次期副議長の発言が予定されており、明日未明の3時には米国現地時間で今日付けの5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の発表を控えている。そのため、発表まではイベントリスクの様子見で積極的な売買を控えたり、イベント前の持ち高調整等の動きも出ているので、今後も為替相場に影響を与える最新のFXニュースには注意が必要である。
今日のユーロは、今夜17時の東京終値が135円86〜88銭で、同時間の前日比で約70銭の円高ユーロ安だった。ユーロ対ドルも、17時の今日の東京終値は1.0685〜1.0686ドルで、前日比で約0.45セントのドル高ユーロ安であった。
ユーロは、昨夜から今朝の英国ロンドン市場と米国ニューヨーク市場では、ドルが対ユーロで下落して対円でのドル売りに波及するほど買われていた時間帯もあったのだが、その理由は、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が米ブルームバーグ・テレビで、「欧州の中銀預金金利は、7~9月期の終わりまでにプラス圏になる可能性が高い」と発言しており、ビルロワドガロー仏中銀総裁も、欧州のインフレ率は2年以内に2%に戻ると予想すると発言し、複数の欧州中央銀行(ECB)メンバーが0.5%への利上げに言及したニュースがあったために、欧州ユーロ圏の金融政策正常化の加速予想が強まっていたことにある。
しかし、今日の東京市場では今朝の136円台のユーロの高値圏で、利益確定売りや持ち高調整売りなどが起きてユーロが下がってきた上に、15時に発表された欧州ユーロ圏の経済指標の6月の独消費者信頼感指数(Gfk調査)が-26.0で、ほぼ予想通りではあったが、前回の2005年以来の記録的な低水準の-26.5からの改善がわずかで、ロシアのウクライナ侵攻での欧州エネルギー問題などもあり、欧州景気懸念も浮上してきて、ユーロが低リスク通貨の円に対して売られていた。
更に、今日の夕方に欧州中央銀行(ECB)のパネッタ専務理事が、講演で「ECBは段階的に金融緩和を解除するべきであるが、金融政策の正常化と金利を中立水準に戻すことは同一視するべきではない」と発言し、正常化タントラムのリスクを回避する必要があると提言したニュースが世界的になり、更にユーロが売られて、今日の東京17時を135円後半の円高ユーロ安を迎えた。そして、今夜その後の欧州英国市場でも、18時半頃には、一時135円台前半に円高ユーロ安が更新していた。
今日の英ポンドは、17時の東京終値が159円43〜49銭で、同時間の前日比44銭の円安ポンド高であった。昨夜発表の英国の景気経済指標の5月の英総合購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を下回って前月比で低がったことで、一時は英景気減速懸念でポンドが売られていたが、今日の東京市場時間には安値からの買い戻しが優勢だった。
しかし、今夜その後に時差で朝の英国ロンドン市場では、再び、9%を超える記録的な英インフレ懸念でポンドが売られており、2%付近のインフレ目標を達成している日本の低リスク通貨の円が買われたことで、18時半頃には一時は158円73銭付近まで円高ポンド安になり、東京終値後に円高ポンド安に市場反転している。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年5月25日の日本時間(JST)19時14分(英国夏時間(GMT+1)11時14分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:21の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 127.11 〜 127.13 | -0.16(円高) |
ユーロ/円 | 135.69 〜 135.71 | -0.87(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0674 〜 1.0676 | -0.0056(ドル高) |
英ポンド/円 | 158.90 〜 158.96 | -0.09(円高) |
スイスフラン/円 | 131.90 〜 131.96 | -0.13(円高) |
豪ドル/円 | 89.93 〜 89.97 | -0.22(円高) |
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