FXニュース:日米金利差拡大で今日131円35銭の今年の円安ドル高記録を更新|
東西FXニュース – 2022年5月9日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米雇用統計で米長期金利上昇3.17%台を記録し金利差拡大予想でもドル買いが
- ロシア戦勝記念日祝日のプーチン大統領演説で戦争懸念のリスク回避の値動きも
- G7がウクライナ支援でロシア産石油輸入禁止への共同声明で原油高懸念も影響
今日2022年5月9日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは、9時から17時までの東京外為取引時間の円の安値が131円35銭前後から、高値130円68銭前後の値動き幅67銭程で、今日17時の東京市場終値は131円17〜19銭で、前日比約66銭の円安ドル高であった。また、今夜その後19時頃に時差で朝の欧州市場でも、131円台の円安ドル高が継続している。
原因は、日本と米国の金融政策の方向性の違いによる日米金利差拡大の円売りドル買いの円安ドル高が継続しており、今日は東京外国為替市場の営業時間の債権市場でも、先週末の米雇用統計等から米インフレ継続懸念で、米長期金利が3.1%台の高水準で取引され続けて上昇しており、欧州市場参入の午後には2008年以来と言われる3.17%台を記録した。そのため、今年4月28日に131円25銭の円安ドル高を記録した円安ドル高が今日はさらに進み、2002年4月以来と言われる131円35銭の円安ドル高を記録した。
今朝10時頃の仲値決済でも、長引く円安による輸入用の外貨実需増加の日本企業による円からのドル買いで130円台後半の円安が進んでおり、午後になり長期金利上昇の影響で、更なる日米金利差拡大予想で131円を超えた。
先週末に発表の米国の景気経済指標の4月米雇用統計の労働需給逼迫等の影響で、今朝の東京外為市場時間以前の先週金曜のニューヨーク市場でも、米長期金利が2018年11月以来の3.14%付近の高水準を記録し、日米金利差拡大でのドル買い円売りが起きていた。
4月米雇用統計では、労働需給逼迫等の影響で既に8%を超えている米国の記録的なインフレ率が継続して高止まりをする懸念が強まり、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを続けるとの予想から、先週金曜の東京外国為替市場取引時間終了後の夜の発表後にも米長期金利が上昇していた。その為、先週金曜のニューヨーク市場でも、円の安値は一時130円71銭に達していた。
ユーロに対しても、米長期金利上昇の米欧金利差で今日はドルが買われやすかった。先週末に欧州中央銀行(ECB)にも利上げ発言があり、一時は買われて上昇していたユーロが、今日ドルに対して下げた原因となった。そのため、今日17時の東京終値では、ユーロ対ドルは1.0512~13ドルで、前営業日比0.07セントのドル高ユーロ安であった。
ECBの利上げ発言に関しては、フランス中央銀行のビルロワドガロー総裁が「年内に金利がプラス圏に上昇することが妥当」と発言したことに続き、ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁も「欧州の高水準のインフレに対応するために、ECBは早期に行動するべき」と発言しており、日本では先週金曜の夕方の終値時間付近であったが、その後に時差で朝の欧州市場と、欧州の午後が時差で朝にあたるニューヨーク市場でも、ECBの利上げ期待から一時はユーロが買われて上昇しており、今日は米長期金利上昇のドルに対しては売られたものの、日本銀行が金利抑制の大規模緩和継続姿勢の円に対してはユーロが特に売られる理由もなかったために、今日の17時の東京終値では対円のユーロは137円90~92銭で、前営業日比で約61銭の円安ユーロ高だった。
しかし、今日はロシアが戦勝記念日の祝日で、プーチン大統領が演説で、西側諸国と北大西洋条約機構(NATO)を非難しており、戦争への懸念のリスク回避からもユーロが売られて安全資産のドルが買われていた時間帯があった。ただし、プーチンが「特別軍事作戦は、必要かつ適宜にかなった措置で、唯一の正しい判断」と発言したことで、戦争宣言ではなく特別軍事作戦に留まることで、リスク軽減でユーロには夕方からドルに対しても買い戻しが入っており、ユーロ対ドルも今夜の欧州市場ではユーロ実需もあり、19時前には前日比ではユーロ高ドル安に転じてもいた。
英ポンドは、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)が先週に英政策金利を1%に利上げはしたものの、同時発表の英景気予想がマイナス成長予想で、春に続いて秋にも大幅な電気代値上げの英エネルギーショックがあることを理由に、年内に10%を超える英インフレ悪化の予測から、英景気後退(リセッション)の懸念が強まり、リスク回避で英ポンド売りの安全資産買いのドル買いや低リスク通貨の円買いも起きており、特に英ポンド売りドル買いが顕著で、今日の午後にポンド安ドル高が記録的なレベルに達し、16時前には英ポンドは1ドル22.6セントの安値をつけた。その直後には、高値でのドルの利益確定売りや安値でのポンド買いの持ち高調整の抵抗は入ったものの、外貨に対してもポンド安が一時波及した。
今日の日中一時は前日比で円高ポンド安の時間帯もあったのだが、夕方にG7がウクライナ支援でロシア産石油輸入禁止への共同声明発表のニュースがあり、ロシアによるウクライナ侵攻の長期深刻化の影響による世界的な原油資源高で、日本の貿易赤字リスク増加から以前ほどはリスク回避で低リスク通貨としての円が買われる機会がなくなっていたために、今日の17時の東京市場終値の対円の英ポンドは、161円13〜19銭で前日比8銭の円安ポンド高であった。
今日のオーストラリアドルは、以前の利上げで買われて上昇していた豪ドル高が、新規材料の不足から徐々に戻してきており、今日の東京市場終値17時の円相場では、91円93〜97銭で前日比では45銭の円高豪ドル高であった。
米雇用統計は失業率などはほぼ予想通りで、分野によっては労働市場逼迫もあり堅調とは言われていたが、米国インフレ悪化懸念の一因に、米国ではテキサス州などで石油が出るが、ウクライナ危機による脱ロシア産石油で米国はカナダと共に北米での原油増産を目指す一方で、原油採掘の過酷な労働条件による人離れによるエネルギー業界の労働者不足が問題になっており、その近くにあったアマゾン倉庫や配達業務などに転職するケースも増えて、労働市場での競合なども起きていた。
米国で石油増産のための労働者不足で賃上げ競合等が悪化をすると、人件費などのコスト増加は更なる原油高に繋がる可能性があり、日常的に目につくガソリン代高騰が車社会の米インフレ悪化懸念を増幅しており、社会問題になる。そのため、パウエルF R B議長も「今の米国のインフレは高すぎる」等と発言しており、今後の米インフレ対策の米金融政策には期待が高まっており、ニュースや速報などによる期待値からも為替相場が値動きをしている動向から、今後も最新のニュースの影響による為替相場の値動きには注意が必要である。
今日の東西F Xニュース執筆終了時の2022年5月9日の日本時間(JST)19時13分(英国夏時間(GMT+1)11時13分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:13の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 131.17 〜 131.18 | +0.66(円安) |
ユーロ/円 | 138.16 〜 138.18 | +0.87(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0532 〜 1.0534 | +0.0013(ドル安) |
英ポンド/円 | 161.51 〜 161.57 | +0.46(円安) |
スイスフラン/円 | 132.20 〜 132.26 | +0.10(円安) |
豪ドル/円 | 91.86 〜 91.90 | -0.52(円高) |
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