FXニュース:米景気不安の株と米国債リスク回避で低リスク通貨の円買いの影響が|
東西FXニュース – 2022年5月19日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米物価高の小売業績悪化と世界景気懸念で日米株価下落時の債権と為替買いで
- 欧中銀(ECB)利上げ予想買い後の調整と欧経常収支赤字でユーロ売りが
- 英電気代大幅値上げ加速懸念で英インフレ景気悪化リスクのポンド売り後の調整も
今日2022年5月19日の木曜日の東京外国為替市場のF Xの円相場の為替レートは、9時から17時までの東京外為取引時間の円の安値が128円94銭前後から高値127円90銭前後の値動き幅1円4銭程で、今夜17時の東京市場終値は128円17〜18銭前後で、同時刻の東京終値の前日比では約1円15銭の大幅な円高ドル安であった。
また、今夜その後の欧州英国市場でも更に円高ドル安が更新し、18時から127円台後半に入り、19時後半には127円59銭付近で今日のドルの安値を更新していた。
原因は、昨夜から今朝の米国ニューヨーク株式市場で、米インフレ物価高による小売業績悪化により、四半期利益半減の米小売業ターゲット社株が一日で時価総額約25%を失った米株暴落事件を受けて、米景気経済懸念のリスク回避売りで米株価が全般的に下落し、米株安時の米国債リスクオフで米長期金利も下落したので、日米金利差縮小時にドルから低リスク通貨の円が大きく買われた影響が出た。そのため、今朝の日本東京市場開始以前のニューヨーク外国為替市場の終値も128円20~30銭で、前日比で約1円10銭の円高ドル安だった。
その流れを受けて始まった今日の東京市場でも、今朝早朝は米株価下落の影響を受けて朝の日経株価が一時下落しており、同時に米長期債の利回りも一時下がっていたので、その後に日経株価指数と米長期金利が回復するまでは、ドルが売られて円が買い戻される動きがあり、円相場は更に上昇し、今朝9時過ぎに127円90銭付近にまでドルが安値になった。
また、今朝8時50分に速報で発表された日本の景気経済指標の4月分の通関ベース貿易収支が、前回改定値の-4141億円と予想の-11760億円に対して-8392億円で、予想ほどは悪化していなかった。その後に発表の季調後の通関ベース貿易収支は、前回-8998億円(改定-1兆194億円)と予想-1兆5209億円に対して結果が-1兆6189億円ではあったが、ほぼ同時発表だった日本の機械受注3月分が前月と前年比ともに、前回と予想以上に大きく改善されており、日本景気回復への期待から、円が買われる動きもあった。
しかし、今朝10時頃の仲値決済前に久々の127円台のドルの安値になったことで、今日は円からドルを安く仕入れておきたいという日本の輸入企業等からのまとまった円売りドル買い注文が入り、朝10時前から欧州市場が参入してくる午後15時頃までは、日本時間の取引で米長期金利も回復してきたことから、ドルは上昇回復し今日の下げ幅を一旦縮めており、13時半頃には今日のドルの高値で円の安値の128円94銭付近に達した。
ただし、それをピークに、今日のドルの高値の利益確定や日本円の持ち高調整などもあり、日本時間の夕方が朝の欧州英国市場では、米景気経済懸念から安全資産として買われてきた余剰のドルが持ち高調整などで売られた影響で、夕方には再びドル売りの低リスク通貨の円買いが進み、17時の今日の東京終値を前日比で円高ドル安の128円台で迎えた後にも、今夜18時頃の欧州英国市場でも再び127円台のドル安になっていた。
今日のユーロは、円相場で米ドルにつられた似た動きをしており、世界景気懸念のリスク回避で低リスク通貨の円が買われたこともあり、また先日の欧州中央銀行(ECB)利上げ予想買い後の調整売りなども入り、17時の今日の東京終値は134円46~49銭で、前日比1円54銭の円高ユーロ安であった。
17時頃には時差で朝の欧州市場で、欧州ユーロ圏の3月分の経常収支が発表されたが、季調済の前回208億ユーロ(改定157億ユーロ)に対し、ロシアのウクライナ侵攻の影響等で兼ねてより悪化懸念はあったものの、今回-16億ユーロで事実上の赤字になったためにユーロが売られており、17時の東京終値は1.0490~91ドルで前日比0.26セントのドル高ユーロ安だった。
今日の英ポンドは、円相場で米ドルやユーロにつられて午後までの上昇を描いており、かねてよりインフレによる英景気悪化懸念でポンドが売られてきた一方で、最近のポンド対円のボラティリティが高く、日英金利差拡大予想もあって買われた後に売られたものの調整買いもあり、数日前に英電気事業連合会(Ofgem)の英インフレ要因のエネルギーショックの電気料金上限引き上げ加速の可能性のニュースで英景気懸念が高まった時ほどの下げ幅ではなかったために、今日17時の東京終値は158円75〜81銭で前日比53銭の円安ポンド高であった。
オーストラリアの豪ドルは、今日発表のオーストラリアの豪雇用統計4月分の失業率が、前回4.0%(改定3.9%)と予想3.9%に対して、結果3.9%でほぼ横ばい状態であった。ただし、豪新規雇用者数は、前回1.79万(改定2.03万人)と予想4万人に対して結果0.4万人で、予想よりは低いが新規雇用件数は増えており、資源国の豪景気懸念材料にはならなかったこともあり、今日17時の東京終値の豪ドルの円相場は、89円66〜70銭で、前日比54銭の円安豪ドル高だった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年5月19日の日本時間(JST)19時42分(英国夏時間(GMT+1)11時42分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:42の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 127.59 〜 127.60 | -1.73(円高) |
ユーロ/円 | 134.13 〜 134.15 | -1.87(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0511 〜 1.0513 | -0.0005(ドル高) |
英ポンド/円 | 158.26 〜 158.32 | +0.04(円安) |
スイスフラン/円 | 130.56 〜 130.62 | +0.80(円安) |
豪ドル/円 | 89.30 〜 89.34 | +0.18(円安) |
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